小泉すみれエッセイ【3】『ブスの瞳に恋してる』太田美幸

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迷って見つける恋するトキメキ


文:小泉すみれ
ドラマ評論家・コラムニスト。テレビドラマをこよなく愛し、新聞・雑誌等で多数連載を抱える。ドラマのヒロインキャラを誰もが気づかなかった視点で斬り、連ドラ中毒になるドラマエッセイファン急増中。

 
 やった〜! ついに連載スタートですっ! 前回、特別編としてお届けした「ロマンチ☆」ですが、たくさんの反響をいただきました〜! ありがとうございます♪
 とくに感想をいただいたのが、「げ」についてのお話でした。
 「オンナの人生、可愛いだけじゃダメみたい。可愛げがないと。ドラマヒロインから可愛げの"げ"を盗んで、ロマンチックな出来事を引き寄せていきましょ〜☆」
 そんな連載でございます。みなさま、ひとつご愛読のほどよろしくお願いします☆

 さて〜、記念すべき初回で取り上げるのにふさわしい恋愛ドラマが、ちょうど始まってくれました! そう。『ブスの瞳に恋してる』です。

 ヒロインは子豚ちゃんのようにコロコロとした魅力を持つ、女優志望の太田美幸(村上知子)さま。痩せればたぶん優香ちゃんあたりに似てると思うんですけど、現実には身長150センチ、体重70キロくらいかな。ある日、おしゃれでお金持ちな人気構成作家(稲垣吾郎)が彼女と出会い、「オモシロ」満載のキャラに魅きつけられちゃいます。

 でも、彼には人気女性雑誌の表紙を飾っているようなカリスマモデルの彼女(蛯原友里)がいるんですよね。
  「それって、ブスの下克上物語? 果たしてそこに美幸は入り込めるのかしら?」
  ズバリ、ドラマのテーマは「ブスvs美人」。お笑い森三中の村上知子と、今をときめく人気モデルのエビちゃんを同じ恋の土俵にあがらせて闘わせるなんて、考えてみりゃすごいドラマです。ちょうどお二人とも25歳どうしで、いろいろと将来のオンナ道計画なども考え始めちゃうお年頃なんですよね。わかりやすいだけに、身につまされちゃうエピソードがいっぱいです。

  このドラマがよく出来てるのは、なんといっても、ブスと美人のキャラ設定が「いかにもなパターン」じゃないってところです。
 「ブスは気だてがやさしくて、美人はどうせ陰でヒドイことを考えてる」
  ……みたいな、そんなありがちなモンじゃないんですね。

 エビちゃん演じる人気モデル女子は、とってもポンヨリとした性格の「イイコ」。つねに可愛らしい「ゆる巻きヘア」スタイルで、パッチリおメメにポヨヨ〜ンとした表情を浮かべてます。彼氏に約束すっぽかされても笑って許しちゃうし、食事の場でも仕事の愚痴なんかも言わずにニコニコ笑って楽しんでます。パッと見も中身も、そろってポジティブなお嬢さんです。

 で、一方の美幸はといえば、どうでしょうか。お口を「へ」の字に曲げた仏頂面に、後れ毛出まくりでまとめあげたテキトーなお団子ヘア。女優になりたいのに7年間も夢がかなう気配もなく、ラーメン屋さんでアルバイト中。せっかく事務所の人から「お笑いに転向したら即戦力なんだけどなあ」ってアドバイスされても、かたくなに耳を貸しません。

 ルックスにコンプレックスがあるわりには、体型をどうにかしようと努力してきたわけじゃないし。おまけに恋愛に対して超・臆病なんです。過去に男子たちから「ブス」扱いされたことがトラウマになっているらしく……。だから、ちょっと見には未来に向かってポジティブな感じなのに、中身はものすごくネガティブなんですね。ルックスがイケてないからブスっていうよりは、「いつもブスッとしてるからブスなんだよね」って感じ。

 しかし、あたくしには見えました! この二人、どちらがロマンチックな人生を歩みそうかというと、断然、ブスっ子な美幸さまのほうなんです。
 「それって、なんだか中身がオモシロそうだから?!」
 いえいえ違います。その秘密をお話しいたしましょ〜。

  最近、あたくしは『すべての女が幸せになれる!』という、城咲仁さまのエッセイを読み、目からウロコが落ちました。そう、仁さまといえば、年収1億円のカリスマホスト稼業を捨てて、タレントに転身したあのモテ男、自称「プラトニック・ドンファン」です。1分も話せばたいていのことはわかる、というほどフツーの男子の何千倍もの女子を見てこられた仁さまですが、こんなふうにおっしゃるのです。

