小泉すみれエッセイ【7】『クロサギ』吉川氷柱VS三島ゆかり

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迷って見つける恋するトキメキ


文:小泉すみれ
ドラマ評論家・コラムニスト。テレビドラマをこよなく愛し、新聞・雑誌等で多数連載を抱える。ドラマのヒロインキャラを誰もが気づかなかった視点で斬り、連ドラ中毒になるドラマエッセイファン急増中。

 
 最近のお話なんですけど、あたくし、偶然、いっしょに仕事をしている人のブログを見つけて、つい、読んでしまいました。
「知らないほうがよかったな……」
 なんか……その人のひみつをいろいろ知ってしまって、とっても後悔しました。

 そもそも、その人のブログは全世界に向かって発信しているものだから、あたくしやらほかの関係者やらが見る可能性だってじゅうぶんにあったわけだし、こちらが罪悪感を抱く必要もないのです。けれど、いざ、読んでしまってからというもの、その人を見る自分の目が変わってしまったことに、あたくしは戸惑いをおぼえたのでした。

 まあ……知らないほうがよかったことって、けっこうありますよね。みなさま、もし、愛するダーリンの超マジなひみつを見つけてしまったら、どうしますか?
「許せない! 問いつめてやる〜!」
「ううん。それも含めて、カレのこと、ぜ〜んぶ愛していくわ!」
「そうねえ。知らんぷりして、さらに観察を続けるかも!」

 いろんなライフカードの切り方があると思いますが、今回ご紹介しますのは、大好きなカレが「詐欺師」だと知ってしまったかたたち。『クロサギ』にご出演のおふたりの場合です。さてさて、どちらの女子のやり方がよりロマンチな人生をゲットするのでしょうか。

 みなさまご存じの通り、このドラマは、ヤマピーこと山下智久くん演じる黒崎というオトコの詐欺師っぷりを中心に描いてます。が、中盤戦に入ったところで、堀北真希ちゃんと市川由衣ちゃんのオンナどうしのクールなバトルが始まったのです。

 いや〜もう〜、そのようすが面白くてたまりません! ヤマピーを間にはさんで、黒目の大きいドール顔の人気若手女優さんたちが、つかみあいのケンカをするわけでもなく、ただ、お互いに言葉で相手を牽制していくのです。

 そもそも、ふたりはぜんぜん違うタイプで、とっても対照的なオンナ道を歩んでます。
 堀北真希ちゃん演じる氷柱は、理性でものを考えようとするタイプ。頭でっかちとも言いますが、検事を目指して猛勉強中のマジメな大学生。洋服も地味〜なコットン素材のものばかりだし、住んでるところもボロアパートです。もしかしたら、処女かも。

 一方、市川由衣ちゃん演じるゆかりは、「人のココロはリクツじゃないのよ〜ん」な〜んて思ってます。豪邸に住んでいるセレブ大学生。外見からしてとってもオンナノコっぽく、いつもフリルやレースのついたお洋服を着ています。

 そんなふたりが、暗い生い立ちを持つ黒崎と出会い、カレの職業(=詐欺師をカモにする詐欺師)を知ってしまうわけですが、そのあとの反応もまた対照的でした。

「詐欺師なんて許せない。そんな仕事、やめなさいよ」
 氷柱は怒ったように黒崎に言います。
「アナタのこと、ぜ〜んぶわかってあげる☆」
 ゆかりはにっこり笑って黒崎につきまといます。

 氷柱は、黒崎の仕事にダメ出しをしまくり、勝手に詐欺師の元締め(山崎努)のところをたずね、「彼に仕事を紹介するのをやめてください」などと頼みこみます。検事を目指してるくらいですから、もともと正義感が強いのです。彼を自分のラブラブパワーで、悪の道から救いたいのですね。

 一方、ゆかりは、黒崎の仕事をとがめるどころか、いっしょになってカモを探しちゃいます。近くにピッタリ寄り添ってカレの仕事に協力することが、うれしくてたまらないみたい。黒崎が警察に捕まる時はいっしょに捕まっちゃうかもって感じですが、そんなのおかまいなしなのです。

 なんだか、ふたりのバトルっぷりを見てるうちに「北風と太陽」を思い出しちゃいました。そう。旅人のマントを脱がせようと、北風と太陽がそれぞれの力で競い合うってゆーお話です。『クロサギ』ってドラマの裏テーマは、旅人ヤマピーをめぐって、「北風=氷柱」と「太陽=ゆかり」が競う、ラブバトルだったのですね!

