医師にお悩み相談。心が思うようにがんばれないときのプチメンテナンス【働く女性の保健室ウィーク】

医師にお悩み相談。心が思うようにがんばれないときのプチメンテナンス【働く女性の保健室ウィーク】

コロナ禍での仕事や暮らしの変化に疲れてしまったり、ニュースにどうしようもなく心が揺れ動いたり。いつでも強くしなやかにありたいという願いとは裏腹に、ときにメンタルは思いどおりにならないもの。今回は、オズモール読者4名の心のお悩みについて、精神科「虹の森クリニック」院長の坂野真理先生からお話を聞いた。つらい状況から少しずつ楽になっていくためのヒントをぜひチェックして。

更新日:2021/03/09

Q.コロナ禍でのハードワークと自粛の狭間で板挟みに・・・

Q.コロナ禍でのハードワークと自粛の狭間で板挟みに・・・

「コロナ禍での仕事は、今までとは異なるスピード感、対応のうえ、上司には大変さを理解してもらえません。リズムが崩れる中、ストレス解消だった旅行やコンサート、人との飲食もできず、笑うことが少なくなりました。セルフメンテの方法はないでしょうか」(こまちさん)

仕事のやり方もプライベートの過ごし方も大きく変わってしまったこの1年。「慣れない仕事が増え、楽しみにしていたこともできないとつらいですよね」と、坂野先生は共感を寄せる。そのうえで、「そんな日々の生活の中で、ほんの小さなことでもよかったこと、うまくいったことがきっとあるはず」と、先生。「まずは毎日3つ、よかったことや自分ができたことを小さいことでもいいので、見つけてみましょう。そして、うまくいった理由についてあなたがどう関わったのか、思いつくことを記録してみましょう」

先生が例に挙げてくれたのは、こんな内容。
―今日は上司に理解のないことを言われたが、最後まで仕事をやり終えた。
   理由:私に責任感があったから。
―以前から気になっていた人気の食品を購入したら、とてもおいしかった。
   理由:私が情報をこまめにチェックしていたから。
―今日は朝からだるさがなく、体の調子がよかった。
   理由:昨日は早く寝るように心がけたから。

「記録を続け、生活の中に意外とポジティブな場面があり、その状況をあなた自身が作り出せることに気づけると、気分が軽くなってくるでしょう。早く、笑顔の多いあなたに戻れるといいですね」(坂野先生)

ニュースを見てつらい気分になってしまう

Q.ニュースを見てつらい気分になってしまう

「テロや人種差別、事件、事故など、直接面識がない人や遠く離れた土地での出来事でも、つらい気分になってしまう。このごろは、医療従事者ががんばっている様子を見聞きしても、申し訳ない気持ちになってしまいます」(momomoさん)

ニュースやメディアを見て心を痛め自分を責めてしまうようなとき、どうすればいいの?「まずお伝えしたいのは、あなたのやさしさと共感性の高さがすばらしいです。でも、他者の苦しみが自分の苦しみになってしまうようではつらいですね」と、坂野先生。先生のアドバイスは、つらい気持ちになりやすい時間帯にメディアオフの時間をつくること。そして、メディアに触れる代わりに「自分にやさしくしてあげる時間」をつくることもおすすめだそう。

自分にやさしくする方法は、「なにもできないと感じている自分を責めないであげる」「自分が今精一杯やれていることに褒め言葉をかけてあげる」といった具合。「人にとてもやさしい気持ちを持っているあなただからこそ、逆に自分には厳しすぎるかもしれません」と、坂野先生。自分にやさしくしてあげる行動ができたら、そのとき自分の感情と共に記録につけていくのもよいそう。「記録を積み重ねていくことで、他人とは別の自分自身の感情を感じ、自分自身を大切にしてあげられるといいですね」(坂野先生)

過去の失敗やつらかったことを思い出してしまい、眠れない

Q.過去の失敗やつらかったことを思い出してしまい、眠れない

「寝るときに過去の失敗や気がかりなこと、つらかったことが思い出されます。寝る前は考えないようにしたいのですが難しいです。うまくやり過ごす方法を教えてほしいです」(ozozさん)

寝入る前の布団の中は、気分が滅入ってしまうことが多い時間。過去の嫌な記憶や不安が募ってきて眠れなくなってしまう人は「布団に入る前に寝る準備の時間をつくり、なにか“ちょこっと幸せ”と感じられるようなことがないか、生活を見回して探索してみましょう」と、坂野先生。例えば「いつもはすぐ飲んでしまう紅茶の香りをゆっくり楽しんでみる」「布団を温めてふかふかを味わう」「お風呂で洗いたての肌の清潔なしっとり感を感じる」など、五感のほんの小さな感覚でも、一つひとつじっくり感じてみる。今現在のこの瞬間の自分が感じている“ちょこっと幸せ”な感覚に神経を研ぎ澄ませ、集中することで、過去や未来についての考えから距離を置くようにするのだそう。

また、「本当に眠気が来るまでは布団に入らない方がよいですね。もし、布団に入ってから嫌な出来事を思い出してしまうようなら、いったん起きて眠気が出るのを待ちましょう」と、坂野先生。

以前は楽しめていたものが、楽しいと思えなくなってしまった

Q.以前は楽しめていたものが、楽しいと思えなくなってしまった

「ここ1年ほど、今まで楽しめていたものを楽しいと思えなくなりました。読書やゲームなどもすぐに面倒だと感じ、飽きてしまいます。趣味に対しても、どうせ役に立たないとか、いずれ嫌いになるとか思ってしまって、価値を感じられなくなってしまいました。以前はいろいろなことに興味を持てていたので、このままなにも楽しめなくなって年を取るのかと思うと悲しいです」(kahalaさん)

興味関心が干からびてしまったようなときは、やる気が湧かず虚ろな気分になってしまう。でも、「そのままなにもしないでいると、さらに気分が落ちこんだり、関心を持てなくなったりすることがあります。興味のあることが見つかるまで待ち続けるのではなく、ひとまずアクションを続けることが大事です」と、坂野先生。

そこでまず手始めに、子どもの頃までさかのぼって以前楽しめていたことをもう一度思い出し、「興味ないな」と思ってもとりあえずやってみるのがよいそう。大変なことや難しいことではなく、家の中で簡単にできること。好きだった歌を口ずさむとか、子どもの頃にやっていた単純で簡単なゲームをしてみるとか、小さなことからでOK。「ほんのわずかな瞬間ちょっとでも“これいいかも”と思える瞬間に集中し、その時間を味わってみましょう。その後、もう少し違うことがしたいと思えたらそれもチャンスです! 今までしたことがなかったことも試してみることができたら、なおさらよいですね」(坂野先生)

小さなことでも、楽しいという感覚をたくさん積み上げていけば、きっとまたいろいろなことに興味を持てる自分になれるはず。

教えてくれた人

坂野 真理さん

虹の森クリニック院長、児童精神科・精神科・子どものこころ専門医。2003年日本医科大学医学部を卒業後、東京大学医学部附属病院小児科、東京大学医学部付属病院こころの発達診療部などを経て「虹の森クリニック」を開院。「友達の家に遊びに行く感覚で気軽に通える場所を心掛けています」

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毎日がんばる働く女性にプチ不調や悩みはつきもの。そこでみんなが気になる健康法やグッズ、食材やドリンク、悩みの解決法やメカニズム、取り入れたい習慣などを専門家やプロのお話しとともにご紹介。自分のココロとカラダに向き合って、健やかに私らしく。オズモールはそんな“働く女性の保健室”のような存在をめざします

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WRITING/ATSUKO HABU

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