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人に聞けないお尻まわりのお悩み。気になる痔や便秘、尿漏れはどうすればいい?

更新日:2020/09/03

人に相談しにくいデリケートなお悩みについて、医師や歯科医など専門家からの的確なアドバイスを聞いていく「夜の保健室」の総集編。今回は、若い女性にも多い痔や尿漏れ、便秘のお悩みについて。下腹部の内蔵や泌尿器は、ホルモンや妊娠出産などの影響を受けやすいエリア。また、便秘や頻尿はさまざまな病気のサインになっていることもあるから、医師の石川先生のアドバイスをぜひ参考にしてみて。

痔になってしまったかも・・・女性が痔になる原因とは?

Q.痔になってしまったかも・・・女性が痔になる原因とは?

排便時に血が出て肛門が痛むのが痔のおもな症状。痔には、いぼ痔や切れ痔などがあり、それぞれ医学用語では痔核、裂肛ともいう。いぼ痔は、肛門に負担がかかることで肛門のクッションが剥がれ落ちた状態。また切れ痔は、硬い便や下痢によって肛門が切れた状態をいう。

痔は、便秘や妊娠出産がきっかけになることも多いそう。とくに女性は、月経前に黄体ホルモンが多く分泌されて体に水分をため込むことで便の水分が減り、便が硬くなりやすいため、人知れず痔に悩んでいる人も多いそう。また、妊娠出産の際は、お腹が大きくなって血液が腹部に集中し、肛門周囲の血流が悪くなることもありさらに痔になりやすい。出産時に強くいきむことで初めていぼ痔になる人もいる。

石川先生によると、長時間のデスクワークや冷え性も痔の悩みと密接にかかわっているとのこと。同じ姿勢で座り長時間お尻が圧迫されたり、冷えによる血行不良のせいで肛門周囲がうっ血することで痔のリスクが上がってしまうというから注意したい。

便秘を解消するにはどうしたらいい?

Q.便秘を解消するにはどうしたらいい?

便秘は、毎日の生活習慣、腸や骨盤底の働きの異常、全身の病気、薬などさまざまな原因が考えられるため、改善方法もひとつではないのが難しいところ。

ただどんな人でも、偏食や不適切なダイエットにより食物繊維の摂取量が不足すると、便が少なくなり便秘になりやすくなるそう。そのほか、体を動かす機会が減って腸の動きが鈍くなるのもNG。理想的な排便には、便の材料となる食物繊維をしっかり食べること、体を動かすことを心がけて。「食物繊維はサプリメントで摂ることも効果的です。運動といっても、散歩や買い物で歩く距離を伸ばすような、確実に毎日続けられることから始めるのがよいでしょう」と、石川先生はアドバイスしている。

また上に挙げたように、女性は月経の際便秘になりやすくなるため、水分をしっかり補給して消化によいものを食べるなどの工夫もしてみよう。

注意したいのは、特定の薬の副作用や、大腸がん、ホルモンの病気や神経の病気が原因となっている便秘。便秘以外の体調不良を感じているなら、ひとりで悩まず病院で相談を。

くしゃみをしたときに尿漏れ。原因は老化?対策を教えて!

Q.くしゃみをしたときに尿漏れ。原因は老化?対策を教えて!

この頃メディアでもよく見かけるようになってきた女性の尿漏れのお悩み。くしゃみや咳をしたとき、笑ったときやなにかを開けようとして力んだとき、走り出した瞬間など、急にお腹に力がかかったときに尿漏れをしてしまう。このような状態を医学用語では「腹圧性尿失禁」といい、女性に多いのがこのタイプ。

腹圧性尿失禁は、尿道を締めたり緩めたりする「骨盤底筋」がうまく機能せず、お腹に圧力がかかったときにおしっこを我慢できなくなってしまうというもの。原因は妊娠や出産、肥満、加齢などさまざまな理由で骨盤底筋が傷ついたり、伸びたり、衰えたりすることが考えられる。

石川先生によると、症状が軽い場合は、自宅で正しい骨盤底筋トレーニングをすることで症状が改善することがあるとのこと。ただし、医師の診察を受けることで症状の悪化を防げたり、他の病気の可能性を調べたりすることができるので、まずは病院へ行くことが大切だそう。

頻尿は病気?トイレが近いお悩みの原因と対策

Q.頻尿は病気?トイレが近いお悩みの原因と対策

朝起きてから夜寝るまでの排尿回数が8回以上の場合や、8回以下の場合でも、我慢している状態が長い人や、自分自身で排尿回数が多いと感じている場合は頻尿と言える。

頻尿は、疾患が原因のものと、生活習慣が原因になっているものがある。コーヒーや緑茶、ビールなど利尿作用の強い飲み物が好きな人は、ノンカフェインのドリンクや水などをバランスよく飲んで生活習慣からコントロールをしてみて。また、緊張や不安を抱えているとき、体が冷えたときに一時的に頻尿になったり、加齢も頻尿の原因になるという。外出時は冷たい飲み物を控えたり、いざというときのためにトイレの場所を確認したりすることで不安がやわらげるのもおすすめ。

注意したいのは疾患が原因の頻尿。代表的な疾患としては、膀胱炎や糖尿病、子宮筋腫といった耳なじみのある病気から、過活動性膀胱、骨盤臓器脱など。「頻尿は日常生活に支障をきたすだけでなく、さまざまな疾患のサインの可能性があるので病院できちんと診察を受けることがもっとも大切です」と、石川先生。

教えてくれた人

石川昌利さん

いしかわ内科・内視鏡クリニック院長。2000年、奈良県立医科大学医学部を卒業後、医真会八尾総合病院に勤務。同医長、部長を経て、2019年9月にいしかわ内科・内視鏡クリニックを開院。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、内視鏡学会専門医、日本がん治療認定医機構 がん治療認定医など。

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WRITING/ATSUKO HABU

※記事は2020年9月3日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります