日本と韓国の国民的俳優、オダギリジョーとチャン・ドンゴンが夢の競演! 『シュリ』で韓国映画ブームに火を付けたカン・ジェギュ監督の最新作は、韓国映画史上最高の25億円の製作費をかけた壮大な男たちのドラマ。舞台は日本占領下の朝鮮半島。「走ることで頂点に立つ」。幼なじみの辰雄とジュンシクは同じ夢を持っていた。天真爛漫にかけっこをしていた2人の友情は、国籍の壁によって打ち砕かれる。ともに東京オリンピックのマラソン代表をめざしながら憎しみ合うようになる2人が次に出会ったのは戦地。日本軍に強制徴兵されたジュンシクの上司が辰雄だったのだ。“戦争”という大きな渦の中で2人の運命の絆は? スケール大きな迫力映像の先に、感動が待っている。
主演のオダギリジョーさん(辰雄役)とチャン・ドンゴンさん(ジュンシク役)のインタビューが実現。ひたむきに困難に耐えるジュンシク。彼と何度もぶつかり合うことで、「日本人の誇り」だけが生きる力だった辰雄が、変化していく。お2人にとって人生を変えた出来事とは?
オダギリ:18、9歳のとき、あいまいな気持ちでアメリカに留学に行ったんですよ。英語も通じないし友達もできない。学校にも行きたくなくて、朝から夜まで5本くらい映画を観るしかない。でもそれで自分がどんな映画が好きで、どういうものを映画に求めるのかを感じ取れるようになりました。芸術のクラスでは、言葉がわからなくて人とまったく違う宿題を作ってしまうのに、先生は“個性”だと思ってくれる。僕にとっていちばん大切な芸術と映画について、明確にしてくれたアメリカに感謝しています
ドンゴン:僕は小さいころ、夢がなかったんですね。“受験のための教育”の時代でしたから。高3のときに1カ月間入院したことがあり、自分の運命を恨みました。そのときに父がくれた「無所有」という、和尚さんが書いた本が、僕の性格に大きな影響を与えています。生きていく上で心を楽にしてくれた、今でも僕の中でナンバーワンの本です
憎み合うよう導かれ、ライバル役を演じるお2人。
お互いをライバルだと意識したことは?
オダギリ:思うわけないじゃないですか(笑)。立場が違いますよ。勝っている部分があるとすれば、飲み会のときに、チャン・ドンゴンさんは気付かないうちにうまく消える方なんですよ。僕は監督に朝まで付き合ってしまうタイプで。なので「お酒の席で長くいること」?
ドンゴン:(笑)。そこは確かにオダギリさんの勝ちです。彼は謙遜していますが、競走するシーンで一緒に走ったときに、「本気で走ったら僕は負けるな」と思いましたね。
ドンゴン:ちなみに、彼とのシーンでは僕のセリフが全部日本語。ニュアンスや正確な発音は彼に聞き、「ちゃんとできていますよ」と言われれば、自信を持って演じられました。逆に、彼が韓国の映画システムについて聞いてきたら、僕が説明したりしましたし、ライバルというより頼り合う関係でした
戦闘、酷寒下での労働など、戦争の残酷さを痛感する場面も多い。演技とはいえ、8カ月の過酷な撮影をどう乗り切ったのだろう?
オダギリ:その夜のご飯とか、そのご飯とともにあるお酒とか、そこでこぼす愚痴とか(笑)。あと、準備に時間がかかる作品なので合間に休みもあり、その日は思いっきりだらだら過ごしたり、近くの湖の周りを走ったりしてました
ドンゴン:辛いときは想像するんです。映画館で初めて試写をする日、お客さんが初めて作品を観る日を。そうすると「この程度でいいだろう」と思っても、「いや、もっとがんばらないと」と思う根性が僕にはどうもあるようで、そうやって耐えました
オダギリ:ね。完璧な答えじゃないですか!
ライバルだなんて思えないですよ
ドンゴン:(笑)
オダギリジョー profile
1976年、岡山県出身。「仮面ライダークウガ」でTVに初主演。映画初主演作『アカルイミライ』で注目され、『あずみ』では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。韓国映画はキム・ギドク監督の『悲夢』に続き本作が2本目
チャン・ドンゴン profile
1972年、韓国・ソウル出身。韓国で多くの演技賞を受賞する国民的スター。1992年、TVドラマデビュー後、1997年、映画デビュー。映画『友へ チング』、『ブラザーフッド』は韓国で大ヒット。2010年に女優コ・ソヨンと結婚、一男の父
1928年日本占領下の朝鮮で日本人と朝鮮人の少年が出会った。境遇はまったく違うが、走ることが好きな2人はマラソンでオリンピック出場を夢見ていた。しかし、時代は国籍の違う彼らの友情を許さなかった。運命のいたずらにより、彼らは日本・ソ連・ドイツ3つの軍服を着て戦うことになる。アジアからノルマンディーまで12000キロにも及ぶ戦いのなか、すべてを失っても生きる道を選んだのはなぜか? そこには衝撃の事実と感動のドラマが隠されていた・・・。
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取材・文/安田佑子 撮影/徳田洋平 スタイリスト/西村哲也(holy.) ヘアメイク /砂原由弥(umitos)
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