 『男が女性を口説くのって、固い結び目をほどく作業によく似てる。』

 ふむふむ〜。なるほど、「結び目」ですか〜! ポヨヨ〜ンと毎日を過ごしている女子よりは、外の世界に臆病で「ツン☆」としたところのある女子のほうが、「結び目」は固そうですよね。そして、それがフッとほどけて柔らかくなったキャラを「ツンデレ☆」なんて呼ぶのでしょうか。

 「結び目がオトコゴコロを刺激するの? なんだか、いろいろとコンプレックスを持ってたり、ちょっとくらいネガティブなハートを抱えたりしてても大丈夫そうじゃん」
  そ〜んな気になってきました。

 ドカ〜ンと開放中のハートを持ったポンヨリ系女子の心の糸は、言ってみりゃポヨヨ〜ンとぶっとい毛糸。考えてみますと、世に言う「癒し系」のタレントさんって、もてはやされるのもつかのまで、あっという間にブームが去ってしまいますよね。それって、ハートに固い「結び目」がないから、つかんだつもりの殿方の手もそのままスポーンと抜けちゃうんじゃないかしら。ビバ、結び目、悩めるハート。ウェルカム、ロマンチな展開ですよ☆

 もちろん、それだけで安心しちゃー、いられません。仁さまはさらにこう言っておられます。

 『ちょっとした言葉や笑顔でもいいから、「私の結び目はここよ」ってサインを見せてくれないと、男のほうも、どこからほどいていっていいのかわからないんだ。』

 ふむふむ〜。どうやら、ブスっ子な美幸さまが「ホントのヒロイン」になるためには、主人公に向かっていくつかのサインをしっかりと送らなきゃ、ダメみたいですね。

 「それっていったい何なの〜???」
  まさに、ヒロインがそれに気づき、サインを繰り出していくバトルが、このドラマ『ブス恋』で見られるんですね! 美幸と一緒に住んでるオンナ友だちのみなさんも、いいアドバイスをしてくれそう。美幸の「結び目」ストーリー、これからしっかりと見届けさせていただきましょ!

太田美幸(村上知子)
年齢: 25歳
職業: 劇団の養成所に所属する女優のタマゴ(ラーメン屋さんでバイト中)
性格: 夢に向かって明るく前向きに見えるが、コンプレックスだらけでネガティブな面も。
特徴: 親が心配するほどの「ブス」。身長150cm、体重70kg弱。
恋愛には縁がないが、女友だちは多い。
ロマンチテク: ツンデレ。結び目を殿方にほどかせる。
美幸の歴史
・群馬県で生まれる。両親と妹の4人家族。父親似。
・中学のとき、クラスに同じ名前の女子がいたため、「美幸B」と呼ばれていた。(B=ブス)
・男子に体育館裏に呼び出されて行ってみると、「こっちじゃねえよ!」と言われた。
・高校卒業後、女優を目指して上京。
・劇団「テアトルワールド」の養成所に入る。
・オーディションを受けまくるが、セリフのある役をもらったことがない。
・お笑い芸人に転向するよう、社長に勧められるが、拒否。
・テレビ局の廊下で山口おさむに出会う。
(参考:公式ホームページ)

『ブスの瞳に恋してる』
フジテレビ系 毎週火曜夜10時〜
原作: 鈴木おさむ
脚本: マギー
出演: 稲垣吾郎、村上知子、蛯原友里、MEGUMIほか。

原作は、ご存じ森三中の大島美幸と「交際0日」で結婚した人気構成作家・鈴木おさむのエッセイ集。ドラマ版ではエピソードも変え、二人がつき合うまでに時間がかかりそう。主人公はバラエティ番組の放送作家・山口おさむ(稲垣吾郎)。人気番組を次々に生み出してきた彼は、周りから「先生」と呼ばれ、カリスマモデルちゃん(蛯原友里)ともつき合っている。が、なんとなく最近、昔のパッションを忘れてしまったようなヌルい自分に焦りを感じ始めていた。そんな彼の前に舞い降りた天使が! 見るからに「オモシロ」なその女子は、女優志望の美幸(村上知子)。「ブス」な彼女を見るたびに、おさむの瞳は輝き、「オモシロ魂」が刺激されるのだが……。
画:朝倉世界一
漫画家。「裏ビデの星」でデビュー。 「ひみつのクローバーちゃん」「フラン県こわい城」
「地獄のサラミちゃん」など独特のユーモアやユニークな世界が人気。

INFORMATION


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