都心から約2時間、マリンレジャーが盛んな南房総の鴨川市は、海だけじゃない山の魅力もいっぱい。そんな自然に囲まれたのどかな地に立つ古民家カフェ。里山の暮らしを感じながら過ごすひとときに、身も心もゆるりとほぐれていく
都心から約2時間、マリンレジャーが盛んな南房総の鴨川市は、海だけじゃない山の魅力もいっぱい。そんな自然に囲まれたのどかな地に立つ古民家カフェ。里山の暮らしを感じながら過ごすひとときに、身も心もゆるりとほぐれていく
房総半島の南東部、太平洋に面した鴨川市。内陸部には、山あり棚田ありのどこか懐かしい里山風景が広がっている。
その山あいにひっそりと佇む古民家カフェ「夜麦」。オーナーは、鴨川市在住の陶芸家で農業も営む杉山春信さん。あき家になっていた築200年の家屋を、約5年かけてコツコツと掃除、修復。まるで田舎のおばあちゃん家を訪れた気分に。
このカフェをひとりで切り盛りしているのが、東京から移住してきた碇石(いかりいし)麻紀さんだ。土地の恵みを感じてほしいと、地域の旬の食材を中心に使用したメニューを提供。杉山さんの農園で育てられた無農薬米や野菜、自家製の醤油、味噌なども盛り込まれ、やさしい味わいに心が和む。
「調理も接客もひとりなので、申し訳ないくらいマイペースなんです。お客さんをお待たせしていると、地元の常連さんが手伝ってくれたりして。自然に癒されながら、ゆったり過ごしてもらえたら」と碇石さん。地元の人も旅人も、誰もが気ままに集えて、ふれ合える。この場所にいると、気持ちがほどけて自然と素の自分に。里山でのスローな時間が、いとおしく思えてくる。
きっかけは今から2年前、鴨川に移住していた友人宅に遊びに行ったときのこと。「友達が、夜麦の姉妹店Café SASAYAへ連れていってくれたんです。オーナーの杉山さんとはそのときが初対面。いろいろな話をするうちに、カフェを手伝ってくれないかと言ってくださって。田舎暮らしは憧れでしたから、まずは2週間働かせてもらうことにしました」
その後、一度は東京へ帰ったものの、鴨川が恋しくなり、すぐに戻ることに。
「人混みが苦手。また、東京での生活に焦りみたいなものを感じていました。対照的に鴨川は時間の流れがゆったりで。個性的だけど穏やかな人が多いのも、きっと私に合っていたんですね。友達が増え、マイペースで過ごせるようになりました。月イチくらいで東京へ行きますが、鴨川に戻るとすごくほっとするんです」
そう話す碇石さんには、新たな目標が。「もっと野菜や米づくりに携わりたくなり、この秋からカフェの営業を週3日にして、休みの日は農作業に取り組んでいます。自分で育てた食材を調理し、提供する。せっかくだから、里山暮らしを存分に楽しもうと思います」
人口:33528人(男性15889人 女性17639人)(2016年9月1日現在) 面積:191.14km2 産業:観光に携わる宿泊業・飲食サービス業、大型病院で医療・福祉関係の仕事に就いている人も多い。ほか農業、林業、漁業など 観光客:年間約300万人 気候:太平洋に面しているため黒潮の影響を強く受け、亜熱帯気候の特性を持つため、平均気温が15.8度と年間を通して温暖 地形:千葉県の南東部に位置し、東南は太平洋にひらけた観光農漁村地帯で、南房総国定公園の区域内に。また、上総丘陵および清澄山系・嶺岡山系の山間地、丘陵地が多い
・「住宅取得奨励金交付制度」新築住宅を取得した転入者の方を対象に、最大100万円の奨励金を交付
ほか、子ども医療費助成制度、空き地空き家見学会、就業支援などを実施
移住相談窓口:鴨川市ふるさと回帰支援センターTEL.04-7094-4600
農業に興味を持っている人に向けて、年間18回開催している農業実習(受講料1回1000円)。千葉県の農業指導者OBが講師を務め、座学と市民農園での実習を中心に、直売所へ出荷できるレベルをめざす。実践で収穫した野菜はお土産に。
自然に囲まれた鴨川市で民泊しながら、田植え、収穫といった農業体験や、農家の生活、地域の文化にふれる体験ができる。大人1泊2食付き6500円~(体験料金含む)。
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