旬をおいしくいただくならば vol.006

旬をおいしくいただくならば

【第1・第3火曜日21:00配信】
美しい四季に彩られたニッポン。“旬”がココロとカラダへ染み渡る。フードユニットつむぎやが、季節のお料理や食材をおいしくいただけるお店をご紹介。

更新日:2016/10/18

今回訪れたお店 あたらしい日常料理ふじわら

食卓の和を広げる、ヒガコの台所

東小金井駅の改札を出たら高架下を2分ほど歩くと、ぐっとオシャレなエリアが現れる。いつの間にヒガコ(東小金井のことね)はこんなに生まれ変わったんだ! そんな驚きに出会える場所が、高架下に生まれたコミュニティスペース“atelier tempo”。その名の通り、5組のクリエイターが集い、それぞれのアトリエが併設された空間で、ものづくりの息づかいを感じながら買い物や食事を楽しめる。

絵とデザインの『ヤマコヤ』、ペットグッズの『dogdeco HOME』、革小物の『safuji』、革靴の『coupe 』、個性豊かなクリエイターが集うこの場所で、台所を預かるのが『あたらしい日常料理 ふじわら』。料理家、藤原奈緒さんが切り盛りするお店だ。

あたらしい日常料理ふじわら
あたらしい日常料理ふじわら

“あたらしい日常料理”なんだかとっても印象的なフレーズ。藤原さんの料理に対するスタンスは普通の飲食店とはちょっと違っていて、話を聞くとても惹きつけられる。
「外でなんでも食べられる時代だからこそ、家で作った食事を囲む時間が大切だと思っているんです。家庭の食卓にアプローチしていきたいと考えています」

忙しい毎日を送っている、都会に暮らす自分たち。そのサイクルの中で、食卓の和をつくる時間をできるだけ多く、より手軽にもてるようにと、藤原さんの真摯な想いには、ただただ感動する。飲食店でありながら、家庭で食事を作るハードルを下げたい。そんな藤原さんの想いと、家庭の食卓を繋ぐ架け橋になっているのが、“おいしいびん詰め”シリーズだ。

「パクチーレモンオイル」、「にんにくえび塩」など、豊かな素材の特長を生かし、藤原さんならではの組み合わせの妙を楽しめる調味料たち。家庭料理のさまざまなシーンで、おいしい料理のニュアンスを生み出すことができる。自分も愛用していて、サラダやマリネをつくる際によく「パクチーレモンオイル」を仕上げに合わせるのだけど、それだけ味が決まるのでとても優秀。まさに“使える”シリーズなんです。

ラ・ボラッチャ
あたらしい日常料理ふじわら

お店で出される料理も、これらのびん詰めをアレンジしたものが多い。それはお店でおいしく召し上がっていただきつつ、家庭で再現してもらえるよう、そのヒントごと持ち帰ってもらえるようなお店をめざしているため。そして食材のほとんどは地元の小金井を中心にした武蔵野の野菜たち。この野菜たちがまたびっくりするぐらいおいしいのだ。

ラ・ボラッチャ
あたらしい日常料理ふじわら

季節の移ろいにあわせて、入れ替わっていくお品書き。この日まずいただいたのは、小金井の野菜がふんだんに使われているエスニックサラダ。ルッコラやパクチーの味の濃さに感激する。びん詰めの『にんにくえび塩』が使われていて、ほのかなえびの風味やナッツの食感がアクセントになっている。水餃子は、パクチーの個性をやさしい味わいの餃子の中に上手に取り込んでいて、そこにびん詰めの『おいしい唐辛子』をアクセントにしていただく。

ラ・ボラッチャ

蒸し鶏と季節野菜のエスニックサラダ1026円、エリンギと香菜の水餃子918円

最後にいただいたのは、じゃがいものニョッキ。使われているじゃがいもも小金井産。北海道出身の藤原さんが驚くほどの素材のおいしさということで武蔵野野菜のポテンシャルは相当なもの。和テイストのきのこのソースで仕上げていて、外食感ありつつも、落ち着く味わいなのが、しみじみうれしい。

自分の暮らす町の駅に素敵な食堂があって、地元の野菜(それもとびきりおいしいもの)を使った料理がでてきて、家庭の台所へ持ち帰れるヒントにも満ちている。なんて豊かなサークルなんだろう。「ヒガコの子になりたい!」そう思った帰り道でありました。

ラ・ボラッチャ

じゃがいものニョッキ バターときのこのソース1512円

あたらしい日常料理ふじわら

あたらしい日常料理ふじわら

TEL:042-316-5613
東京都小金井市梶野町5-10-58
営業時間: 11:30~14:30 18:00~21:30(LO)
定休日:火水木
席数:18
アクセス:東小金井駅徒歩2分
カード:不可
予約:可
平均予算:夜3000円~4000円/昼1000円~2000円
喫煙種別:禁煙」

つむぎや マツーラユタカ

つむぎや マツーラユタカ

つむぎや マツーラユタカ
物書き料理家。金子健一とともにフードユニット「つむぎや」として活動。雑誌、書籍、イベントなどで、和食ベースのオリジナル料理を提案。個人としてはライター業も。新刊「和食つまみ100」(主婦と生活社)が好評発売中。

WRITTING/YUTAKA MATSUURA PHOTO/AYA MORIMOTO

※記事は2016年10月18日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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