聖夜までの時間を豊かにする、クリスマスの絵本たち

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大切な人や家族とワイワイ楽しむパーティもいいけれど、とっておきの絵本を開いて聖夜までの期間を過ごすのはいかが? かわいくて愉快なお話、心に染み入る言葉、細部まで緻密に描かれた美しい絵・・・。サンタクロースを待ち続けた子供の頃とは違ったメッセージが読み取れるはず。絵本のプロに選んでもらった、クリスマスシーズンに読みたい大人の絵本をご紹介します!

更新日:2017/11/14

クリスマスの絵本について

子供の頃とは違った驚きや感動に出会える絵本の魅力

幻想的な雰囲気に包まれるクリスマスシーズン。聖夜までのひとりの夜におすすめなのがクリスマスをテーマにした絵本たち。大人になってから絵本を開いてみると、心に染み入る切ない言葉や美しい絵の数々に、子供の時とは違った感動や発見に出会える。「言葉が少ない分、読み手によって解釈が変わるのが絵本の魅力。行間を読む、というのは大人の楽しみ方ですね」(ニジノ絵本屋・いしいさん)。経験を重ねたからこそ共感できる、絵本の魅力に浸かってみよう。

本屋をにぎわすクリスマスの絵本の種類はさまざま。サンタクロースやトナカイ、雪の景色などクリスマスのモチーフが登場するロングセラーはもちろん、神聖な夜にぴったりの美しい絵や言葉が詰まったアート的作品など、大人向け絵本も人気。「クリスマス絵本の人気は世界共通ですが、新刊や重版される数などクリスマス本が多いのは日本ならではの傾向です。クリスマスの絵本を含めて、世界中の絵本が手にとりやすい環境は日本の誇れる点ではないでしょうか?」(ブックハウスカフェ・茅野さん)

ベストセラーシリーズのセットを大人買いしたり、美しいカバーの絵本を選んでインテリアとして楽しむ女性も増えている。また、絵本はクリスマスプレゼントとしての人気も高く、「うちでは、3000円~5000円くらいの比較的高価な絵本が選ばれています。細部まで心を尽くして作られている絵本は、上質なプレゼントというイメージがあるみたいですね」(茅野さん)。書店によっては、クリスマス仕様ラッピングも用意されている。自分へのご褒美に、大切な人へのプレゼントに素敵な1冊を見つけて。

本のプロがおすすめする、クリスマスに読みたい10冊の絵本

今回絵本を推薦してくださった、3名の書店スタッフさん

書店をのぞくと、クリスマス絵本のコーナーが設置され心がワクワクするこの時期。だけど、多彩な本の中からお気に入りの1冊に出会うのは至難の業。そこで、絵本に精通する書店のスタッフさんに「クリスマスに読みたい絵本」をピックアップしてもらいました。今回ご協力いただいた3名のスタッフさんをご紹介。

(写真左)店主 落合博さん/Readin' Writin' BOOKSTORE
元新聞記者で3歳の男の子の父親でもある落合さん。来店された女性がお孫さんに絵本を買ってあげる光景を目の前にして、「本は素敵な贈りモノにもなるんだなあ」と実感したそう

(写真中)店主 茅野由紀さん/ブックハウスカフェ
幼少から母親が心配するくらい本ばかり読んでいたという茅野さん。「本屋は一生の宝物と出会える場所であり、絵本はお酒のように自分を解放してくれる欠かせないアイテムです」

(写真右)代表 いしいあやさん/ニジノ絵本屋
活字を読むのが苦手、といういしいさんが虜になったのが目でも楽しめる絵本。海外旅行時にも絵本を持参するほど。「旅先で写真に入れ込んで“絵本ジャーニー”を楽しんでいます」

【01】サンタクロースを信じていた純粋な心が蘇る!

