ヨーロッパの名門一族が築いた世界屈指のコレクション!上野の国立西洋美術館で「ハプスブルク展」を開催

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」王女マルガリータ+マリー・アントワネット  PC

13世紀以降、数世紀にわたって広い領土を支配し、ヨーロッパの中心に君臨し続けた名門・ハプスブルク家。その豊かな財力で集めた世界屈指の美術コレクションを紹介する「日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史」が、2019年10月19日(土)から2020年1月26日(日)まで上野の国立西洋美術館で開催される。絵画や工芸品など、約100点の名品を堪能して。

更新日:2019/08/06

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」角杯
《角杯(グリフィンの鉤爪)》北ドイツ?、15世紀前半、角、鍍金された銀、ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum, Wien

コレクションの始まりは神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世

今回は、オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する展覧会でもあり、ウィーン美術史美術館協力のもとに開催。会場は5章7セクションから構成され、コレクションの歴史を時代とともに紹介する。

第1章「ハプスブルク家のコレクションの始まり」では、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世(1459~1519)にゆかりの絵画や武具、工芸品などを展示。マクシミリアン1世はコレクションの基礎を作った人物で、ここではその肖像画や、実際に着用した甲冑(かっちゅう)なども展示。「中世最後の騎士」と呼ばれた皇帝の、勇姿を想像してみるのもいいかも。

また、コレクションの構築に大きな役割を果たした、大公フェルディナンド2世(1529~1595)の大規模な収集についても紹介する。彼が集めた世界の工芸品を見れば、どれほどその収集が情熱的だったか伝わるはず。

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」ルドルフ2世+青年の肖像
左/ヨーゼフ・ハインツ(父)《神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の肖像》1592年頃、油彩/銅板、ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum, Wien 右/ジョルジョーネ《青年の肖像》1508-10年頃、油彩/カンヴァス、ブダペスト国立西洋美術館、Szepmuveszeti Muzeum, Budapest 

魔術や錬金術に熱中した史上最高の変人のコレクション!?

第2章「ルドルフ2世とプラハの宮廷」では、ヨーロッパ史上でも稀代のコレクターとして有名な神聖ローマ皇帝ルドルフ2世 (1552-1612)のコレクションに注目。ルドルフ2世はドイツのルネサンス期の画家・デューラーや16世紀のフランドルの画家・ブリューゲルを好み、植物などの「寄せ絵」で知られる奇想の画家・アルチンボルトなどお気に入りの画家たちの作品を数多く収集している。

彼は首都をウィーンからプラハに移して、コレクションを特別な保管場所に集めたというが、政治には無関心で、魔術や錬金術、天文学に熱中していたそう。この章は、そんなちょっとオタクなイメージのある史上最高の変人・ルドルフ2世が集めた絵画をはじめ、アジア由来の珍しい品々や、貴重な版画関連のコレクションを紹介する。

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」井戸端のレベカとエリエゼル
オッターヴィオ・ヴァンニーニ《井戸端のレベカとエリエゼル》1626年頃、油彩/カンヴァス、ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum, Wien

偉大なコレクターたちが揃った17世紀は収集の黄金時代

一番コレクションの充実した時代を3つのセクションに分けて展示する、第3章「コレクションの黄金時代:17世紀における偉大な収集」は、見どころも多い。

16世紀の半ばにオーストリア系とスペイン系に別れたハプスブルク家では、お互いの近況を知らせあう手段として肖像画を利用していたという。ベラスケスの晩年の傑作《青いドレスの王女マルガリータ・テレサ》も、のちに神聖ローマ皇帝となるレオポルト1世(1640-1705)に幼い許婚の姿を伝えるために制作されたもの。いわば、花嫁のポートレートというわけ。

この時期にインスブルックを拠点にして収集を行った大公フェルディナンド・カール(1628~1662)も、重要なコレクターのひとり。特に16~17世紀のフィレンツェ派の作品を多く集めている。

