たのしいローカル酒場 Vol.2 個性が際立つお店めぐり

たのしいローカル酒場

美しい海と山々に囲まれ、世界遺産・熊野古道の玄関口としても知られる和歌山県田辺市。城下町の面影を残す路地裏に足を踏み入れれば、地元の人も通う田辺ならではの味覚が待っている。

更新日:2017/11/28

「味光路」の魅力を甲斐みのりさんに聞きました

甲斐みのりさん:文筆家。旅や散歩、お菓子、クラシック建築などを題材に、独自の視点で切り取りながら、たおやかな言葉で書きつづる。近著は『お菓子の包み紙』(グラフィック社)

いろんなお店をはしごするのが楽しい!

田辺観光協会発刊の旅のしおり『暮らすように旅する田辺』の監修・執筆を機に、田辺市との交流を続けている文筆家の甲斐みのりさん。温かく迎えてくれるうえにリーズナブル。初めて訪れた人も安心できるとあって、近年は旅行者にも人気なのだそう。そんな味光路での楽しみ方を甲斐さんが教えてくれた。
「どこか1店に絞るのではなく、入り組んだ細い路地やちょっと昭和チッ
クなデザインのネオン看板を眺めながら、いろんなお店をはしごするのが楽しいです。料理に関しては、漁業が盛んな土地なので、お造りなどの魚介系は外せません。特にその日のおすすめ品は旬の味覚が味わえますから、まずはそこからチェックしていくといいですよ」
味光路には、紹介しているスポット以外にもさまざまなジャンルのお店がいっぱい。じっくりめぐって、お腹も心も満たされよう!

新鮮な旬の魚介がいっぱい
安くておいしい居酒屋へ

味光路の魚はなぜおいしい?

黒潮の恩恵を受ける田辺は昔から漁業が盛ん。さらに味光路は漁港に近いこともあり、15時の競りで落とされた獲れたて新鮮な魚が、夕方にはお店で味わえる。

料理自慢の名物店からスナックまで
個性が際立つお店へ

(左)淡泊な身とプルプルの皮を一緒にいただく、生うつぼ湯引きポンズ1200円。生しらす500円や、焼のりを巻いたさば棒寿司1000円も外せない (右上)手書きのボードには本日のおすすめ品がずらり (右下)カウンターのほか半個室タイプも

丁寧な仕事ぶりが光る
見た目も美しい料理

寿司店で修業を積んだ店主・新徳之さんが、魚本来のおいしさを引き出した繊細な料理を振る舞ってくれる。寒くなるこれからの時期は、脂がのったクエやウツボを使った料理がおすすめ。熟練の技で丁寧にさばかれたこれらの魚は、クセがなく上品な味わい。お造りから焼き物、揚げ物、鍋物まで多彩に揃うので、冬の味覚をお試しあれ。

<甲斐さんのおすすめポイント>
味光路でも風情のある細い路地にあって、佇まいや雰囲気が素敵です。お料理はもちろん、器や盛り付けも繊細で品のよさを感じます。

居酒屋 徳乃

TEL.0739-24-1871
和歌山県田辺市湊12-18 
営業/17:00~23:00(22:00LO) 
定休/火・第3水 
予約可 
カード不可
アクセス/JR紀伊田辺駅より徒歩3分

(左)垣根を感じさせない店内は、開店と同時に大にぎわい (右上)とろける舌ざわりの生マグロなど、旬の地魚が入ったお造り盛り合わせ3780円(時価)。鮮度のよさに感動!(右下)お客からも仕事仲間からも厚い信頼を得ている大将の小山勇さん

気取らない雰囲気と
魚料理が地元でも評判

目印は、店頭にぶら下がった赤ちょうちん。味光路の中でもとりわけ人気のあるとっくりは、昔ながらの大衆酒場を思わせる素朴な佇まいと活気ある空間が心地よい。地魚を中心としたお酒のお供もレベルが高く、特にお造りは舌の肥えた地元の人も太鼓判を押すほど。抜群の鮮度と滋味にあふれた旬のおいしさを、じっくり味わいたい。