「サンタクロースからプレゼントをもらっていた幼少期を思い出しながら読んでほしい」(落合さん)。サンタクロースが、世界中の子供たちに一晩でプレゼントを配れるのかな?と心配したり、もしかしてお父さんなのかな?と疑問を抱え始めたり・・・。誰もが幼少期に感じた思いを、日本人の作家が「新しいサンタクロース」の物語にした1冊。

フィンランドのイラストレーターによる温もりのある絵が、子供の頃のクリスマスイブへと誘ってくれる。「読み終わると、やっぱりサンタクロースはいるんじゃないか?と思わせてくれる素敵な絵本です」(落合さん)

絵本DATA

『ひゃくおくまんのサンタクロース』
もたいひろこ・文/マリカ・マイヤラ・絵
アノニマ・スタジオ 1500円+税

ひとりではプレゼントを配りきれなくなったサンタクロースが、神様にお願いしてどんどん仲間を増やしてもらうというお話。ラストには「あっ! 」と驚く結末が・・・

【02】美しくて尊い星空の絵にパワーをもらえる

「水面に星の光が反射するシーンや、夜の闇に浮き出る木々の姿など、独特な絵の世界観に引き込まれます」(落合さん)。孤独を抱えた少女と少年が、寄り添いながら旅をする物語は夜のシーンが多く、言葉は少なめ。静寂な聖夜にページをめくると、思春期の苦く切ない思いがこみ上げてくるはず。

クリスマスイブに、少女に悪い知らせの電話がかかってくる。胸に詰まる思いを癒してくれるのは、美しい絵の数々と少年との交流。そしてラストは新しい扉が開く。「人はたくさんの出会いと別れを経験して成長していく。明日への一歩を後押ししてくれる、そんな力がもらえる絵本です」(落合さん)

絵本DATA

『星空 The Starry Starry Night』
ジミー・リャオ・著/天野健太郎・訳
トゥーヴァージンズ 2000円+税

両親の不仲や大好きな祖父との別れなど、孤独を抱える主人公の少女。ある日、向かいの家に引っ越してきた少年と、美しい星空を見るために少女の思い出の場所へと向かう

あああ

【03】子供の頃の豊かな感性を取り戻したいときに

「クリスマスイブには、きっとこんなシーンがあちこちの家庭で見られるはず」(落合さん)。主人公の女の子がベッドの中で、お父さんの帰りを待ちながら「お父さんは今どこかな?」とか、想像を膨らませる物語は、幼少期のワクワクした自分と出会わせてくれる。女の子の想像の中で、傘を開いて空を飛び、カッパに捕まりそうになりながらも必死に家を目指すお父さんの姿に心がほんわか。

「クリスマスの時期に読むと、お父さんの姿がサンタクロースのようにも捉えらえます。プレゼントを渡すために女の子の家に向かうサンタクロース。特に傘で空を飛ぶシーンは、トナカイで空を飛ぶサンタクロースのようにも見えてきますよ」(落合さん)

絵本DATA

『おとうさんは、いま』
湯本香樹実・文/ささめやゆき・絵
福音館書店 900円+税

お父さんに絵本を読んでもらう約束をした主人公の女の子が、帰宅を待ちわびながら、想像をどんどん膨らませていくお話。ワクワク、ドキドキの展開の結末は?

あああ

【04】ホワイトクリスマスを期待したくなる仕かけ絵本

真っ白な一面銀世界に残っている動物たちの足跡。その型押しの先をめくるといろいろな動物たちが登場する、パリのイラストレーターによる仕かけ絵本。「ホワイトクリスマスを連想させる雪の世界とカラフルな動物たちのコントラストが印象的です」(茅野さん)。これを読むと、雪が積もったクリスマスの朝に、外へ飛び出して大はしゃぎしたくなりそう。

言葉が少ない分、想像する楽しみがある。この子はどこから来たのかな? なぜここに隠れているのだろう?と。紙面をじゃばら式に広げると、雪の日の散歩道が表れる仕かけも。「お部屋に飾ったり、ギフトにもおすすめです」(茅野さん)

絵本DATA

『ゆきのあさ』
ステフィ・ブロコリ・作
アノニマ・スタジオ 1800円+税

真っ白な紙にほどこされた型押し、めくって見つける喜び、じゃばら式に広がる造本など、紙に触れる喜びを堪能できる仕かけ絵本。読者が物語を想像しながら楽しめる1冊

あああ

【05】ひとりで過ごす聖夜に明かりを灯してくれる

主人公の女の子が、祈りのために灯した無数のロウソクが、空いっぱいに浮かぶシーンが幻想的な1冊。世界的に活躍する作家・荒井良二さんが描く独特の世界観に引き込まれていく。「静寂の中にぼうっと広がる火の描写を見つめていると、温度や風を感じます。徐々に夜が深まっていくラストのシーンは、神聖な夜にこそ、いつまでも見続けていたくなります」(茅野さん)

