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迷って見つける恋するトキメキ


 
「はい、でも…同好会は大会には出場できないと…規則で…」
「あれ? おかしいなぁ! なんの規則? 先生、S先生ってご存知ですよね? 高校演劇の理事の。あの先生から再三『同好会も出演できるから出ませんか?』って言われてますよね?」
「えっ!?……」
「って、おかしいなぁ。生徒たちも驚いてるよ。先生、生徒たちに言ってないの?」
「………」
「あの人さぁ、ここの卒業生でね、私の大親友なんですよ。だからツーカーなわけ。先生知らなかった? しかもこの子たち、大会に出られないんならって、S先生の学校に偶然にお手伝い志願に行ったんですよ。それでいろいろわかったんだけどさ。ね、言ってよ。誰? この子たちの部活の邪魔してるのは。あんた? あんたがやってんならどうして? この子たちには部活動をする権利があるよね。それを認めないのはなぜ? あんたが世話をするのが面倒くさいから? ね、言ってよ」
  なんで先生になったのかよくわからない、やる気のなさそうな、でもいかにもガキの頃から優等生でお勉強だけはできそうな、たかが生徒たちの部活より自分の時間を大切にしたそうな、くすんだ顔の女教師がやっと口を開いた。
「…私はなんにも…ただ進路指導の先生に言われて…」
  出た! ついに出た学校の暗部が! 進路指導部、恐らく今の学校を陰で牛耳っているゲシュタポ的存在だ。こいつらの進路指導のもとに、文化的活動は疎まれ阻まれ、生徒たちの短い青春は灰色に彩られ、ゲシュタポたちの手には大学合格率向上の勲章がもたらされる。しかし待て。ここでエキセントリックになってはいけない。学校というところは不思議な世界で、世間の常識とは違う物差しが通用しているところだから。さて、どうするか…。と、意外なところから声が上がった。たまたま一緒にいた私の同級生イコールPTA役員たちだった。
「おかしいなぁ。部活動もさせない、そんな学校変だよなぁ。子供がかわいそうだ」。そしてもう1人の意外な味方、私の母。「黙って聞いてたけど、そのやり方は行き過ぎじゃないかねぇ」。母は元教員であり、この学校の同窓会役員もしている。味方が増えた! よし、今だ!
「みんな、一緒に校長先生に直接もう一度お願いしてみよう? 校長先生、この子たちにチャンスをやってください」
  校長先生は約束してくれた。
「もちろん。生徒が自主的に動いてくれるのはうれしいことです。この問題をきちんと整理したうえで、生徒たちが大会に出られるよう話を進めましょう」
  やった! 演劇同好会員たちはみんな泣いていた。顧問の先生は土色の顔をしていた。うちの母と同級生たちは、青春ドラマの登場人物みたいに晴れ晴れとさわやかな顔をしていた。そのあとみんなで飲みに行った酒のうまかったこと、うまかったこと!
  この話にはもう少しオチがある。その後演劇同好会は県大会出場が認められたが、3年生たちは引退、当時2年生たちも今年は3年生なのでやはり出場できず。そこで彼女らは先日、自主公演として県大会が行われるホールを自分たちで借り、芝居を上演したのだ。まさしく最初で最後の高校時代の思い出だった。何もできずに卒業した前3年生たちも集まり、感動の一日だったという。え? そんなこと誰が教えてくれたのかって? 私の親友S先生は、今年職場異動の希望を出し、見事我が母校に就任。まるで当然かのように演劇部顧問のスポットが用意されていたという。その彼女の元、生徒たちは一生懸命やった。高校3年間でたった1回の芝居だけど、大きな大きな1回だったと思う。
  勉強ばかりが学校じゃない。スポーツばかりがもてはやされるのもおかしい。役に立つことだけが大切だと言われる世の中はおかしい。若いうちはやりたいことをやらなきゃダメ。無駄なことをやらなきゃダメ。それを見守ってやるのが大人の役目だと思う。長くなりましたが、自分でもいろいろ考えさせられた事件でした。
     

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