<甲斐さんのおすすめポイント>
地元の方がおすすめするお店だけあって、味も雰囲気も期待を裏切りません。夜になるとピカピカと光を放つ店先の公道も必見です。

味小路 とっくり

TEL.0739-24-7952 
和歌山県田辺市湊11-23 
営業/17:00頃~22:00頃(お造りが売り切れしだい閉店) 
定休/日 
予約可
カード不可 
アクセス/JR紀伊田辺駅より徒歩3分

(左)その日のおすすめの一例、タコと生しらすのオリーブオイルがけ。まずはオイルで、その後は梅肉を付けてと味の変化が楽しめる (右上)キビキビと仕事をこなしつつ、声を掛けると気軽に応えてくれる店主の東さん (右下)女性客も多い

女性の心をくすぐる
洗練の空間と創作料理

小さなお店ながら、落ち着いた雰囲気でくつろげるこちら。店主の東泰希さんが心がけているのは、奇をてらわない創作料理。例えば、酢醤油や酢味噌でいただくことが多い磯間の生しらすを、ここではオリーブオイルと合わせた洋風仕立てで供することも。素材の個性を活かしつつ、他店とはひと味違ったおいしさを提供してくれる。

<甲斐さんのおすすめポイント>
魚中心のお店が多い中、こちらはお肉や果物も積極的に取り入れていて、意外な組み合わが作り出すおいしさの発見もあります。

創作料理 東風(そうさくりょうり こっち)

TEL.0739-26-0720 
和歌山県田辺市湊12-44 
営業/17:30~22:30 
定休/月 
予約可 
カード不可 
アクセス/JR紀伊田辺駅より徒歩2分

(左)ビールの注ぎ方に衝撃! 豪快に見えるけれどこぼれることがなく、泡とのバランスも絶妙 (右上)シンプルな扉の向こうには終始お客の笑い声が響いている (右下)音楽に合わせて突如披露されるマッチ芸。その手技に誰もが見入ってしまう

多芸なママさんに
誰もが笑顔になれる

味光路の有名店と聞いて必ず名前が挙がるのが、スナック「ルージュ」。思い切って扉を開ければ、名物ママの加代子さんが迎えてくれる。ノリのよさとトークに加え、芸まで披露してくれる加代子さんに、初めて訪れた人もあっという間に距離感が縮まり、心をわしづかみにされてしまうはず。思い切り笑って弾けて、田辺の夜を存分に楽しんで。

<甲斐さんのおすすめポイント>
ママさんは強烈なキャラですけれど、実は美人で洞察力にも長けています。人生経験からくる助言は、ストンと心に入ってきますよ。

スナック ルージュ

TEL.0739-25-0530 
和歌山県田辺市湊10-19 
営業/19:00~翌1:00頃 
定休/第2・4火 
予約可 
カード不可 
予算/1人2000円~
アクセス/ JR紀伊田辺駅より徒歩4分

甲斐みのりさんと行く
熊野古道と味光路を満喫するツアーを実施!

世界遺産にも登録されている、本宮・新宮・那智の熊野三山への参詣道・熊野古道。なかでも人気の田辺から熊野本宮をめざす中辺路(なかへち)ルートを歩き、甲斐みのりさんと、今回紹介した味光路をはじめ、街なかを探訪するモニターツアーを2018年2月23日(金)~25日(日)に実施。ツアー詳細をチェックしよう!

おいしい日本旅和歌山県田辺市

おいしい日本旅
たのしいローカル酒場 Vol.1 味光路のローカル居酒屋へ

和歌山県田辺市といえば、豊かな自然と温暖な気候がはぐくむ食の宝庫。魚好きが集う味広路の名物店「紀州魚介庵 かんてき」や田辺市のおすすめスポットを紹介します。

PHOTO/SAORI KOJIMA WRITING/CHINATSU UMEZAWA

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※記事は2017年11月28日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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