「この絵本を読むと、一つひとつの祈りは小さいながら、集まった祈りはじんわりと世界に広がっていくのだと感じます」(茅野さん)。クリスマスの夜に詩集のような絵本は、ひとりで読んでいると、じわーっと温かな涙がこぼれそう。

絵本DATA

『きょうというひ』
荒井良二・著
BL出版 1300円+税

主人公の少女が、雪で作ったたくさんの小さな家に一つひとつロウソクを灯し、それが消えないように「きょうというひのちいさないのりがきえないように」と祈りを捧げるお話

ああああああ

【06】五感が研ぎ澄まされる画文集で特別な夜を

「贈った側のセンスが光る、クリスマスギフトにおすすめの画文集です」(茅野さん)。ぬいぐるみや小さな男の子など可愛いモチーフでありながら、シンとした静けさが感じられる酒井駒子さんの絵の数々は、絵画としても魅力的。また、五感で掬い取った日常を紡ぐエッセイは驚きに満ち、密かな世界に迷い込んでしまったようなドキドキ感が味わえる。

「日々、忙しい日常に追われている大人の女性のための1冊。36編の言葉が紡がれているので、聖夜まで眠る前に少しずつめくるのもいいですね」(茅野さん)。飾っておくだけでも部屋の雰囲気が変わる1冊で、いつもと違う聖夜を迎えては?

絵本DATA

『森のノート』
酒井駒子・著
筑摩書房 2100円+税

森閑とした山の家と東京の街とを行き来する絵本作家の日常を、独特の視点や感覚で切り取った画文集。「子犬」「絵本」など、全36編のエッセイを絵画のような静謐な絵と共に表現

あああ

【07】“大切な人”を思いながら読みたい愛の物語

飛び立つ蝶、つぼみの花、約束のリボン、無垢な裸の女性・・・ページをめくると、手触りを感じるやさしい絵が散りばめられている。それらが、「かみさまはいました ふたりに、なれた わたしたちは、であうことができた」など、シンプルな言葉にやさしく寄り添う。「経験を積んだ大人が読むと、いろんな解釈ができるのがこの本の魅力です」(いしいさん)

「特に印象的なのは、貝のブローチのような模様や、冒頭で離れ離れだった赤と青の花が終盤に寄り添う絵。聖夜に大切な人と読むのもいいけれど、家族、パートナーなど大切な人を思いながらひとりでじっくり味わうのも素敵です」(いしいさん)

絵本DATA

『ふたり』
甲斐みのり・作/福田利之・絵
mille books 1400円+税

かつて共に過ごした人、今隣にいる人、これから出会う人・・・。なに気なく続く日常の感謝を詩的な言葉と、それに寄り添うように麗しく気品に満ちた絵で展開する大人向けの絵本

あああ

【08】静かで豊かな力が伝わる、世界中に愛される「夜の木」

「聖夜に読むと、木々が放つ生命力や美しさに圧倒されます。シルクスクリーンを使って1色ずつプリントされた絵本にはシリアルナンバー付き。一生の宝物として、クリスマスシーズン毎にゆっくり眺めるのもいいですね」(いしいさん)

クリスマスツリーに欠かせない神聖な木。本物の木を家に飾ることはできないからこそ、クリスマスの時期にインテリアとして飾りたい1冊。「1冊ずつハンドメイドで作られた世界にひとつだけの絵本には不思議な温もりを感じ、男女問わず惹かれる魅力があります」(いしいさん)。ざらりとした漆黒の紙に、闇夜に光る精霊の宿る木が描かれ、木にまつわるインドの神話が添えられている。

絵本DATA

『夜の木』
シャーム/バーイー/ウルヴェーティ・著/青木恵都・訳
タムラ堂 3200円+税

南インドの小さな出版社が、手すきの紙に手作業で1枚ずつ印刷して完成する世界中で話題の絵本。夜に本性を現すという聖なる19本の木々。その絵に添えられた言い伝えの言葉に想像力が膨らむ

あああ

【09】大切な人のことを想いながらゆっくり読みたい1冊

人恋しくなるクリスマスシーズン。彼はいるのだけれど、すれ違いや、ボタンの掛け違いで孤独を感じる夜もある。そんな経験がある女性ならきっと共感できる、切なくてスイートな1冊。全編青を基調とした絵の中に、ポエムのような言葉が綴られ、はっとさせる写真にリアルな世界へと引き戻される。

「そろそろ笑ってほしいんだけど」と、泣き続ける彼女を見守りながら想う彼。そんな想いを声に出してくれたらなら、彼女の不安も解消するのに・・・。「クリスマスの夜、キャンドルが灯る部屋で読んでみると、恋がしたくなるはず」(いしいさん)

絵本DATA

『青く、甘く』
郡司茉莉・作/村田祥子・絵/樋口絢子・写真
ニジノ絵本屋 1800円+税

彼が家に帰ると彼女が泣いている。身近なカップルのたわいもない、でもとても大切な日常を描いた1冊。青を基調とした淡いアクリル画に、ロマンティックな言葉が綴られていく

あああ

【10】アリスと一緒に不思議の国へ出かけてみよう!

「不思議の国のアリス」をテーマにしたケーキやデザートが町のあちこちに登場するクリスマスシーズン。世界中で愛されるルイス・キャロル原作『不思議の国のアリス』を対訳した絵本がこちら。「60年前に出版された昭和の画家による1冊を、原画のふんわりとしたやさしい色合いを残したまま再出版。原作の絵とはひと味違う絵のタッチにキュンときます」(いしいさん)

ページをめくるたび、絵本から飛び出てきそうなくらい生き生きとしたキャラクターたちに好奇心がかき立てられる。「アリスと冒険をしているような体感を味わえますよ」(いしいさん)。特別なクリスマスの夜に、絵本の世界で冒険してみては?

絵本DATA

『ふしぎの国のアリス』
松本かつぢ・絵 宇津原ゆかり・文 バーンハード・オートリーブ・英訳監修 宇津原充地栄・総合監修
ニジノ絵本屋 2800円+税

少女アリスが白ウサギを追いかけて不思議な国へと迷い込み、しゃべる動物や動くトランプなど、さまざまなキャラクターたちと出会う冒険ファンタジー。映像化もされた不滅の名作

今回の書店スタッフがいる、絵本探しにおすすめの本屋さん

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感度の高い女性が集まる「Readin' Writin' BOOKSTORE」

築60年ほどの木材倉庫を活かし、2017年4月田原町にオープン。絵本や図鑑、教養系の新書など、落合さんがセレクトした「長く読み継がれている本、読み継がれてほしい」新刊本がギャラリーのように美しくディスプレイされている。店主が淹れるコーヒー500円は、本を購入すると100円引きに。

本屋DATA

電話/03-6321-7798
住所/台東区寿2-4-7
営業時間/12:00~18:00
定休日/月定休
アクセス/東京メトロ銀座線田原町駅より徒歩2分

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お気に入りの本に出会える!児童書専門店「ブックハウスカフェ」

2017年5月に、本の町・神保町にリニューアルオープン。30人ほど座れるソファーをしつらえた店内には、国内外から集めた絵本・児童書が12000タイトル以上。一生のバイブルとなる1冊が見つかるかも。夜はカフェ―バーとしても楽しめ、平日は夜11時までゆっくり本選びができるのも嬉しい。

本屋DATA

電話/03-6261-6177
住所/千代田区神田神保町2-5北沢ビル1F
営業時間/11:00~23:00 土・日・祝~19:00
定休日/なし
アクセス/東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄三田線・新宿線「神保町駅」よりすぐ

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作り手の思いを届ける絵本専門店「ニジノ絵本屋」

自社出版の絵本や、ご縁があって知り合った作家・出版社の絵本を中心に選書したアットホームなお店。店内には、いしいさんが海外で見つけてきた絵画のような絵本が飾られギャラリーのよう。絵本作家が選んだ絵本棚も設置され、スタッフとの会話も弾む。トークショーや読み聞かせイベントも定期的に開催。

本屋DATA

電話/03-6421-3105
住所/目黒区平町1-23-20
営業時間/11:00~20:00
定休日/水定休
アクセス/東急東横線都立大学駅より徒歩3分

TEXT/NARUMI AKIBA  PHOTO/NORIKO YONEYAMA

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