


profile
松たかこ(女優)
1977年、東京都生まれ。95年大河ドラマ『蔵』でドラマ初主演を果たす。最近の映画出演作は『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』など。9月30日まで舞台『ロマンス』に出演中のほか、2008年には『ラ・マンチャ』の公演も |
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2001年に放映された伝説的なドラマ『HERO』が、ついにスクリーンに進出! エリート然としたところのない型破りで、まっとうな正義感を持つ検事・久利生公平役はもちろん木村拓哉さん、そして松たかこさんは彼の事務官であ雨宮舞子を久しぶりに演じている。続編モノの出演がはじめてだという松さんにとっても映画化は心躍る企画だったよう。
「連続ドラマ、スペシャル、映画とだんだん規模が大きくなってきた作品なので、お話をいただいたときにはワクワクする気持ちもあり、映画の大画面でどんなストーリーになるんだろうっていう期待もありましたね。連続ドラマのときから、個性のある役者さんたちと一緒にものを作っていくという楽しみがあったので、頭で考えるよりも6年前の気持ちのまんまでいることがチームの一員になることにつながるかなと思っていました。1人でいるときは忘れていることも、みんなで集まると思い出せるのか不思議なんですよ(笑)。木村さんを中心に自分の役割をきっちりわかっている人たちの集まりなので、ある種の厳しさがあって、それが心地いいんですよね」
松さんが「お互いにないものを持っているからこそ、尊敬しあえる関係なんだと思う」と語る、久利生と雨宮の恋の進展は? そしてイ・ビョンホンも参加した韓国ロケなど、映画版ならではの観どころもたっぷり。なかでも松本幸四郎さんとの親子共演はシリーズファンもうれしいサプライズ。
「最初に聞いたときは、まいったなと思いました(笑)。映像の世界で他人同士を演じるのははじめてなのですが、ああいう現場で幸四郎さんと一緒に仕事ができて、すごくおもしろかったです。周りの人は父のたたずまいに緊張することもあったかもしれないですけど、父も父なりに緊張して入ってきてるんだな、って気はしました。敵対する役柄ということもあるし、普段から母を通して話すことが多いから(笑)、映画について特に話し合うことはなかったですね。でも、にぎやかな現場だよってことは話しておきました。びっくりするといけないので(笑)」


ドラマ、映画、舞台から、自ら作詞作曲も手がけ、デビュー10周年を迎えた音楽活動まで、ジャンルの枠を超えてフル回転の活動を続けている松さん。
「自分では突っ走ってる感じはないんですよね。それよりも例えばお笑いの方が大阪と東京を新幹線で往復しながら、いくつもレギュラーを抱えているほうがたいへんそうだな、と思うんです。同時進行でふたつの台本を読むことはないですし、舞台でも映像でも演じるという意味では同じ。音楽の仕事では、どういうものを誰と一緒に作ろうかとか、自分から積極的に動いて発信していくたいへんさはありますが、それは私にとってすごく楽しいたいへんさですね」
撮影や舞台が続いているときの息抜きは、「仕事場への行き帰りの時間に、なぁんにも考えずにぶらぶらしたりすること」だそう。「舞台の稽古にもときどきは電車で行ってみたり、ちょっと歩いてみたり。そうすると車だと気づかずに通り過ぎてしまう場所に、たまたまお店を発見したりするんですよね。そのときにやっている役のことを頭のどこかでは考えているのですが、そういうちょっとした時間が、すごくいい気分転換になっているような気がします」
連続ドラマ『HERO』に出演していた6年前に比べると、休むのが上手になったとか。
「前よりも自分のことを考えて、大事にするようになったかもしれませんね。続けることでモチベーションをキープする部分もあるし、たいへんだと思っていても、やってみるとできちゃったりもする。前はなにかやっていないとちょっと不安だったり、ひとつの仕事が終わった途端に風邪をひいたりしてたんです。でもやっと、立ち止まる勇気を持てるようになりました。仕事のテンションをセーブするのではなく、ここで休んだほうが結果的にはいいんだろうなと考えて、判断できるようになりましたね」
息切れすることのない、自分らしい歩幅とペース。松さんのいつでもフレッシュでしなやかな表現の秘密は、こんなところにあるのかもしれない。
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