その食堂は1日1組しか訪れることができない。料理を食べると、あら不思議。片想いの人は思いが通じ、悲しい人は楽になり、寂しい人に生きる希望が見えてくる! 「カレーの国から来た彼氏」と全財産、自分の声まで失った倫子は、田舎に戻って食堂「かたつむり」を開く。彼女の「思い」を込めた料理は人々の願いをかなえ、倫子自身も徐々に癒されていく・・・。柴咲コウ主演「食堂かたつむり」は、TBS「王様のブランチ」でBOOK大賞・新人賞を受賞した小川糸の小説の映画化。切っても切れない母娘の話、目にも鮮やかな倫子のエキゾチックな料理をポップな演出で描く。ちょっぴりスピリチュアルな映画のエッセンスが現代女子のハートをワシ掴み!
美味しいものを食べると、どうしてほっこりとしたり、幸せだと感じるんだろう。食べ物の持つ、そんな不思議な力を知っている人なら、このスピリチュアルな物語がすっと心に入ってくるはず。
ヒロイン・倫子を演じる柴咲コウさんは、「科学的には証明できないけど、人の“気”とか“エネルギー”ってすごいパワーを持っていると思うんです。自分が負のエネルギーを持っていたら、負のものがついてくるし」と話す。
「例えば私の場合は、こういう仕事をしているのに、自分に自信がなくて、それを変えたくてヒーリングに通い始めたんですね。自信がないって、自分の良くない部分を見つめるクセがついてるってことじゃないですか。呼吸を整えて体と心のバランスをとることで、その“クセ直し”をしていくんですよね。私は呼吸が浅くて、ストレスが溜まると眠れなくなってしまうんですけど、この前、深く息を吸うことで、吸い込まれるように眠りに落ちる瞬間を感じました(笑)。人のことだと、“なんでー? いっぱい魅力あるのに!”“なんで、そんなに顔にコンプレックス持ってんの?”って言えるのに、自分のこととなるといろいろ抱え込んじゃうものですよね」
倫子の生い立ちが歌になっていたり、アニメ仕立てになったり、エンターテイメント作品としても楽しめる今作。完成した作品を観た柴咲さんの感想は?
「すごいポップで可愛いなあと思いました。母娘の描写や、何かを失ってから気づくっていう、実に人間の生き方に忠実なところを、おしゃれにだけじゃなくて、ちゃんと汚くも描いているので共感しやすかったです」
今作の多くを占める料理シーンは、顔の映らないカットまですべて柴咲さんが演じている。
「食べることに意味を感じるし、感謝もしているし、だから料理を食べるのも作るのも好き。自炊と外食の比率は半々ですね。私はお寿司が好きなので、それは自分で握るより握られたものを食べたい(笑)。外でいろんな味付けを覚えて、家でまた作りたいって思うんですよね」
最後に、柴咲シェフのおすすめ料理。相手の喜ぶ顔やTPOを考えたメニューだからこそ幸せを感じるのかも!
「トマトをひと口大に切って、しゃぶしゃぶ用の豚肉でくるくるっと巻いて片栗粉をまぶし、醤油ベースの味付けで照り焼きにしたもの。それとご飯があればもう十分」
「食べる人がいるならご飯も炊くし、お味噌汁も作りますね。あとは、1個でボリュームあるおかず。炒め物かな。私、庶民なんで(笑)」
「お肌にいいヒアルロン酸玉とか、コラーゲン玉がたっぷり入った鍋。豆乳鍋もいいかも」
「お粥とか、おじやかな。この前、体調が悪い時に七草粥を作ったんだけど、自分で作ったのにすっごいありがたかった(笑)」
柴咲コウ PROFILE
1981年、東京都出身。ドラマ、映画、CM、歌手として活躍。2000年、映画「バトル・ロワイアル」で注目され、翌年、映画「GO」で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。今年はライブツアーも決定している
失恋で声が出なくなってしまった倫子。不倫でできた子だから「倫子(りんこ)」と名付けられたというもっぱらの噂。お金も元彼にとられ、一文なしの倫子はどうしても仲良くなれない、オカンのルリコが暮らす田舎に戻り、家の離れで得意の料理を出す「食堂かたつむり」をオープンさせた。お客様第1号は開店資金を貸してくれた近所に住むバツイチのおじさん。彼が倫子のカレーをたいらげると、その夜、出ていった元妻から連絡が・・・。
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© 2010「食堂かたつむり」フィルムパートナーズ
取材・文/安田佑子 撮影/千葉裕子
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