OZmagazine編集長の「F太郎通信2017」7通目

F太郎通信2017

オズマガジン編集長古川が、日々の中で感じたことを、読者のみなさんに手紙を書くようにつづったエッセイのようなものです。

更新日:2017/09/03

F太郎通信2017

いつのまにか7通目。いつもありがとうございます

 こんばんは。日曜日の夜。2週間ぶりです。お元気でしたか? どんな1週間でしたでしょうか。夏バテしている方もいらっしゃるかもしれませんね。元気出してくださいね。
 気がつけば8月があっという間に通り過ぎていき、もう9月になりました。まだまだ暑い日が続いていますが、明け方の光や真夜中の帰り道の風の中に、ひっそりと秋の気配が忍び込んできているのを感じます。

 前回のこのコラムのコメント欄に、いくつかオズモールに対する愛あるご意見をいただきました。どうもありがとうございます。オズモール編集部とも共有し、そのような意見があるということを受け止め、この先より使いやすいサイトになっていけるように努力します。
 サイトには多くの人が携わっていますので、いろいろな考え方や、さまざまなルールもあります。すぐにご期待に添うようなことができるかわかりませんが、どうか暖かい目で見ていただければと思います。

 それ以外にも、たくさんの暖かいコメントをありがとうございます。みなさんが読んでくださっていることが嬉しいですし、なにより毎回読んでくださっている方が多く、それが伝わってくるのがとてもありがたいなと感じています。

「よりみちじかん」というオズマガジンのサイトを始めるにあたって、僕はこのコメント機能というものを、正直に言うと不安に思っていました。

 ニュースサイトなどのコメント欄は、もはやネガティブコメントの集積場のようになっています。誰かのちょっとしたミスや心の闇を、その誰かに会ったこともない人たちが吊るし上げるようなコメントが数千とついています。
 そのコメントひとつは、小さな針のようなものかもしれません。誰かにとってはなにげないつぶやきのようなものなのかもしれません。でもそれは針であることに変わりはありません。

 1本の針がちくりと心に刺さったとしても、それはちょっと痛いだけかもしれませんね。でも3000本の針が心に刺さったらどうでしょうか? 実際それがサイト上で起こっていることです。
 針というのもはあくまで比喩であり、実際の針がその人の心を刺すことはありません。だからそれはしてもいいことなのでしょうか? 

 僕の好きなプロ野球選手は、いま肩を壊して数年間1軍のマウンドに立てずにいます。その投手は圧倒的な実力で甲子園と日本のプロ野球を席巻し、メジャーリーグでも活躍しました。あるときは日本代表としてフル回転し、日本を世界大会で優勝に導いてくれました。多くの国民が彼の活躍に胸を躍らせ、日本の野球に誇りを持つことができました。
 でもいまメジャーから帰った彼にインターネット上で向けられているコメントの多くは誹謗と中傷です。引退しろだとか、年俸を返すべきだとか、そのような針のような言葉が並んでいます。
 ネット上で彼に引退しろという人が、彼のこの先の人生の保証ができるのでしょうか。年俸を返すべきだと言っている人が、彼に年俸を払っているのならそう言う権利はあるでしょう。でもそうじゃない。「そもそもそういう人はネットなんて見てないし、気にしていない」という人もいます。都合がいいですね。本当にそうでしょうか?

 彼らも僕らと同じ人間です。そのネットに並べられた自分に対するネガティブコメントを見て、傷つかないはずはないと思います。誰だって針を刺されたら痛いのです。

 ここでネガティブなコメントについて悪く言いたいわけじゃありません。なかには的を射た指摘もたくさんあることも、理解しているつもりです。

 僕が言いたいのは、それが指摘であるのならしかるべき場所でするべきだと思うし、もしそうでなくて発散なのだとしたら、少しでもそういうことが少なくなればいいなと思うということです。

 僕らは弱く小さな存在です。誰だって多かれ少なかれ自分と誰かを比べてしまうものだし、正しいことばかりして生きていられるわけでもありません。ネガティブな気持ちにだって襲われます。

 でも、その不完全なもの同士で助け合いながら生きていくことはできると思うのです。だから誰かのことを悪く言う時間があったら、誰かの良いところを探してそれをその人に伝える時間にしたほうが、よっぽどいいと思うのです。
 そうして誰かにいい気持ちにしてもらった人は、また別の誰かをいい気持ちにすることができる。なぜならその人はいい気持ちというのを体験として知っているからです。それがどのように自分にもたらされたかを知っているからです。

 こういうことを言うと「きれいごと」だと言われてしまうかもしれませんね。確かにそうかもしれません。でも「きたないこと」を口にするよりも「きれいごと」を口にしていたいと思うのです。

 オズマガジン編集部は、みなさんの「いい1日」のきっかけになるべく、今日も次の号を作っています。
 町を歩いて、お店に取材させていただいて、ライターさんやカメラマンさんとやり取りをしていると、ほんとうにたくさんの「きれいな心」のようなものにふれる瞬間があります。この世界は、よく見るとほんとうにたくさんの光のようなもので溢れています。そしてその光は、弱い人間が必死に生きて育てている「きれいな心」なのです。

 オズマガジンのなかに少しでも多くのその光をとじ込められますように。そう思って、今日もていねいに本を作りたいと思います。

 次の号は「銀座特集」。9月12日発売です。ぜひ多くの方に手に取っていただけたら嬉しいです。

 では、また2週間後にお会いしましょう。

 いい1日を。

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