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大通りから裏路地に抜けると、さっきまでの車地獄から考えられないほどの景色が広がる。これこれ! これが中国のイメージ。低いレンガ塀に囲まれた迷路のような路地。自転車やリヤカーや人力車が行き交い、屋台や食堂やお肉屋さん、八百屋さんなどが商売してる。自転車の修理をしているおじさん、夕飯の支度をするおばあちゃん、学校帰りの子供。そうそう、これが庶民の生活だよね…と、ふと見ると、なんか山のように捨ててある。「なんだこれ? あーっ! 練炭! そっかー! このニオイだー!」。あの、体に悪そうで煙くてなぜか懐かしいニオイは練炭だったのだ!
練炭、皆さんは知りませんか? 黒くて穴のあいたレンコンみたいな形の人工炭。昔よく使ったのよ〜。炭より長もちして火力も強くて。うちのおじいちゃんの思い出は、すべてこの練炭とともにあるといっていい。練炭で、おじいちゃんと鳥鍋をつついたり、ドジョウの柳川を食べたり、おでんを煮たり、かにの甲羅にかにの身と、かに味噌と、ねぎとこうじ味噌と、酒をちょいと入れてグツグツきたところをちょこっとなめて、酒をキュッツと1杯…。あれ? そういう話じゃなかったか。とにかく昔はよく使ったもんなのよ。当時はあれで一酸化炭素中毒で亡くなった人も大勢いたけど、石油ストーブの普及とともに姿を消したのかなぁ。やっぱり空気が悪くなるからねぇ。
でもこの北京の裏路地に、こんなにいっぱい練炭のカスが捨ててあるってことは、暖房の燃料としてまだ練炭を使ってるってことか。じゃ、北京の空気は相当よくない状態だよね、排気ガスと練炭の煙で。う〜ん。
2008年のオリンピックに向けて、次々と立派なビルが建設されていくその一方で、人々の生活や健康やいろんな部分に、そのうちひずみが生まれてくるんじゃないかなぁ。いや、もうすでに生まれてるのかも。東京オリンピックのときの東京を思い出しました。 |
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