NIIGATA しあわせごはん Vol.3 〜新潟県村上市〜
城下町で花開いた鮭文化にふれる
平安時代、京の都に献上されていた記録が残る村上の鮭。独自の気候風土を活かした食文化は今も大切に継承されている。
「食料不足の時代も鮭の恩恵にあずかってきた村上の人にとって、魚と言えば鮭。頭から内臓、エラまで余すところなく調理します」と話してくれたのは、割烹「千渡里」のご主人・竹内信さん。
「代表的な塩引き鮭は、塩漬けの鮭を日本海から吹く寒風にさらして3週間、酒びたしなら1年間も吊るして熟成させます」。海からの風、温度や湿度など、絶妙な条件が揃った村上ならではの食文化だ。人気の鮭はらこ丼で、うまみが凝縮された塩引き鮭と、プチプチの食感がたまらないハラコの両方を味わいたい。
【上】
(メイン写真)塩引き鮭が乗った「鮭はらこ丼」1836円、手前右はおかしらの軟骨を使った「氷頭なます」432円、地元の日本酒・大洋盛と〆張鶴
(右上)城下町の黒塀小路も情緒満点
(右下)町歩きの合間に「冨士美園」の村上茶で一息
【下】
(左上から時計回りに)割烹「千渡里」の竹内信さん・伊津子さん、どんびこの焼き漬け324円、鮭の煮びたし756円、塩引き鮭の厚切り焼1080円
守り継がれてきた風情漂う町屋を歩く
村上は、城跡・武家屋敷・町屋・寺町の4大要素が残る、情緒たっぷりの城下町。「この風情あふれる町屋も、平成9(1997)年に商店街の近代化計画が浮上し、消滅の危機にさらされたんです」とは、鮭加工品を製造・販売する「喜っ川」の吉川真嗣さん。町屋文化再生の立役者でもある。
「村上の歴史ある町屋を守るには、市民みんなで町屋のよさを伝えていくしかないと、協力を募って活動を始めました。江戸や明治の造形を残す町屋内部の公開や、春には人形、秋には屏風を展示するイベントを企画。寄付による外観再生や黒塀の修復も行い、城下町の趣を取り戻すことができました」
文化が薫る村上の町を散策すれば、地元の人の温かな思いにもふれることができる。
築140年の町屋「喜っ川」では、1000匹以上の鮭を吊って熟成させる光景を見られる/「味匠 喜っ川」の吉川真嗣さん
雄大な日本海を彩る夕陽に感動
瀬波海岸の波打ち際に立ち、ロビーから客室、大浴場まですべてがオーシャンビュー。特に夕陽が素晴らしく、夕映えソムリエによる解説や、夕陽を映像化したシアターなど夕陽にまつわるおもてなしが多数。源泉掛け流しの温泉や、地元の海の幸・山の幸を活かした夕食も楽しみ。
新潟の豊かな恵みが原料の地酒
古くから酒造りの盛んな村上で、昭和20(1945)年に14の酒蔵が合併してできた蔵元。五百万石や新品種の越淡麗など新潟産の酒米を100%使い、朝日連峰が源の超軟水の地下水で、まろやかな銘酒に。酒造りの道具や酒器が並び、入場無料の展示場では、販売ほか全銘柄の試飲も可能。
地元女子が
村上の魅力をレポート
地域の魅力を体感・発信する新潟ガールズ集団「リリー&マリーズ」が村上を女子目線でレポート(全4回)。村上の鮭料理が食べられるお店や、町屋歩きの魅力が満載。今回紹介したスポットも掲載されているので、ぜひ他の回もチェックして!
「しあわせごはん」おすそわけ
村上の「雪国緑茶・雪国紅茶」
北限の茶処・村上のお茶は、渋みが少なくほのかに甘いやさしい味。今回は、記事メイン写真にも掲載の「冨士見園」が作る、風味豊かな村上茶の煎茶と雪国紅茶のティーパックを、可愛らしい丸缶セットで5名にプレゼント。
表参道から新潟を発信
新潟のことならN'ESPACE(ネスパス)へ
表参道ヒルズ隣の、新潟の新鮮情報を発信するアンテナショップ。鮭の酒びたし648円、鮭の一口煮びたし1190円(写真)など、村上産の鮭を使った商品や、新潟の米、米菓、地酒、おつまみ等を購入できる。新潟の美味しい食を味わえるイベントも随時開催中で、観光情報やU・Iターン就職情報も提供しているので、ぜひ足を運んでみて。
TEL/03-5771-7711
東京都渋谷区神宮前4-11-7(表参道ヒルズとなり)
営業時間10:30〜19:30 ※店舗により異なる
NIIGATAしあわせごはん Vol.1
一期一会な食との出会い「長岡野菜」
信濃川が運ぶ栄養分たっぷりの土壌があり、野菜本来の味とさまざまな食感を楽しめるのが魅力の長岡野菜。農家から料理人へ思いをつなぐ味わいを、現地に出かけて味わおう。
NIIGATAしあわせごはん Vol.2
豊かな自然の贈り物、米粉グルメとワイン胎内川の畔に立つ、瀟洒なホテル。レストランやカフェでは、胎内産にこだわった料理を味わえる。新潟県胎内市の豊かな食材とワインを楽しんで。
- WRITING/TAYAMA YOKO PHOTO/NORIKO YONEYAMA 協力/新潟県