 今のところ、氷柱とゆかりのどちらも黒崎とつきあってはいません。が、実際、黒崎くんは、ゆかりのポジティブなメロメロ光線にとろけてなんかおりません。氷柱のネガティブでストレートなコトバのほうがいちいちハートの深いところまで突き刺さり、気になって仕方ないみたい。

 けど、あたくしは思うのです。
「もし、氷柱と黒崎がくっついたとして、どうなんだろう。いずれは別れちゃうんじゃないかしらね……」

 男の子のハートは取り扱い注意。せっかく分厚いマントを脱がせても、なかに隠れてるのはこれまた繊細なガラスなのでございます。べつに、恋愛の対象じゃなくても、ちょいと「ダメ出し」しただけで、ヒビが入ってしまったりしますからね。

 そんなわけで、「北風ちゃん」が突きつけたきびしい言葉は、今現在はよくても、けっこうオトコゴコロのやらかい場所に傷跡を残しちゃって、のちのちのおつきあいに響いてくるんじゃないかと思うのです。

 じゃあ、相手の存在をまるごと受け入れようとする「太陽ちゃん」のほうがロマンチなできごとに近いのかと言えば、そうではないのです。ゆかりなんか、黒崎に会う前には恋愛詐欺師に引っかかり、さんざん金を巻き上げられたりして、ヒドイ目にあっておりました。ぬくぬくとした太陽光線のみでは、ロクでもないだめんずが育ってしまうのね。

 実は、氷柱のようなタイプこそ、のちのちおトクなロマンチさんに育つのです。大器晩成ってゆーのでしょうか。今はただ不器用に、愛するダーリンに冷たいコトバをぶつけておりますが、もともと、人のダークな面を見つける能力が高いキャラですからね。

「男子にダメ出ししてたってドン引きされるだけ。意味ないわね」
  さんざんガラスのハートたちを粉々にしていった結果そう思えた時、そこから氷柱の本格的なロマンチ旅が始まるんじゃないかしら☆

  しかし、こころに氷柱を持ちながら、表向きは「太陽ちゃん」として男子に接するなんて……。きびしい。ロマンチ道はマジできびしい旅でございます。

吉川氷柱(堀北真希)
年齢: 20歳くらい?
職業: 大学生(法学部)
性格: 困ってる人を見捨てておけない。正義感が強い。負けず嫌い。
特徴: 和製ドール顔。色白プリプリ肌。地味。木綿系の洋服ばかり着ている。
ロマンチテク: 人のダークな面をめざとく見つける。
氷柱の歴史
・地方で生まれ育つ。
・父は詐欺師。
・母は父に送金しながら氷柱を育てる。
・高校卒業後、都内の大学に進学。
・アルバイトしながら検事を目指して猛勉強。
・黒崎に出会う。
・親友の三島ゆかりと、黒崎を奪い合うことに……
(参考:番組公式HP)

『クロサギ』
TBS系 毎週金曜夜10時〜
原作: 黒丸、夏原武
脚本: 篠崎絵里子
主題歌: 『抱いてセニョリータ』山下智久
出演: 山下智久、堀北真希、市川由衣、哀川翔、山崎努ほか

黒崎(山下智久)は詐欺師をカモにするクロサギ。かつて自分の家族を破滅に追い込んだ男・桂木(山崎努)から情報を買っている。法学部の学生で、検事を目指す氷柱(堀北真希)はそんな黒崎の詐欺行為を憎みながらも、魅かれていく……。ホームレスや占い師に変装するヤマピーこと山下智久くんもみどころ☆
画:朝倉世界一
漫画家。 「ひみつのクローバーちゃん」「フラン県こわい城」
「地獄のサラミちゃん」など独特のユーモアやユニークな世界が人気。

INFORMATION


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