ルーズベルトは彼に逆らえず、J・Fケネディは女性関係の秘密を握られ、ニクソンは彼を憎んだ。歴代8人の米大統領が恐れた男、ジョン・エドガー・フーバー。FBIの初代長官で、その功績に栄誉賞が贈られたヒーローでもあるが、50年もの間「国を守る」という大義名分のもと、政治家をはじめとする権力者たちの「外に漏れてはいけない秘密」を調べ、ときには彼らを脅してアメリカ最強の力を保持した男の物語。監督には、サスペンス、スポーツ、ヒューマン、どんなジャンルでも彼にかかれば心に響くドラマになるC・イーストウッドが。そして、20代から70代までのエドガーを演じ切るのは、実力派俳優らしさを見せるL・ディカプリオ。2人のタッグで期待が高まっている!
「もっとも難易度が高いキャラクターのひとりだった」と話す主演のレオナルド・ディカプリオ(37)。今作ではJ・エドガー・フーバーがその生涯を閉じるまでを熱演、年を重ねるにつれ“老けメイク”を施したレオがどんどんJ・エドガー本人に似ていくから不思議。メイク担当者は「2人はまったく顔立ちが違うけれど、近づけることは可能だと思った」とのこと。レオはカラーコンタクトを着け、毛を抜いて角ばった生え際を作り、中年太りをしていく体にはラテックス、70代を演じる際には顔全体の特殊マスク、薄毛のウィッグ、年老いた手の特殊造形まで装着している。ちなみに独身貴族で美女好きのレオはB・ライブリーと破局後、最近はモデルとの噂も。
今作で重要なキャラクター、J・エドガーの部下で友人のクライド・トルソン。J・エドガーとクライドは生涯独身で、友人以上の深い関係があったという噂もあるが、真実は闇の中。映画では2人の切ない関係も大きな見どころ。他人に厳しいJ・エドガーが、甘いマスクのクライドを見かけたとたん目が輝き、FBIで採用。頭脳明晰で、彼を影で支えたクライドは、後にFBIでの大きな地位をオファーされる。そのときにクライドが出した条件は「君が毎日ランチかディナーを必ず一緒にするなら受けよう」。演じるのは、「ソーシャル・ネットワーク」で実在する双子の役を1人で演じて大ブレイクしたアーミー・ハマー(25)。
彼を支えた2人の女性を、ナオミ・ワッツ(43)、ジュディ・ディンチ(77)と英国出身の女優陣が演じている。ナオミが演じるのはJ・エドガーの秘書ヘレン・ギャンディ。J・エドガーに秘密を握られていた要人たちは、彼の死後、血眼になって彼が持っていたシークレットファイルを手に入れようとするが、彼の遺志ですべて即座に処分したのがこのヘレン。仕事に身を捧げたヘレンもJ・エドガーの死とともに引退、91歳で亡くなった。そして、ジュディ・ディンチはJ・エドガーを支配しようとする母親アニーを演じている。服装、マナー、モラルや思考に至るまで自分の思い通りになることを望み、J・エドガーも母親には歯が立たなかったという。
1972年、77歳でこの世を去ったFBI長官、ジョン・エドガー・フーバー。晩年の彼が部下に命じて回顧録を書き取らせている。記憶はFBI誕生以前にさかのぼる。彼は大学卒業後、司法省に入省し、1919年に新しくできた諜報部門のトップとなる。彼は生涯独身だったが、秘書ヘレンは、善の顔と悪の顔、両方兼ね備えた彼を50年以上支え続けた。そして、誰よりも彼の哲学に大きな影響を与えた女性は、母親のアニーだった・・・。
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取材・文/安田佑子
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