肝斑を治したい!美容皮膚科医に聞いた、肝斑の原因や対処方法【皮膚科医Q&A付き】
頬の両側にできてしまった薄茶色のシミのようなもの、それはもしかしたら肝斑かも。シミとの見分けがつきにくい肝斑について、原因や治療法、予防法、セルフケアなどを「やさしい美容皮膚科・皮膚科秋葉原院」の院長・宇井千穂先生に聞きました。肝斑だからとあきらめず、正しくケアして明るく美しい素肌を取り戻そう。
更新日:2021/05/11
肝斑とは?
左右対称に現れるのが大きな特徴。肝斑の見分け方
肝斑の大きな特徴は、顔の両側に左右対称にほぼ同じ形、大きさで発症するというもの。目の周りを避けて、目の下を縁取るように現れるケースが多い。比較的広い範囲に、やや灰色味を帯びた淡褐色の境がはっきりしないぼやけた形で見える。一方、シミが現れる場所は左右対称ではなくバラつきがあり、境界線が比較的はっきりしている。
このようにそれぞれ特徴はあるものの、一見するとシミと区別がつきにくく、自分で判断するのは難しいとされている。肌に現れた陰りが、シミなのか肝斑なのかによって治療内容も異なるため、まずは医師に見てもらうことがおすすめ。
肝斑の原因は、女性ホルモンのバランスと密接に関係
女性ホルモンのバランスが主な原因である肝斑。妊娠や経口避妊薬の服用をきっかけにできる場合があるほか、精神的なストレスによってホルモンバランスが崩れることが影響することも。年齢では30~40歳代に発症することが多い。その後、閉経とともに薄くなったり、消えたりする傾向にあると言われている。
そのほか、過度のマッサージやさわり癖、顔の施術など、物理的な刺激が原因の場合もある。紫外線を浴びることでさらに悪化をしてしまうため、しっかり日焼け対策をするなど注意が必要。
肝斑の対策・おすすめ美容皮膚科
飲み薬(内服薬)
シミのもとであるメラニンを作り出すメラノサイトに働きかけ、色素沈着抑制効果を発揮して肝斑を改善するトラネキサム酸の内服がおすすめ。トラネキサム酸に加えて、美白・抗酸化作用のあるビタミンC、血流改善・抗酸化作用のあるビタミンEを一緒に飲むとより効果的に。肝斑への効果が表れるまでに、飲み始めてから2~6週間かかると言われているため、効果が実感できないからといって中止せずに服用を継続することが必要。
塗り薬(外用薬)
劇的な効果は期待できないけれど、美白を目的としてトレチノインやハイドロキノンを使うことも。ただし、トレチノインやハイドロキノン自体が刺激になることもあり扱いに注意が必要なため、1人ひとりの肌の状態に応じてドクターが判断する。
美容レーザー
肝斑は真皮深層まで色素沈着が起こるため、ジェネシスやレーザートーニングといった皮膚への深達度の高い波長の機器でのみ治療が可能。メラニンを少しずつ壊していくことで、肝斑を少しずつ薄くしていく。照射後、赤みが見られる場合もあるけれど数時間で治まる。治療回数は2~4週間間隔で5回を1クールが基本。レーザー治療中はトラネキサム酸などの内服との併用が望ましく、ケミカルピーリングやイオン導入を合わせて行うことでさらに効果が高まる。
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イオン導入
内服でも肝斑治療に用いられるトラネキサム酸を、イオン導入で肌の奥へ届ける。トラネキサム酸には炎症を抑える働きがあるため、乾燥肌・敏感肌にも効果的なのが嬉しい。電流の力で成分をダイレクトに肌の奥までしっかり浸透させることができ、肌表面に塗った場合と比べ30倍~100倍の効果があるとされている。ダウンタイムはなく、終了後はみずみずしく、しっとりとした仕上がりに。定期的に治療を受けることで肝斑治療効果が高まり、持続性が増す。1~2週間おきや無理のない範囲で長く続けることが望ましい。
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ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、酸を使用して古い角質をはがすことにより、肌のターンオーバーを促進させる治療法。ケミカルピーリングで古い角質を除去した後に、美容レーザーやイオン導入をすることで、肝斑治療の効果が高まる。終了後は一時的に肌が赤くなることがあるけれど、数時間で治まる。治療回数は2~4週間間隔で5回を1クールが基本。ただ、肌質・症状により異なるため、肌の状態に合わせて、適切なペースを診察で判断してもらおう。
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肝斑の予防
ストレス解消して健やかな日々を。摩擦や日焼けにも要注意!
