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迷って見つける恋するトキメキ


文:小泉すみれ
ドラマ評論家・コラムニスト。テレビドラマをこよなく愛し、新聞・雑誌等で多数連載を抱える。ドラマのヒロインキャラを誰もが気づかなかった視点で斬り、連ドラ中毒になるドラマエッセイファン急増中。

 
 このあいだ、中居正広くんが司会のバラエティ番組『金曜日のスマたちへ』に、カリスマ歌姫・倖田來未ちゃんが2週つづけて出ておられました。あたくし、そこで紹介されていた倖田來未ヒストリーの、みごとなオンナっぷりにものすごく感動し、録画しといたのを何度も見ちゃいました。

 ニッポンを代表する歌姫が、テレビでおのれのオンナ磨きのひみつを惜しげも無くご披露なさっているお姿は、とってもいさぎよいなあと感動する半面、「うわ〜、これだけいろいろさらしちゃうなんて、自分で自分をかなり追いつめてるよね!」って感じ。

「自分で自分にプレッシャーかけんといかんな」

 歌姫みずから、番組のなかで、笑顔でそうコメントしておられましたけれど、それって、すごいことじゃない? いまのポジションによりかかることなく生きておられる歌姫のお姿、キラキラ輝いてました! アーティストとしての活動はもちろん、体型維持もそうだし、ダーリンを愛すること、おしゃれ……などなど、プリンセス倖田はあえて素の部分をさらけだすことで、さらに新たな道を見つけるべく進んで行かれるのでございましょう。

「うーむ、あのいさぎよさ、ラヴ! なんだか、勇気が出てくるわね!」
 ありがとう、歌姫! あたくしのこころに、ロマ道をすすむためのエナジーがぐんぐんわいてきました。な〜んか、最近、エナジーを出し惜しみしてたっていうか、疲れないように、傷つかないようにダラダラ生きちゃってたとこ、ありました。しばらくこころのなかで流すテーマ曲は『恋のつぼみ』(by倖田來未ちゃん)でまいります!

 同じような勇気を『プリマダム』にご主演中の黒木瞳サマからいただいております。みなさま、ご覧になっておられるでしょうか。バレエに憧れる平凡な主婦を主人公にしているドラマなんですけど、出演者の方々はみな、乙女のようなキラキラ目でバレエのレッスンを受けておられます。

  なかでも瞳サマは、さすがヒロインです。44歳という設定なのですが、パフスリーブのお洋服を番組中40%ほどの確率で着こなしておられるのです。

 瞳サマのほっそりとした二の腕に、ロマンチックなパフスリーブはとてもお似合いで、そのせいか、お顔が若々しく、少女のように明るく輝いて見えます。15歳ほど年の違う神田うのちゃんの隣に並んでいても、瞳サマ、けっして負けてません。ある意味、並ぶことで自分にプレッシャーをかけておられるのです。

「あの袖っぷりを見てると、なんか、勇気出るなあ」
 瞳サマの堂々としたパフスリーブっぷりを拝見しているうちに、自分のことがものすご〜く恥ずかしくなってきました。

「もう少女という世界観のなかでは生きてないし、二の腕が気になるし……」  あたくし、そんな理由で、ある時期を境にパフスリーブを避けながら生きてまいりました。

 ですが、そんなもの、瞳サマを見てたら、どうでもいい気がしてきました。カモ〜ン、パフスリーブ! 倖田來未ちゃんの教えでいえば、「カモ〜ン、自分へのプレッシャー!」でございます。

「多少、年をくったからといって、それがなによ?! 二の腕がムチムチしてるからって、なんなんでしょ?! 着たいんだからしょうがないじゃない! 逆に、お袖に合うようなオンナになってみせるわ!」

 さっそく、鼻息荒いうちに、パフスリーブのステキブラウスを買ってきちゃいましたよ。お店のかたに聞き込みをしたところ、「けっこう、お年を召した女性でもパフスリーブに挑戦しておられますよ」とのこと。

 このコーナーの担当である男子編集者に見せてみたところ、 「いやー、まったく問題ないっすよ〜。それに、ムチムチした二の腕が好きな男子ってけっこういますもん。かえってニーズがあるんじゃないですか?」  と、励ましてくれました。

「うわー、そうかー。自分の思い込みが知らず知らず欲望を閉じ込め、ロマンチなできごとを遠ざけてしまってたのね」
 ちょっといい気になりました。

 というわけで、瞳サマの衣裳から、ずいぶんと学ばせていただきましたよ。ありがとう、『プリマダム』! ドラマのなかに描かれているのは、けっして、幼い頃に習ってみたかったバレエへの憧れだけじゃないのですね。チャレンジするこころ、そして、自分にプレッシャーをかけていく勇気。そんなロマンチアイテムをしっかりいただきました!

万田佳奈(黒木瞳)
年齢: 44歳
職業: 専業主婦
性格: 明るく前向き。おっちょこちょい。困っている人を放っておけない。
特徴: バレエを愛する平凡な主婦。体型維持とカットソーの着こなしがお得意。
ロマンチテク: 二の腕をむき出しにして、みずからにプレッシャーをかけ続ける!
佳奈の歴史
・バレエ教室に通う。
・世界的に活躍するプリマドンナになる夢を持つ。
・お金持ちの娘、嵐子と親友になる。
・父の工場がつぶれ、バレエをやめる。
・製薬会社営業マンの夫と結婚。
・娘を二人授かり、平凡な暮らし。
・パートをしながらバレエ教室に再入門!
(参考:番組公式HP)

『プリマダム』
日本テレビ系 毎週水曜夜10時〜
脚本: 中園ミホ
主題歌: 『花よ踊れ』中森明菜
出演: 黒木瞳、古田新太、高岡早紀、神田うの、中島裕翔 (ジャニーズJr.)、
小林十市、加藤雅也、中森明菜ほか

佳奈(黒木瞳)は平凡な主婦。引退した元プリマの親友(中森明菜)と再会し、パート先のショップのお向かいにバレエスタジオが出来たことから、かつて憧れていたトウシューズの世界へと、ふたたび夢をかけることに……。レッスンを受けているスタジオの生徒たちは、神田うのや高岡早紀をはじめ、バレエ経験者ばかり。最終回の発表会のシーンは、出演者もドキドキの生中継だそうですよ。
画:朝倉世界一
漫画家。 「ひみつのクローバーちゃん」「フラン県こわい城」
「地獄のサラミちゃん」など独特のユーモアやユニークな世界が人気。

INFORMATION


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