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病室に戻った私は元気そのもの、身体のダメージもほとんどないし、今にも動き出せそうな勢い。看護師さんの言うとおり、足を頻繁に動かしたり、寝返りを打ったり、看護師さんはそんな私を見て「じっとしてるのお嫌いなんですね。どんどん動いてください。もしかするとすこ〜し痛くなるかもしれませんけど、大丈夫、麻酔液、まだ入ってますからね」と、笑ってた。
そして3時間後、ですよ。初めはきつめの生理痛って感じだった。けど、そんなのすぐ超越。痛い。とにかくお腹が痛い。看護師さんの「もしかすると少〜し痛いかも」ってもんじゃなくて、ものすご〜く痛い! 誰かがお腹の中から内蔵をわしづかみにするような痛さ! わしづかんだあとガチョーンって引っ張り回すような痛さ! ちなみに私はこれでも痛みにはかなり強いほう。その私がじっとしてられない! 寝返りを打つというよりはベッドの上でのたうち回るという感じ。エコノミー症候群予防に足を動かしてみるというよりは、足だけテコンドーみたいに空中に蹴り入れてる感じ。恥ずかしいけどさ、いい年して声出ちゃうのよ。声出さないと苦しくて息が止まりそうなのよ! 「JR福知山線の事故で、自分も大けがしてるのに、最後まで近くにいた人を励ました大学生。あの大学生はきっと神様だと思う。私には絶対あんなことできない! 絶対無理! 情けないけど!」そんなこと考えても出てくるのは獣の雄叫び、助けて! ウォー!
必死のナースコールで看護師さんを呼ぶ。看護師さんはすぐに沈痛解熱剤の座薬を入れてくれた。でもそんなの全然効かない! 苦しい! 苦しいから眠りたい。眠ればこの痛みから逃れられる。でも痛くて眠れない! 痛いどころか今度は猛烈な吐き気がしてきた。どうしよう! 「そうだ、イタイイタイと思うからいけないんだ。冷静にこの痛みを分析するんだ。この眠れもしないどうしようもない痛み、これ前にも経験したことがあるぞ。えーっと、そうだ二日酔い! 二日酔いの苦しみだー!」少しは気がまぎれた。まぎれたし、少し冷静にもなれたと思う。けど今度は急に自分が情けなくなってきた。「トホホ…。苦しさの基準が二日酔い。なんかもっといいたとえはないのかよ〜?」
なんだか痛い上に空しくなった私は、またまたナースコールをし、今度は沈痛の筋肉注射を打ってもらいました。それはさすがにすごかった。注射というより麻酔銃。暴れた猛獣がどーんと倒れるように、すぐに意識もうろう、即バク睡だったからね。でもさ、これ繰り返し繰り返し翌日まで続いたのよ〜。
でも皆さん、疑問に思わない? なんで急にこんなことになったか。「少〜し痛いかも」って言った看護師さんは別に嘘ついたわけじゃないのよ。看護師さんも不思議に思って調べたら、なんと私、麻酔の 針が抜けてたの! 手術の後、痛くなる前に、はしゃぎすぎて。そりゃ痛いわけよ、普通の人は3日間効いてだもん。私たった数時間だもん、麻酔してたの。そりゃ痛いわけよ。
まぁとにかく、麻酔なしでもたしして痛くなくなった私は、すぐに歩く練習を始めました。それを見た看護師さん、笑ってたわよ。「柴田さんってホントに強いんですね〜」 |
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