結婚祝いや出産祝い、誕生日の贈り物、お見舞い、お宅訪問時・・・など、社会人ともなれば贈り物をする機会も増え、そのセンスが問われるもの。相手に気持ちがきちんと伝わる贈り方や、センスがいい! と言われる品物選びのコツをアドバイス!
プライベートな空間にお邪魔するため、相手の家族にも気を配りたいのがお宅訪問。先方の家族構成や人数、好みなどを事前になにげなくリサーチし、相手の好みやライフスタイルに合ったものをセレクトしたい。そのうえで“わざわざ”買ってきた、と思わせないよう配慮を。
■家族構成をリサーチして少しだけ気の利いたものを
友人や先輩の新築祝い、恋人の家など親しい間柄での訪問時もマナーが必要。「家族構成を聞くのがベターです。1人暮らしの方になま物は向かないし、子供がいるお宅であればアルコールだけでは不親切。とはいえ、事前に情報がないときのために、幅広い年齢層に使えるアイテムをストックしておくといいですね。また、自宅近くの“みやげ”もよいでしょう。『近所で評判のケーキ店の看板商品なんです』といえば、相手も気を使わずにすみますから」(今井先生) 先方のお宅を訪れたらあくまでもさりげなく渡したい。
「TJコミュニケーションズとも子塾」主宰。TBSアナウンサーを経て、1987年コミュニケーションスクール「とも子塾」設立。企業研修・講習や執筆など、幅広い分野で活動。
贈り物をするとき、まず悩むのはなにを基準に、どんなものを差し上げればいいのかということ。
「予算や、どんなものにするのかという考えに縛られると、お店をうろうろして結局決められず・・・が関の山でしょう。でも本来は相手に喜んでもらいたいという気持ちが先にあってのこと。その心を表すため、気持ちを渡す、返す、伝えることが贈り物の意義です」
相手はなにが趣味で、どんなものが好きなのか、また、どんなタイミングで渡せばいいのかを考えてから、贈り物選びに入るのもポイント。
「誕生日などの記念日は当日に、お礼はその余韻が冷めないうちに、また相手が落ち込んでいるときは気持ちをそっと支えるようなものを贈る。そんな間合いや気持ちを考えるといいでしょう」
贈り物の目的は大きく分けてふたつある。ひとつは結婚、出産、入学、就職などのお祝い。もうひとつは手みやげやお歳暮など感謝だ。
「例えば男性からプレゼントをいただいたとします。お付き合いしていなければ、“なぜ?”と思ってしまうはず。こういうときは『仕事柄、試作をしたのでぜひ』などのメッセージがあればいただきやすいでしょう。必ずなんのためのプレゼントなのか、その思いを伝えるカードや言葉を添えることが大切。贈る側は、自分本位にならず、相手に余計な心配をさせないよう、贈り方を工夫しましょう」
かつて日本では、のしに「新築祝い」「結婚」などと書き、目的がわかるように贈り物をしていた。その明確な一語こそ、相手に気持ちよく受け取ってもらうための気遣いだ。
なんのために贈り物をするかが決まったら、いよいよなにを選ぶかだ。心を表す贈り物には、品物つまり有形のものと、思い出づくりという無形のものがある。旅行やミュージカルのチケット、イベントといった形のないものも立派な贈り物だ。
「私自身、今までたくさんの贈り物をいただきましたが、印象的だったのは、結婚式のときに技術をプレゼントしてもらったこと。恷рスちにまかせて揩ニ友人のヘアメイクさんが来てくださって。たった5分のお色直しでもそれはみごとに、素敵なヘアスタイルに整えてくれたの。形ではないからこそ、心の奥深くに届く贈り物ってあるんですよ」
例えばサッカー好きの彼のために観戦チケットをプレゼント。これも形には残らないけれど、相手への思いそのものが贈り物となり、思い出として相手の心に必ず残るはず。
“センス”は数値で表せず、感覚でしか測れないのが難しいところだが、贈り物こそセンスが問われるもの。
「センスをアップさせるにはバランス感覚が必要です。バランス感覚とはコーディネートする力で、いつ、どこで、誰に、なにを、なぜ、いくら、どのように贈るのかという“5W2H”を明確に理解していること。例えばビジネスシーンでは、シャツや小物などで青っぽいものを身に着けている男性に『青がよくお似合いだから』とブルーのネクタイをプレゼントする、これがセンスと殺し文句。それには相手をよく知ることが不可欠で、コミュニケーションの中でしか磨かれません。そのためには電話で話すときや会った際に、相手の言葉の端々や一挙手一投足を観察すること。相手を理解したうえで選ぶ贈り物には、センスというスパイスがプラスされるのです」