ストレスや寝不足などが原因で自律神経の働きが乱れると、体のホルモンバランスが崩れることに。ホルモンバランスの乱れは肝斑の悪化原因のひとつなので、できるだけストレスを避けるようにしよう。規則正しい生活をして睡眠時間を十分に取る、軽く運動をする、自分の好きな時間を見つけるのもストレス解消に効果があり、ホルモンバランスをいい状態を維持することに役立つ。また、紫外線や摩擦刺激も肝斑の原因に。普段から日焼け対策をしっかりして、肌を触るクセをなくし、洗顔やスキンケア、メイクのときに肌をこすらないよう注意し、しっかり保湿をして肝斑予防を。
肝斑のQ&A
シミと肝斑の見分け方を教えてください。
顔の両側に左右対称にほぼ同じ形、大きさで発症するのが肝斑の大きな特徴です。目の周りを避けて、目の下を縁取るように現れるケースが多く、比較的広い範囲にやや灰色味を帯びた淡褐色の境がはっきりしないぼやけた形で見えます。一方、シミが現れる場所は左右対称ではなくバラつきがあり、境界線が比較的はっきりしています。特徴はあるものの、区別がつきにくく自身で判断するのは難しいため、医師へ相談してみてください。
発症年齢はいつ頃ですか?
おおむね30~40歳代に発症します。女性ホルモンのバランスにも関わるので、妊娠や経口避妊薬の服用がきっかけでできてしまう場合があります。また、精神的なストレスによってホルモンバランスが崩れることが影響することも。その後、閉経とともに薄くなったり、消えたりする傾向にあると言われています。
予防方法を教えてください。
できるだけストレスを避けるようにしましょう。規則正しい生活をして睡眠時間を十分に取る、軽く運動をする、自分の好きな時間を見つけるのもストレス解消に効果があり、ホルモンバランスをいい状態を維持することに役立ちます。また、日焼け対策をして、肌を触るクセをなくし、洗顔やスキンケア、メイクのときに肌をこすらないよう注意し、しっかり保湿をしてください。
できやすい時期はありますか?
肝斑は女性ホルモンのバランスに関わるため、妊娠や経口避妊薬の服用など、バランスが変わる時期にできることがあります。また、精神的なストレスによって、ホルモンバランスが崩れることが影響する場合も。
肝斑は男性にもできますか?
ホルモンバランスだけでなく紫外線や摩擦も原因のひとつのため、男性にもできます。普段から日焼け対策をしっかりして、日常生活で顔はなるべく触らないようにし注意しましょう。就寝時には枕で顔を押し当てていないかチェックを。もちろん、男性も美容皮膚科での治療も可能なので、相談してみてください。
お話をお伺いしたのは、医師 宇井千穂さん
準ミス日本受賞・全日空客室乗務員・医学部卒業を経て、2019年に「やさしい美容皮膚科・皮膚科秋葉原院」を開院。アトピー性皮膚炎などの基礎疾患を持っていても、美容皮膚科の施術を受けられるようにと考え、悩みを持つすべての人に“やさしい”美容医療の提供をめざす。
WRITING/NOZOMI SUZUKI、ILLUSTRATION/HARUKA OSHIMA