最後のセクションでは、ウィーン美術史美術館の絵画コレクションの礎を築いた大公レオポルト・ヴィルヘルム(1614~1662)のコレクションを展示。こうしてみると、ハプスブルク家ゆかりの人々のなかには、重要なコレクターが多く存在することが分かる。

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」肖像が描かれた小箱
《神聖ローマ皇帝フランツ1世とマリア・テレジアの肖像が描かれた小箱》 ウィーン?、18世紀半ば、唐冠貝、金、ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum, Wien

18世紀のハプスブルク家の肖像には国母も悲運の王妃も

第4章「18世紀におけるハプスブルク家と帝室ギャラリー」では、優れた政治的手腕で広大な領土を治め「国母」と慕われた皇妃マリア・テレジア(1717~1780)と、その末娘マリー・アントワネット(1755~1793)など、激動の時代に生きた人々の肖像画をメインに紹介する。

マリー・アントワネットといえば、政略結婚でフランス王妃となり、フランス革命でギロチンの露と消えた悲運のヒロイン。彼女もまた、ハプスブルク家の一員だと思うと、この名門家がヨーロッパの歴史に深く関わっていることが実感できる。

また、18世紀には、現在の美術館展示につながる「帝室ギャラリー」も整備。芸術を一般に公開して、人々を啓蒙しようという活動が始まったことは、歴史的に見てもかなり興味深い時代と言える。この章では、そういった美術館展示の歴史についても紹介してゆく。

「ハプスブルク展@国立西洋美術館」エリザベト+指輪
左/ヨーゼフ・ホラチェク《薄い青のドレスの皇妃エリザベト》1858年、油彩/カンヴァス、ウィーン美術史美術館 Kunsthistorisches Museum, Wien 右/《ルイ16世とマリー・アントワネットの子供たち、ルイ・シャルルとマリー・テレーズ》フランス、19世紀初頭、ダイヤモンド、ルビー、真珠、エナメル、金、国立西洋美術館、橋本コレクション The National Museum of Western Art, Tokyo Donated by Mr. Kanshi Hashimoto, 2012

名門ハプスブルク家の華やかな時代が終わりを迎えるまで

最後の第5章「フランツ・ヨーゼフ1世の長き治世とオーストリア・ハンガリー二重帝国の終焉」は、栄華の果てに終焉を迎える神聖ローマ帝国を取り上げる。

18世紀の終わりに始まったナポレオン戦争をきっかけに神聖ローマ帝国は解体され、その後1804年に誕生したのがオーストリア帝国。1867年には「オーストリア・ハンガリー二重帝国」となるけれど、第一次世界大戦(1914~1918)に敗戦して崩壊し、ハプスブルク家の栄華も終わりを迎えることに。

最終章では、この黄昏の時代にスポットを当て、「オーストリア・ハンガリー二重帝国」で約60年にわたって国を治めたフランツ・ヨーゼフ1世(1830~1916)とその王妃エリザベト(1831~1898)の肖像画やゆかりの品を中心に展示する。なかには、国立西洋美術館が所蔵しているものも。

時代ごとに展示される世界屈指のコレクションの数々を、個性豊かなハプスブルク家のメンバーたちとともに、楽しんで。

ハプスブルク展 ポスター

イベントDATA

イベント名
日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
開催場所
国立西洋美術館
会期
2019/10/19(土)~2020/1/26(日)
開館時間
9:30〜17:30 
※金・土曜日は20:00まで。11/30(土)は17:30まで 
※入館は閉館の30分前まで
休館日
毎週月曜日(ただし11/4、1/13は開館)、11/5(火)、12/28(土)〜2020/1/1(水)、1/14(火)
観覧料金
一般1700円、大学生1100円、高校生700円
※一般前売りの発売は8/10(土)
電話番号
03-5777-8600 ハローダイヤル
ホームページ
ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史 公式サイト

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