陣内監督が書いた原作ではドラマーだった主人公が森山さんが演じることでタップダンサーに。6歳から始めたタップダンスの経験が生かせる、森山さんありきの映画でもある。
「これまでもタップの映画は沢山観ていてすごく好きでした。『スマイル』はホッケー映画なんですけど、タップ映画にも見える作品になればいいと思ってたんで、プレッシャーは大きかったですけど、映画は一生残っていくもの。この作品の意義はすごく感じてます」
男の子の気持ちを中心に描かれた映画だが、女の子の支えとスマイルが物語のキーポイント。森山さんも「女の子の力は男を動かします」と言う。今回森山さんの恋人役を演じているのが加藤ローサさん。今回はスケートリンクでの撮影がメインで寒さとの戦いだったとか。
「体が一度冷えてしまうとなかなか温まらなくて大変でした。寝る前には入浴剤を入れたお風呂にゆっくり入って、撮影中は厚着して、あとは発熱するインナーやカイロでなんとかしのいでましたね」インタビュー中にこぼれる加藤さんのキュートな笑顔を見ていると、ヒロインに抜擢された理由がよくわかる。「笑顔の力ってあると思いますよ。調子が悪い時とか心からハッピーじゃない時でも笑ってみると、それにつられていつの間にか幸せになってたりしますから」
加藤さんは陣内監督のことを「はっきりしていて、カツの入れどころ、盛り上げどころなど現場の雰囲気が読める素晴らしい監督」だと言う。『ROCKERS』に続き、ゲスト出演陣の豪華さを見ても陣内監督の人望がうかがえる。
「今では主役級の寺ちゃん(寺島進)なのに、“俺が陣内さんの映画を断る理由がないでしょう”って、あの口調で警備員役を引き受けてくれたんだよね。浩ちゃん(佐藤浩一)に関しては、俺は誘ってないのよ(笑)。でも俺が映画撮ってるのを知って北海道まで来て出てくれたの。男気ですよ(笑)」
「皆バカにするけど、俺はステレオタイプとか、ベタとかが大好きだから(笑)。わかりやすくて面白いのがいいんです」と堂々と言い切る監督の映画には、前作同様“1シーン1ギャグ”というルールでもあるかのように笑いが散りばめられている。冒頭のタイレストランで出てくる「“対人”関係で悩んでいる外国人女性は“タイ人”」なんていう細かいギャグもあり、気付いた人だけが笑える仕掛けになっている。
陣内孝則
1958年、福岡出身。1980年に「ザ・ロッカーズ」でボーカリストとしてデビュー。『爆裂都市 BURST CITY』('82)で映画初出演。
以後、テレビ、ドラマ、舞台、映画と幅広く活躍。2003年には映画『ROCKERS』で初監督。
森山未来
1984年、兵庫出身。1999年に舞台デビュー。2004年、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で脚光を浴びる。幼少期から始めたダンス経験を生かし、ダンスライブの構成、演出、出演もこなす
加藤ローサ
1985年、鹿児島育ち。モデルとしてデビュー後『ゼクシィ』のCMで一躍人気に。2006年には主演映画『シムソンズ』『いちばんきれいな水』が公開された。
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