2010年9月21日にデビュー15周年を迎えた、BONNIE PINKさん。昨年秋頃から、取りかかってきた15周年を記念するニューアルバムの制作過程は、スムーズだった・・・とは言えないほど、困難な場面があったという。
「曲作りは、レコーディング始まってもまだ同時進行でやっていたので、出来上がるまで10カ月くらいかかっています。レコーディングは、2カ月くらいかな。制作期間としては、普段とあまり違わないのですが、今回は“迷い”があって。その壁を乗り越えるのが大変でした」
彼女の言う、“迷い”とはなんだったのだろうか。
「昨年リリースした、アルバム『ONE』が自分ではとても達成感を持てた1枚だったんです。このアルバムが私の名刺代わりです!と言えるくらい、強い想いが込められた。だけど、そういった想いがちゃんとみんなに届いているのかな・・・伝わっているのかなぁと感じているまま、次のアルバムを作らなければいけないことになってしまい。そのあたりのモヤモヤしていたものが、ずっと制作期間中にあって。15周年だから、盛り上げていかなくちゃっていう自分と、それをどこか冷静に見ている自分もいて。時間だけはどんどんとたっていき、頭の中では時計の音がカチカチ鳴っているんですけど・・・。気持ちがのらない日も多くて。でも、ファンの人たちの声で救われたんです。“新曲待っています”とか“時間がかかっても聴きたい”とか。そういった声が聞こえなかったら、今こんなふうにインタビューを受けられなかったかもしれません」



今回も彼女のアルバムは、世界を駆け巡ってできあがる。 スウェーデン、ロサンゼルス、カナダ、日本。 プロデュースを担当した最強スタッフは、この15年間で彼女がともに音楽を作ってきた仲間である。
「スウェーデンは2組。ロサンゼルスが1組、日本は3人のプロデューサーとタッグを組みました。カナダは前作で一緒だったギターのジェームスがトロントに居るので。彼とどうしてももう一度組みたかったので、彼のチームでやりたいとお願いしたんです。カナダだけ、海外レコーディングにも出かけることができたおかげで、アルバムに欲しかった“新風”というか、場面を繋ぐ柔らかい曲たちが録れました。行ってよかったなぁと感じています」
驚くことに、今回はカナダと日本以外はデータでのやりとりで曲作りを進めたそう。 気心が知れた仲間だったからこそ、完成にこぎつけることができたと言う。
「すぐ隣にいたりすれば、一言で通じることでも、メールだと3回やりとりして理解できる・・・なんてことがいっぱいあって。時差なんて関係なく、メールが飛び交うので休まる間もなく。でもずっとやってきた仲間なので、お互いの信頼があるから、こういうネット上のやりとりだけでも、完成にこぎ着けたんだと思います」
今回の制作チームは、偶然にも男性ミュージシャンばかり。
「ほんとですね。音楽をつくる面では、私がすごいサバサバしていて、男らしいからかな? みんな、私より年上で音楽的に共通するものもあるから付き合ってこれていると感じています。もちろん、制作中でのやりとりはみんなプロなので、あれこれありますけど、最終的に“それはいらない”とか“これ好き”とか、私がはっきりと言ってまとめます。BONNIE PINKの名前で、世の中にリリースする以上責任は自分にありますから」
最後に、ニューアルバムについてメッセージをもらった。
「アルバムは前半部分が比較的にノリのいい曲が並んで、中盤にはおしとやかな部分もあって。デジタルだけに頼るわけでもなく、セッションしながらできた音もあって、バラエティに富んだ曲が詰められたなと思います。私は、アルバム『Blue Jam』でデビューしたんですけど、それ以来ずっとアルバムアーティストだと思っています。シングル1曲だけだと、伝えきれないことが多い。例えば、シングルがアップめな曲であっても、それだけじゃなくダークな自分も必ず存在するので、アルバムではその両方が表現できる。アルバムの中のいろいろなタイプの曲を聴いてもらって、今のBONNIE PINKを感じて欲しいです」

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