プロジェクトの原点 アンファー「スカルプD」

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髪に悩む男性たちの救世主として登場したアンファーの「スカルプD」は、今年6月でなんと売上本数の累計が600万本を突破した。頭皮を健康に導く「スカルプD」の誕生と進化の秘密に迫るべく、アンファー株式会社の開発者・波間隆則に話を聞いた。

【今までにないシャンプーへの挑戦】

波間隆則(アンファー株式会社)
製品の開発段階では、まず自分自身が率先して試験台になるという。「そうすることで、周囲への説得力が違ってくるんです」
 アンファー「スカルプD」の存在は、すでにお笑い芸人や有名タレントを起用した広告によって広く知られている。「男を上げるシャンプー」というキャッチフレーズを覚えている人も多いのではないだろうか。

「スカルプ=頭皮」という名前のとおり、頭皮をきれいに洗うことに主眼を置いたこの製品がどのように生まれ、成長してきたのか――。その道のりは、まさに開発者である波間隆則の職歴とリンクするものだった。

「私は大学で応用化学を学んだ後、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として2年ほど働き、さらに美容外科や皮膚科などを診療科とするクリニックで7年ほど勤務しました。その後、アンファーに入社して開発者となりました」

 あるとき、アンファーが提携していた頭髪専門の医師たちから「薄毛で悩む人のためのシャンプーを作ってみないか」とい う提案が舞い込む。患者から、担当医に「日常ではどういうことに気をつけたらいいのか?」「シャンプーはどういうものを使ったらいいのか?」という相談が頻繁にあったためだ。

「そこで、アンファーは医療機関の医師たちとタッグを組み、シャンプーを開発することにしたんです。私はその開発責任者でした」

 医療機関との共同開発が始まった。ここで、かつてMRとして多くの医師とコミュニケーションしていた波間の経験が生かされた。波間は医療機関から提供されたデータをもとにしながら、今までにないシャンプーを企画した。

「一般的にシャンプーは『髪をきれいに洗うもの、さらさらにするもの』でしたが、私の作るシャンプーは『頭皮を洗うもの』にしようと考えていたんです。このコンセプトを信じていこうと」

 髪の基礎となる頭皮環境のケアは、頭皮や毛穴の汚れ(主に皮脂)を落とすことである――それはドクターとの共同開発があったからこそわかった重要なヒントだった。頭皮を洗うための男性用シャンプーは、当時はまだどこのメーカーも作っていなかった。

 もちろん、シャンプー開発という新たなチャレンジはアンファーにとっても波間にとっても一つの賭けではあったが、波間の目にははっきりと光明が見えていた。

【医療機関専用から一般販売へ】

波間隆則(アンファー株式会社)
毎年、リニューアルをし続ける『スカルプD』。今後、どのような進化を遂げるのか注目していきたい。
 しかし、いざ開発を始めてみると、波間が立てた「頭皮を洗うシャンプー」という斬新なコンセプトに対しては、「やっぱり髪がさらさらする従来のものがいいのではないか」など逆風となる意見も社内外から寄せられた。

「自分が信じると決めたコンセプトが、何度も揺らぎそうになることがありました。でも、『絶対に髪で悩んでいるお客様に喜んでいただけるシャンプーになるはずだ』と思い、信念を貫きました」

 そして2001年、頭髪専門の医療機関との共同開発製品として、初代「スカルプD」に当たる「スカルプソープ」が誕生した。

「スカルプソープ」は頭髪専門の医療機関向けのもので、一般販売はされていなかった。しかし、使用した患者からは好評であったことなどを受け、述べ23万8000件の臨床データをもとに、2005年から一般販売を開始(なお、スカルプDの「D」は「ドクター、ダーマトロジー(皮膚科学)、ディベロップメント(開発)」に由来する)。

「当時は大きな勝算があったわけでも、現在のようなヒット商品になる確信があったわけでもありません。ただ、アンファーには『変革を恐れずに挑戦する』というフィロソフィーがあり、『スカルプD』のコンセプトにも自信がありましたので、思い切って一般販売という挑戦に乗り出したんです」

 一般販売当初の売上は決して大きいものではなかった。しかし、年を重ねるごとに「スカルプD」は着実に販売数を伸ばしていき、2008年から始まるお笑い芸人を起用した広告によって一気にブレイクした。

 もちろん、広告の成功だけではなく、波間が開発当初に打ち立てた「頭皮を洗うシャンプー」というコンセプトとその効果が、多くの男性たちに受け入れられ、支持された結果だった。

【毎年のリニューアルで進化を継続】

波間隆則(アンファー株式会社)
「スカルプD」は自分にとって「人生の転機となり、開発者としての自信の源にもなってくれた製品です」と語る波間。
 実は、「スカルプD」のヒットを支えているもう一つの大きなポイントがある。それは、毎年必ず行われる製品のリニューアルだ。

 2005年の一般販売から数えると、今年は8代目の「スカルプD」になる。容器の形や色の変化(基調となる色は2005年は白、2007年からグレー、2009年から黒、そして今年は赤)がもっとも目に付くが、シャンプーそのものの質の向上も実現されている。

「毎年リニューアルしていることには2つ理由があります。1つは、常に最先端のものをお客様に提供するためです。2012年版には約4年かけて独自開発した界面活性剤『アミノウォッシュ+』を洗浄成分として配合したり、4つの頭皮ケア成分を含んだナノカプセルを配合したりしています。そして、リニューアルのもう1つの理由は、常に他社の先を行くため。他社から類似の商品が発売されていることは、市場の活性化という意味でありがたいことではありますが、たとえば3年ごとのリニューアルでは他社に追いつかれてしまう可能性も考えられます。私たちは毎年新しい『スカルプD』を投入することで、追いつけない存在でありたいと思っているんです」

 毎年のリニューアルは、開発者として「正直、つらいと思うこともあります」と笑う波間。しかし、その不断の向上意欲が製品の限界点を押し上げ、消費者にとってより魅力的なシャンプーへ進化する力となったことは言うまでもない。

「2009年版のリニューアルのときに、かつて働いていたクリニックの美容外科で行われているケミカルピーリングに使われていたサリチル酸の使用をふと思いついたんです。ひらめきですね。今まで他社を含めてシャンプーの主剤に使われたことのない成分でしたので、もし私が他社でシャンプー開発を経験してきた人間だったら、おそら く採用しなかったと思います」

 波間は美容外科クリニックで働いていたときの経験を生かし、まったく新しい成分の配合にチャレンジした。有効性をキープしながら安全性をどうやって担保するのかを検討した上、毛穴の汚れを取り除く効果などがあるサリチル酸を配合。2009年版「スカルプD」として発売した。すると、見事に売上は前年よりアップした。サリチル酸の配合は、現在まで続いているという。

 このように波間は、開発者として自分がこれで行くと決めたコンセプトや信念を貫き、「スカルプD」という大ヒット商品を生み出した。「開発者」という役割の本来あるべき姿がそこにある。いや、むしろ理想的な姿といったほうがいいだろうか。

 最後に波間は、開発に当たってアイデアを練る方法を教えてくれた。

「私の場合、具体的な人物の顔を想像しますね。たとえば、『こういう成分を入れてこういう効果のあるものにしたら、友達の誰々だったらきっと喜んで使ってくれるだろうな』と。その具体的な誰かの向こう側に、同じニーズを持ったたくさんのお客様がいるんです」

 開発者の信念と、それを後押しする会社のフィロソフィーによって生み出され、成長を続けてきた「スカルプD」。その進化は今後も止まることはない。
※敬称略
  • 波間隆則
  • プロフィール
    波間隆則
    アンファー株式会社 商品開発部シニアフェロー兼アンファーエイジング研究所研究員。43歳。1999年に入社。「スカルプD」の生みの親であり、現在はサプリメントや男性用化粧品「アンファー スキンケア メンズシリーズ」なども含めたエイジングケアプロダクトの開発に携わっている。


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