日本の最果ての海辺で、自家焙煎の珈琲店を営みながら父の帰りを待つ30代女子・岬。その向かいの民宿に住むシングルマザー・絵里子。いつも冷静でいようとする岬と、感情的な絵里子。まるで正反対の2人が親友になったのは1杯の珈琲がきっかけだった・・・。
映画『さいはてにて 〜やさしい香りと待ちながら〜』は、永作博美&佐々木希主演で贈る大人女子のための友情物語。がむしゃらに働いて、ひとりでもなんとか平気。でもやっぱり、誰かが「おかえり」って言ってくれたら、こんなに嬉しいことはない。 香ばしい珈琲のアロマが漂って、ほっと和む作品だ。
「凛と立つ岬は、女優として凛と立つ永作さん以外考えられない」と、女ひとりで珈琲店を営む吉田岬役には、永作博美さんがキャスティング。
そして初対面の岬に「なに言ってんのか全然意味解らない」と言い放つシングルマザーの絵里子役には佐々木希さん。ダメ母が、岬と出逢って変わっていく難しいキャラクターを新鮮に演じている。
さらに、生き別れた岬の父親役に村上淳さん。絵里子のどうしようもない恋人役に永瀬正敏さん。永瀬さんは撮影当時、目をケガしていて、そのリアルな眼帯が役柄の怖さを倍増させている。
今作のストーリーは完全なフィクションだが、奥能登には実際に海辺の舟小屋を改築した焙煎珈琲店「二三味(にざみ)珈琲shop舟小屋」がある。イートインスペースが併設されたこちらは、全国から豆の注文も受け付け、なんと年間9トンのコーヒー豆を焙煎する人気店!
女主人の二三味葉子さんは東京で修行したあと、石川に戻って珈琲店をオープン。岬のキャラクターのモチーフにもなった。そして映画の魅力のひとつ、岬が豆を焙煎してゆっくりと珈琲を淹れるシーンも、二三味さんが永作さんに丁寧に教えたのだそう。
岬の店「ヨダカ珈琲」の店名は宮沢賢治の童話「よだかの星」からインスピレーションを得た。鷹でもないのに鷹がつく名の鳥・ヨダカは、醜いため鳥の仲間たちから嫌われ、自分でも生きるためとはいえ、ほかの生き物を殺して食べていることが嫌いだった。絶望したヨダカは空高く飛び続け、星になって今も輝き続けている、というちょっぴり切ないストーリー。
海に面したヨダカ珈琲の目印は、背の高い街灯。夜には星のように街灯が輝き、父親が帰ってきたとき迷わず岬のもとに辿り着けるよう、彼女自身が取り付けた。果たして父親と岬は、再会できるのか!?
東京で焙煎珈琲店を営む吉田岬のもとに、ひとりの弁護士がやってくる。両親が離婚してから会っていなかった父親が、8年前から漁に出たまま行方不明だと告げられた。そして父親の唯一の財産として、岬の故郷・石川県の奥能登に古い舟小屋があるという。岬はその舟小屋で父親と仲良くギターを弾いた記憶を思い出していた。
父はまだ生きているかもしれない。生きていれば必ずあの小屋に来るはず。岬は、奥能登に引っ越し、父親との思い出の舟小屋で珈琲店「ヨダカ珈琲」を始めることに。そこは休業中の民宿しかまわりにない、まさに日本・最果ての地だった。
民宿の建物には、愛想が悪いシングルマザーの絵里子と娘の有沙、息子の翔太が住んでいた。絵里子は仕事のために家を空けることが多いため、有沙と翔太は岬の珈琲店に顔を出すようになるが、それを絵里子が知り激怒する・・・。
監督/姜秀瓊(チアン・ショウチョン)
脚本/柿木奈子
出演/永作博美、佐々木希、桜田ひより、保田盛凱清、臼田あさ美、イッセー尾形、村上淳、永瀬正敏(友情出演)、浅田美代子ほか
配給/東映
2015年日本映画
上映時間/1時間58分
2月28日(土)全国公開