中秋の名月までに読みたい絵本をコンシェルジュがセレクト
2015年9月5日(土)17:00コメント 070

夏の暑さも和らぎ、すっかり秋の気配を感じられるようになってきたこの頃。秋は、月待ちするのにぴったりな季節。自然科学研究機構 国立天文台の発表によると、今年の中秋の名月は9月27日。忙しくて余裕がないときほど、美しいお月さまを愛でながらひと息つく時間を作ることが大切なのかも。そこで、中秋の名月までに読みたい、月をテーマにした絵本を、クレヨンハウス子どもの本事業部・若林さんに教えてもらった。月の光に照らされた秋の夜長は、絵本を読んで忙しない日常をリセットするひと時を過ごしてみては。
イライラした気持ちをクールダウンさせたいなら

「家族みんなが眠りについたある夜、眠れない夜を過ごしている女の子が主人公です。女の子は、部屋に吹き込んできた穏やかな夜風に誘われて屋上に上がるんです。月が美しい夜の空は広々していて、世界が繋がっているように感じられる。女の子は月の光を浴びながら、ゆっくり呼吸をするんです。女の子の呼吸に合わせて読めば、自然と気持ちが落ち着いてくるのでは? 心をクールダウンさせたいときに開きたくなる絵本です」
今日はなんだか眠れない・・・。そんな女の子が夜風に誘わるようにたどり着いた世界とは? ボストングローブ・ホーンブック賞受賞作品。
『よぞらをみあげて』ジョナサン・ビーン作、さくまゆみこ訳/ほるぷ出版/1296円
月の光を浴びながらゆっくり読みたい絵本

「満月に照らされた夜。靴を履かずに家を抜け出した子供たちが庭で、歌ったり、踊ったりする姿を詩的に綴った絵本です。静かな夜の世界は、五感が研ぎ澄まされる気がしませんか? 躍動感ある絵からは、素足の子供たちが芝を踏みしめる感触や、花の香り、頬をなでる夜独特の風が伝わってきます。読んでいる私たちも月の光を浴びているような感覚になれるので、1ページ1ページじっくり楽しんでほしい絵本です」
ユードリーの詩的な文章に、絵を描いたのは20世紀を代表する絵本作家のセンダック。月夜にワクワクしたような童心を呼び覚まさせてくれる1冊。
『ムーン・ジャンパー』ジャニス・メイ・ユードリー文、モーリス・センダック絵、谷川俊太郎訳/偕成社/1512円
月夜にいつもと違う贅沢な時間を過ごしたいなら

「ある日の夜中、目を覚ましてしまった、はんなちゃん。ここぞとばかりやってみたかったことをやったり、月明かりに照らされた美しい世界を知ったり、まるで宝箱を開いたようなひとときを過ごすのです。子供の頃、夜の世界は神秘的で素敵なものではなかったでしょうか? そんな気持ちを思い出させてくれます。童心に戻って絵本を読めば、夜時間が特別なものに感じられるかもしれません。また、黒をベースとした繊細で美しい酒井さんの絵は夜と相性がいい。月夜に開きたくなる絵本だと思います」
夜中に目を覚ました、はんなちゃんが1人で体験した冒険物語を、美しいタッチの絵で描く。大人のファンも多い絵本。
『はんなちゃんがめをさましたら』酒井駒子文・絵/偕成社/1296円