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でしょ? ここで芝居をやるんだもん、やっぱ「旅公演」と言いたいでしょ? まさに日本の劇場を上演するにふさわしい「和」の劇場だからね。しかもそんな立派な劇場なのに、ちっともえらそうにしてない。つまり、伝統芸能しかやらないとか有名人にしか貸さないとか、そういうことは一切ないの。歌舞伎はもちろん上映してますよ、名優もたくさん出演してる。でもさ、その他ロカビリー(グループサウンズよりもっと前のロックのはしりみたいなもの?)、力道山のプロレス、数々の歌謡ショー(美空ひばりさんから始まって演歌の重鎮はもちろん、ピンクレディーから松田聖子さんまで!)、ストリップ(一番多いステージ数。なるほどね)、新劇(当然杉村春子さんも宇野重吉さんも出てます)、お笑い(柳家金語楼さんのサインまであるよ)、フォークロック(チューリップ、かぐや姫、宇崎竜童さんも!)、大衆演劇(毎年全国座長大会やってます!)、外タレ(なんとベンチャーズだ。こまめに稼ぐね〜)、高校演劇発表会(ふむふむ)、裏千家決起大会(いったいなんだこりゃ?)。ね! 節操ないでしょ? 出てるメンバー見ると昭和の芸能史そのものですばらしいのよ、でもやってることはめちゃくちゃなのよ。でも、これでいいの! これが、いいの! お客さんに楽しんでもらうのに能書きやてらいはいらないのよ。「みんなが喜ぶのが一番いい」。これでいいじゃんねぇ!
だからみんなこの劇場を愛してる。観に来る人も出る人も。ワハハが初めてここでやらせてもらった4年前、もちろん出る私たちも初めて、呼ぶ小家主さんも初めて。ま、きっと多少の不安もあったんでしょう、その一週間前に嘉穂劇場で芝居をやってた中村勘九郎さん(現勘三郎さん)に「一体どんな人たちでしょうねぇ」と尋ねたらしい。そしたら勘九郎さんが小家主さんに言ってくれたのよ。「大丈夫、一生懸命やってる奴らだから。いいかげんなことする奴らじゃないから。この劇場のことちゃんとわかってくれる奴らだから」。この一言で嘉穂のおかみさんは安心して私たちを迎えてくれたのですよ。かっこいいよね〜、勘九郎さんって! そして「がんばれよって言ってやってください」とまで言ってくれたのよ。勘九郎さんは、もちろんワハハのことも気にかけてくださってるんだけど、それ以上に、「この劇場で芝居すんのかい? ありがとよ、がんばれよ、いいとこだろ? こういう空間を守っていこうぜ」という、なんか、勘九郎さんの心意気が伝わってくるような言葉だと思うんだよね〜。
と、こうしてすごい劇場で、無謀にも日替わりで二本立ての芝居をすることになったワハハの珍道中、来週までひっぱらせていただきます。よろしくね! |
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