【恋する歌舞伎】第20回:禁断の愛の悲しい結末。全ては過去の柵(しがらみ)か・・・

日本の伝統芸能・歌舞伎。興味はあるけどちょっと難しそう、わかりづらそう・・・なんて思ってない? 実は歌舞伎は恋愛要素も豊富。だから女子が観たらドキドキするような内容もたくさん。そんな歌舞伎の世界に触れてもらおうと、歌舞伎演目を恋愛の観点でみるこの連載。古典ながら現代にも通じるラブストーリーということをわかりやすく伝えるために、イラストは現代風に超訳してお届け。

更新日:2017/03/28

今回は、四月歌舞伎座で上演予定の『桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)帯屋』に注目します!

【1】複雑な家庭内のゴタゴタに悩まされる男・長右衛門

舞台は京都にある老舗の呉服屋・帯屋。
長右衛門(ちょうえもん)は、五歳の時にこの家の養子となり妻のお絹(きぬ)と店を切り盛りしている。
長右衛門にとって養父である繁斎(はんさい)は隠居しているものの存命で、長右衛門はこの繁斎の後妻であるおとせと、その連れ子の儀兵衛(ぎへい)に悩まされている。
強欲なおとせは元々この家の奉公人であったが、義母となった今は何とかして長右衛門を追い出し、この店を乗っ取ろうと企んでいるのだ。
そのため日頃から何かにつけて辛くあたる上に、長右衛門を陥れる機会を狙っている。
そんなある日、おとせ親子から「先日受け取ったはずの為替の金が店に入っていない」と迫られ、更に「長さま参る、お半より」という、女性が書いたであろう手紙を出してこれは何かと問い詰められる。

【2】うら若き娘と40男。取り返しのつかないたった一夜の過ち

為替の件に関しては理由があり、店に入れるはずのお金ではあったが、長右衛門が妻・お絹の弟の窮地を救うために百両を用立ててしまったという経緯がある。
しかし手紙については弁明の余地もない。
この手紙は近所に住む信濃屋の娘、お半(はん)からのものである。
実は先日、仕事の用事の帰り道である石部の宿屋で、偶然にもこの娘と会ったことがあった。
その晩、長右衛門の所に「丁稚の長吉にしつこく言い寄られて困っている」とお半が逃げ込んできたので、長右衛門はお半を自分の布団へと匿った。
あろうことか、この夜長右衛門は齢十四の娘と結ばれてしまい、更に子まで宿したのだった。

【3】優しすぎる妻の計らい。それに心を打たれ全ては丸く収まるはずが・・・

証拠は揃っている上に、否定もできないピンチの長右衛門。
そこへ助け船を出したのは妻・お絹だった。
彼女は「長さまというのは夫の“長”右衛門ではなく、信濃屋の丁稚の“長”吉のことだ」というのだ。
もちろんおとせ親子は信じるはずがなく、それなら本人に事実かどうかを確かめると、長吉を呼び出す。
すると意外にも、長吉は「お半と結ばれ自分の女房となった」と自慢気に話す。
長右衛門も不思議に思うが、これはすべてお絹が仕組んだこと。
お半とのこともすべてを承知しているものの黙っており、これからも長右衛門と夫婦でいたいがために、事前に手を回していたのだった。
健気なお絹に心を打たれた長右衛門は、深く詫び、これまでのことは水に流そうと、固めの杯を交わすことにする。

【4】幼き娘が選んだ叶わぬ恋の結末。恋人たちはまたもや桂川へと向かっていく

お絹が酒の支度をしている時に、長右衛門は十五年前の出来事をふっと思い出す。
長右衛門はかつて宮川町の芸妓おかんと深い仲になり、心中しようとした。
しかし決心が鈍ったため、おかんだけが桂川に沈み、自分だけ生き延びたという過去がある。
お半は今年で十五歳。しかも二の腕には「長」という痣があることからも、お半はおかんの生まれ変わりなのではないかという思いが、ふと頭をよぎる。
すると一度の交わりでお半が妊娠したのも、この因縁であったかと合点がいくのだ。
そうして深く煩悶しているところ、門口から自分を呼ぶのは思いつめたようにみえるお半!
この若い娘は、報われることのない恋を儚んで死を決意し、今生最後と長右衛門に会いにきたのだ。
そうとは知らず長右衛門は、まだ幼い彼女を諭すように自分から別れを切り出す。
お半は憂いながらもそれを承知し、長右衛門の家を離れていく・・・。
消え入りそうなその様子に胸騒ぎのした長右衛門だが、直後にお半の書置きを見つけ、彼女が死ぬ覚悟であったことをはじめて知る。
男は後悔する間もなく、妻を残した家を飛び出し、桂川を目指していくのだった。

『桂川連理柵 (かつらがわれんりのしがらみ)』

菅専助作。安永5年10月大坂北堀江座にて人形浄瑠璃で初演。歌舞伎では翌年3月大阪嵐座初演。桂川に14,5歳の娘と中年男の、心中と見られる死骸が流れついたという実話を基にした作品。可憐な少女・お半と三枚目の長吉を一人の役者が演じ分けるのも見どころの一つ。

(監修・文/関亜弓 イラスト/カマタミワ)

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