早替りや場面転換の秘密も!歌舞伎の舞台裏には驚きの仕掛けがいっぱい

『国立劇場バックステージツアー』

400年以上もの間、受け継がれてきた日本を代表するエンターテインメントである歌舞伎。その舞台裏には、長年観客を魅了し続けてきた秘密がたくさんあるはず。そこで今回、日本が誇る伝統芸能の殿堂・国立劇場の舞台裏を徹底取材しました。

更新日:2018/10/30

『国立劇場バックステージツアー』
廻り舞台には複数のセリの切り込みが

舞台がぐるりと回って場面が変わる!!観客一人ひとりの顔がはっきりみえる“廻り舞台”とは?

実際舞台に上がると、まずその広さに驚く。奥行きは約27メートルあり、舞台の大半を占めるのが、舞台中央の床を大きく丸く切り取り、その部分を回転させる“廻り舞台”となっている。その直径は約20メートルもある。上演中、観客に見えているのは廻り舞台の半分のみ。その裏側では次のシーンのセットが次々と組まれていく。舞台がぐるりと回って場面転換した瞬間、観客は物語が進展するワクワク感に魅了される。これぞ歌舞伎の醍醐味。そんな憧れの舞台に立って客席を眺めてみると、意外にも役者からは観客の表情がはっきりと見えるのがわかる。楽しそうに鑑賞することで、役者の演技にますます熱がこもりそう!



『国立劇場バックステージツアー』
大道具は公演にあわせてその都度新たに作成される

山、川、海などの背景や、家や船、岩なども!公演ごとに、演目や役者、演出にあわせて作られる“大道具”

舞台上に臨場感あふれる景色を作りあげ、演出を盛り立てる“大道具”。背景画から、家や船など立体的なものまでさまざま。紙や木、布などを用いてできるだけ軽量化されているとはいえ、その大きさや色鮮やかさ、芸術的な造形に圧倒される。とくに、舞台中央にある大きな“セリ(舞台の床の一部をくりぬき、その部分を上下に動かすことができる舞台の仕組み)”から“大道具”が登場する様子は実際に見るとかなりの迫力! 公演ごとに、演目や出演者、演出にあわせて、先人の知恵や新しい方法も活用しながら1から作成するというから、舞台に現れた背景や建物の美しさに感動するのも納得。

『国立劇場バックステージツアー』
黒御簾ではシーンごとに奏者が入れ替わることも

歌舞伎の舞台にもオーケストラピットがあった!?唄や楽器などの効果音楽が生演奏で繰り出される“黒御簾”

“黒御簾”は舞台の下手(客席から舞台に向かって左手)にある照明のない暗い部屋で、オペラでいうところのオーケストラピットのようなもの。ここからは舞台や客席がよく見え、役者の演技や物語の展開に合わせて、唄や楽器などの効果音楽が生演奏で繰り出される。6畳ほどのこのスペースに笛や小鼓、太鼓など、多い時はなんと10人ほどが入り、演奏することもあるのだとか。効果音や音楽のタイミングと音色に注目して、歌舞伎を鑑賞するのもおもしろい。

『国立劇場バックステージツアー』
チャリンと金属音がしたら花道に役者が登場

花道の“セリ”から登場するのは人間以外の生き物だけ!花道には色々な約束事があった

演出によって、空や海、川などに見立てられる花道。舞台から3割、揚幕から7割の位置は「七三(しちさん)」といって、役者が見得(みえ)を切るほか、「すっぽん」と呼ばれる小さなセリがあり、そこから幽霊や妖術使い、動物など人間以外の生き物だけが登場する。国立劇場大劇場は客席と舞台が近いのが特徴で、どの席からも、七三での見せ場がしっかりと見えるつくりになっているそう。

『国立劇場バックステージツアー』
揚幕の向こう側では準備を整えた役者が出番を待つ

演出の鍵を握る大切な場所。早替りや場面転換の秘密がここに!

奈落は本舞台や花道の地下にあたる場所で、セリなどの舞台装置が設けられている所でもある。セリは大小合わせて17箇所もあり、主に地下で作られた大道具を舞台上に移動させるほか、役者の登場にも使われている。花道の真下は、役者がすっぽんからの出番を待つ場所でもあり、舞台から花道への通り道でもある。また、揚幕の内側にある「鳥屋(とや)」と呼ばれる小部屋には鏡があり、身なりを整えながら花道からの出番を待つ。舞台裏には観客が想像できない空間が広がっている。

舞台に上がり客席を眺めたり舞台裏を見学したり、普段入ることのできないエリアに足を踏み入れてみると、表からは見えない歌舞伎の新たな魅力を発見。ファンならずとも、かなり貴重な体験となること間違いなし。国立劇場ではバックステージツアーを実施しているので、機会があればぜひ参加して!

PHOTO/KAZUHITO MIURA WRITING/KAZU SASAKI

『国立劇場バックステージツアー』

『国立劇場バックステージツアー』体験

スポット名
国立劇場 大劇場
住所
東京都千代田区隼町4-1
交通アクセス
東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅」1番・6番出口より徒歩5分

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国立劇場

1年の始まりは、いつもと違う新しいなにかを体験したい。そこで注目したいのが、尾上菊五郎ら豪華な顔ぶれがそろう初春歌舞伎。復讐の罠、怪異の謎、夫婦狐の恩返しなど、意外性と娯楽性が織り交ぜられたストーリーで観客の心をつかむ。会場の国立劇場は日本の伝統芸能の殿堂で、客席と舞台が近くどの席からも役者の演技がよく見えるのもうれしいところ。鑑賞後には舞台見学をご用意。貴重な体験になること間違いなし!

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