20~30代でも要注意!生活習慣によって症状が現れる老眼とは?
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20~30代でも要注意!生活習慣によって症状が現れる老眼とは?

更新日:2021/07/07

「最近手元の文字が見づらい」「夕方になると見えづらくなる」といったことはない? 「もしかして老眼!?」と不安になりそうだけど、スマートフォンを長時間見続けることが原因になることも。老眼や、若い世代にも増えているという“スマホ老眼”について、眼科医の今居由佳理さんに教えてもらった。

ピントを合わせる調節力は10歳前後がピーク!

ピントを合わせる調節力は10歳前後がピーク!

老眼とは、ピントを合わせる調節力が衰えた状態のこと。眼球の中には「水晶体」というカメラのレンズに相当する組織があり、遠くのものや近くのものにピントを合わせる働きがある。近くのものを見るときには、水晶体を支えている「毛様体筋」という筋肉が緊張して水晶体が厚くなり、近くにピントが合う。一方、毛様体筋がリラックスしていると、水晶体は薄くなり、遠くにピントが合った状態になる。

「こうしたピントを合わせる調節力は、10歳前後がピークで、そこから徐々に低下していきます。ただし、生活に影響を及ぼすほど調節力が衰えるのは、平均的には40代半ばごろです。読書をする際、本との一般的な距離(40cm)だと見づらい、疲れると感じたら老眼が始まっている可能性があります」(今居さん)

長時間のスマホやPC作業で老眼に似た症状が出ることも

長時間のスマホやPC作業で老眼に似た症状が出ることも

では、20~30代で老眼になることはないの?

「一般的な老眼は40代半ばごろから現れるので、ほとんど心配はありません。ただし最近は若い世代でも『手元が見えにくい』『夕方になると目が疲れる・見えづらい』といった老眼のような症状に悩む人が増えています。この現象は“スマホ老眼”と呼ばれ、スマートフォンを長時間使用することが原因と考えられています」(今居さん)

長時間小さな画面を凝視したり、人によっては読書の距離よりも近い距離で画面を見たりするため、毛様体筋が緊張し続けて、凝り固まってしまうことが原因だと考えられているそう。スマートフォンだけではなく、パソコンでも長時間作業をしていれば、毛様体筋が凝り固まり、老眼のような症状が出ることはあるのだとか。

「スマホ老眼は、一般的な老眼とは異なり、眼精疲労の一種です。このため、症状は一時的なことがほとんどです」(今居さん)

“スマホ老眼”は予防や改善が可能

“スマホ老眼”は予防や改善が可能

一般的な老眼は、加齢現象なので、予防するのは難しいもの。けれども眼精疲労であるスマホ老眼は、予防や改善が可能だそう。

「最も効果的なのは適度な休憩。長時間のスマホやPC作業の際は、1時間ごとに10分程度は遠くを見るなどして、毛様体筋の緊張を解く時間をつくることが理想的です。そのほか、画面を目に近づけすぎない、メガネやコンタクトレンズの度数が合っているかどうかを定期的に眼科でチェックしてもらう、睡眠をしっかりとるといったことも大事です」(今居さん)

疲れがたまっていると感じるときには、蒸しタオルで目を温めたり、適度に体を動かしたりして心身の緊張をほぐすことも効果的。

スマホ老眼は、悪化すると回復しにくくなることも。日ごろから毛様体筋をリラックスさせる時間をつくることを意識しよう。

教えてくれた人

今居由佳理さん

医療法人社団Luce三鷹 武蔵野タワーズゆかり眼科院長。日本眼科学会専門医、眼科PDT認定医、ICL認定医。宮崎大学医学部卒業後、九州大学眼科学教室入局。東京歯科大学市川総合病院眼科を経て平成22年に開院。白内障、緑内障、加齢黄斑変性症をはじめ、多くの眼底疾患、前眼部疾患の研究、治療に携わる。

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WRITING/AKIKO NAKADERA

※記事は2021年7月7日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります