白い砂浜とエメラルドグリーンの海が広がる下田きっての美しいビーチ。その水質は沖縄の海にも匹敵するトリプルAのランクを誇る。多くのドラマやCMの舞台にもなっているその浜辺は、まるで南国に来たような気分にさせてくれる。サーファーたちで1年中にぎわう海岸は、夏の間は海水浴場として、その他の季節も散策にぴったり。ゆっくりと流れる時間を楽しみたい。
このエリアでしばしば目にするのが白と黒のおしゃれな格子柄の壁。もともと防災のために築かれたなまこ壁造りの建物は、その家の富を表す象徴でもあったとか。なまこ壁通り近辺は、明治の面影を残し、最も松崎らしい風情を漂わせていて、地元の旧家が点在する。散策のあとは伊豆文邸の足湯に浸かったり、中瀬邸で松崎名物のさくら葉もちで一息つきたい。
通称“ひもの通り”と呼ばれる下田の港町にある「山田ひもの店」は、夫婦で丁寧に作る干物がグルメ通にも人気のお店。日の出とともに太陽にかざす干物は、11:00頃にできあがる。天日でふっくらと仕上がった品々は、見るからにおいしそう! その日のうちに売り切ってしまうため、予約したほうが確実。アジ180円〜、キンメダイ1200円〜、イカ400円〜。
地元下田出身の若きご主人が作るのは、鮮度にとことんこだわった地魚料理。早朝の市場で自ら目利きした魚は、鮮度を保つためすべて一匹買い。オススメは、石焼きアジなめろう丼。朝捕りの地アジのたたき、白米と薬味がアツアツの丼の中で渾然一体となり、美味なる香りが漂う。伊豆半島の沖合いから神津島の間で捕れる地キンメも脂が乗ってとても美味。
自慢のカレーは、甘みを引き出すために丸1日かけて炒めたタマネギがベース。チキン、野菜、キーマ、ココナッツなどさまざまな味が揃い、メニューによってスパイスやルーの調理法を変えるという手間ひまかけたもの。添加物を使わないナチュラルなカレーはおいしいだけでなく体にもよさそう。下田の情報発信地として、月に1度ライブも開催している。
地下108mから汲み上げる富士山の伏流水、松崎の人気焙煎店「間菜舎」のコーヒー豆、農家から届く有機野菜など、土地のおいしい素材が味わえる。「根っからの食いしん坊」と語るオーナーの豪快な創作料理は地元のファンも多い。お茶のともには、大きな器で登場する焼きバナナのパフェや、地場産のハチミツを添えたハニートーストをぜひ。
山道にポツンと立つ看板を目印に進むと、木立の中に小さなパン工房が現れる。ご主人の増田さんが、奥様とともに自作の窯で焼き上げるパンは絶品。体に優しい素材にこだわりバターや卵を使用せず、砂糖の代わりに地元産ハチミツで仕込む生地は、皮はパリパリ、中はしっとり。山の風が心地いいテラスで、窯から出したばかりのホカホカをほおばりたい。
下田の商店街にあるくぐり戸から店内に入ると、そこは照明を落としたスタイリッシュな空間が広がるダイニングバー。お昼どきは、自家製ベーグルのランチ700円や、オリジナルデザートとともにくつろげる。オススメは下田産のところてんが盛り込まれた茶気茶気クリームあんみつ(お茶とセットで700円)。地元ならでの和スイーツを楽しんで。
南伊豆町に工房を構える陶芸家・倉前幸徳氏の器と喫茶のお店。地元の木材をあしらった店内には湯飲みやぐい飲み、カップなど普段使いにピッタリな器が並び、モダンでどこか温かみのあるデザインについ見入ってしまう。お気に入りを選んだら、奥様が点ててくれるお抹茶(お菓子つきで550円)を。季節の草花が茂る庭を眺めながらひと息つこう。
※この特集は「オズトラベル」2007/7/5発売号に掲載したものを再構成しています。現在は情報が変動している可能性がございますので、ご注意下さい。