『鉄道員(ぽっぽや)』『蒼穹の昴』の著者・浅田次郎が、「書きあげて世に出したとき、ようやく小説家になれた気がした」という「日輪の遺産」がついに映画化! 歴史的事実、実在の人物を盛り込みながら、終戦時、陸軍軍人・山下奉文がフィリピンに埋めたという財宝伝説をキーワードに浅田次郎がストーリーを広げた感動ヒューマンドラマ&ミステリー。アメリカ陸軍元帥ダグラス・マッカーサーの財宝は日本に移送されていた。それを隠せという命令を受けた3人の軍人と1人の教師、勤労動員の少女たちが、立場や年齢を超えて「日本の復興のために」貫いた信念とは? 日本ががんばっている今だから、凛とした彼らから希望のメッセージを受け取りたい。
映画『日輪の遺産』の中で、エリート軍人・小泉を演じている福士誠治さん。今年デビュー10周年の福士さんにとって、今作は映画デビューを飾った『チルソクの夏』以来の佐々部清監督との仕事となった。
「心地よい緊張が続いた1カ月でしたね。前回は芝居を1から10まで教えてもらいましたが、今回細かいことは言われなくて、少し一役者として扱われた気がしました。完成した作品を観た後に、すごく良かったんで泣きながら監督に電話したんです。そしたら“ありがとう。お前をよく撮ってやったろう?”って(笑)」
小泉は、堺雅人さん演じる真柴少佐とともに極秘任務を遂行する中、豊富な知識と冷静な判断で真柴を助け、「命令だから」という軍の体制にもときには真っ向から反対する意思の強さをも持つ。
福士さんの演技を表現するのに、佐々部監督と堺さんが口を揃えて言葉にするのが「ストレート、直線的」。
「変化球ができないんだと思う。“好き”なのに“好き”って言わず、でも周囲が見たら絶対好きじゃん・・・みたいな表現方法も使っていいのに、僕は“好き”って言っちゃうんじゃないでしょうか(笑)。
でも、“ストレートに投げてしまいました。すいません!”と言いつつも、そう言われることが全然イヤじゃない。確かに僕は直感で演じる方なんで」
今回は、ダクラス・マッカーサー役のジョン・サヴェージさんとのシーンで英語での立ち回りにも挑戦した福士さん。
「一生懸命やりましたけど、自信持って喋ってるように見せるのに苦労しました! 4ページくらい全部英語の台詞だったんですが、そういうときに限って、ほかのいろいろな事情で撮り直しになるんですよ。僕にとっては最後のシーンだったし、とにかく集中力を切らせたくなくて、なにがあっても“大丈夫、大丈夫”って自分のテンポを作ろうとしてましたね。あのシーンは思い出になりました」
この10年のキャリアを「長くも短くもなく、ちゃんと順を追ってきた気がします」と話す福士さん。
10年間、この仕事に打ち込んできて見えてきたものとは?
「もの作りは面白いなとか、国が芸術にもっとお金出してくれたら嬉しいなと思うようになったり、昔は思わなかった映画や芸術へ魅力を今、感じてますね。芸術はなくても生きていけるけど、見たときに心が動くと、次の日人に優しくできたりする。それって本当にあることだから。この10年の方向は間違ってなかった気がします・・・と言いたいですね。
だからここで旅とか行っちゃおうかなあ・・・(横にいたマネージャーさんから「いやいや、もっと働いてもらわないと」とツッコミが)。
まあ、こうやってもうちょっとやって欲しいって人がいるし、今は休まずがんばります(笑)」
10年後。どんな福士さんに会えるのだろう?
「38歳かあ。変わってないと思います。生活自体はもしかしたら結婚とかしてるかもしれないけど。まあでも、一歩一歩、また10年、いいおっさんになっていきますよ」
福士誠治 PROFILE
1983年、神奈川県出身。2001年にCMでデビュー、2006年、NHKの朝の連続小説「純情きらり」で注目される。映画「東京島」、ドラマ「のだめカンタービレ」ほか、舞台でも活躍。最新ドラマは「チームバチスタ3 アリアドネの弾丸」。映画「スイッチを押すとき」が9月17日に公開
2011年3月。資産家の金原が「今、真柴さんに会った。もう命令は守らなくてもいいそうだ・・・」と言い残し、息を引き取った。妻の久恵は、帝国陸軍の真柴少佐の古い手帳を開き、語り始めた。終戦間際の1945年8月10日。真柴は軍のトップから重要な秘密の命令を受ける。「山下将軍が奪取した900億円ものマッカーサーの財宝を隠匿せよ」。真柴はエリート中尉の小泉、実戦経験がある望月曹長、勤労動員の20名の少女とともに任務を遂行するが・・・。
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© 2011「日輪の遺産」製作委員会
取材・文/安田佑子
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