伝統を守りながら進化を続ける日本の迎賓館、帝国ホテルの女性ホテリエを徹底取材

ホテルをこよなく愛し、心を尽くし、ホテルで働く女性がいる。そんなホテリエだから知る、ホテルの過ごし方や楽しみ方を教えてもらう連載。第6回目は、1890年、日本の迎賓館として開業した「帝国ホテル 東京」。日本を代表する歴史あるホテルで、伝統や品格を守りながら働くことを楽しむホテリエたちにお話を聞きました。

更新日:2019/07/29

【女性による、女性のためのホテル案内】ホテリエだから知っている。ときめきホテル

帝国ホテル_インペリアルフロア ゲストアテンダント
インペリアルフロア ゲストアテンダント 月田菜々さん

かゆいところに手が届く
きめ細かな配慮とサービス

ユニフォームの着物姿がよく似合う月田菜々さんは、帝国ホテル 東京の特別階「インペリアルフロア」のゲストアテンダント。ゲストのさまざまなリクエストに応え、滞在をサポートしている。「メインの業務は滞在中のお客様のお手伝い。それと同時に客室の管理も行っています。お客様それぞれに合わせた心地いい滞在を作りあげることが大きな役割です。滞在中の清掃のときやチェックアウト後などに客室を点検。お客様がどのように過ごされたかを読み取って、例えば枕を使わずにタオルを使って就寝されていたら、タオルを多めに用意するなど、外出先からお帰りになられたときにも、次回ご利用いただく際にも、快適に過ごせるよう客室を整えていく。第二の我が家のような場でありたいと思っています」

ゲストとの距離が近い接客にもやりがいを感じるという月田さん。「ご到着時はお部屋の前でお出迎えして、お茶のサービスをしています。また、観光などお出かけ先を伺っていた場合は、お帰りの際に『いかがでしたか』と話し掛けるなど、ちょっとしたお客様との会話も大切にしています。夜にも客室でのドリンクサービスがありますのでお部屋に伺ってサービスをしています。海外からのお客様も多く、大統領や首相といった賓客が滞在されることも。国によって習慣も文化が異なりますから、とても勉強になります。そんな日々の貴重な体験を活かして、お客様にもっと寄り添えるゲストアテンダントになりたいですね」

帝国ホテル_景色
【私のお気に入り】客室からの景色

日本の中心を感じる都心の風景を
客室でくつろぎながらお楽しみください

「私のお気に入りは、客室から望む東京の景色。特にインペリアルフロアは高層階で見晴らしのよさは抜群です。ホテル自体が十字になっているため、部屋によって景観は違いますが、日比谷公園を見下ろす景色は、いちばん素敵だなと感じます。しかも公園の向こうには国会議事堂が見える。ライトアップも美しくて、この風景を目にするたびに日本の中央にいることを実感します。眺望も客室の一部。滞在の際には、景観もたっぷり満喫してください」

帝国ホテル_ペストリー
ペストリー パティシエ 齋藤有希さん

伝統を守りながら進化をめざす
職人の道を究めるホテリエに

帝国ホテルに入社して18年、パティシエとしてのキャリアを重ねてきた齋藤有希さん。数年前には、さまざまな部署から集められた女性スタッフによるプロジェクト、通称「なでしこ」のメンバーに抜擢され、活躍の場を広げている。「この活動の一環で、2018年春に“鉄板焼 嘉門”のリニューアルオープンに携わり、同店のデザートの構成を手がけるようになりました。和の素材を取り入れるなど、私自身の新たな試みもたくさん盛り込んでいます。活動を通して、ほかの部署のスタッフとかかわれることも大きな強み。みんなで支え合っているから、ホテルが成り立っていることを身に染みて感じています」

ペストリーのスタッフは約50名。最近では女性も増えてきましたが、齋藤さんはその中でもいちばんキャリアが長い。この伝統のあるホテルで、どんな思いを胸に働いているのだろう。「ホテルにはさまざまなお客様がいらっしゃいますので、どのお客様に対しても期待を裏切らず、高いクオリティを維持することを常に意識しています。ただ、“いい意味で変わらない”ならいいのですが、“なにも変わってない”のは怖いこと。だからこそ、伝統を守りながら進化したいですし、新しいことにも挑戦していきたい。今は、インターネットで日本中から何でも取り寄せられる時代ですが、実際にホテルを訪れて、買い物をしたり、食事をしたくなる。作り手としてそんな価値のあるものを生み出していけたらと思います」

帝国ホテルぺストーリー_チェリージュビリー
【私のお気に入り】チェリージュビリー(イメージ)

ペストリーのスタッフもお待ちしてます
ホテル自慢のチェリージュビリーをぜひ

「本館17階のブフェレストラン インペリアルバイキング サールは、普段は接客する機会のない私たちペストリーのスタッフにとって、お客様と直接触れあえる貴重な場でもあります。こちらでぜひお楽しみいただきたいのが、帝国ホテルのスイーツメニューの代表格でもあるチェリージュビリー」と齋藤さん。インペリアルバイキング サールでは、好きなアイスクリームを選び、スタッフに盛り付けてもらったら、食べる直前に自分で温かいチェリーのソースを掛けてからいただくスタイル。「オーダーを受けてから、一皿ずつ盛り付けますので、ペストリースタッフに気軽にお声かけください」

ホテル総支配人に聞きました!ときめくホテルとは?

帝国ホテル_総支配人
総支配人・金尾幸生さん

時代に合わせてチャレンジを繰り返してきた
適度な緊張感とくつろぎが同居するホテル

「開業130周年を迎えるホテルというと、保守的なイメージがあるかもしれません。もちろん“日本の迎賓館”という原点を忘れることはありませんが、帝国ホテルは時代に応じて変えるべきこと、変えてはならないことの選択を繰り返してきました。ホテルウエディング、バイキングレストランを日本で最初に始めたのは、実はこのホテルなんです」とは、総支配人の金尾幸生さん。1984年に帝国ホテルに入社し、海外への出向や大阪での勤務を経て、2017年春に帝国ホテル 東京の第13代総支配人に就任した。「私が入社した頃はお客様の大半は男性でしたが、現在は女性のお客様が非常に増えてきました。ならば迎える側も変わらなければなりません。当ホテルでも近年は女性が管理職を務める部署が増え、女性スタッフによるプロジェクトも立ち上がっています。やはり、女性の気持ちは女性がいちばんよくわかると思いますから」

そう話す金尾総支配人が理想とする帝国ホテルとは?「いつもより少しおしゃれをして、背筋を伸ばして過ごしたくなるような、いい意味での緊張感があるホテル。その一方で館内に入った瞬間、ホッとしていただけるウエルカムな雰囲気も大切したい。矛盾しているようですが、これが共存できるホテルでありたいと思っています」

仕事のやりがい、人間関係、家庭との両立など、悩みや葛藤がありながらも、誰かの笑顔や「ありがとう」が嬉しくて。ホテルにも、がんばる女性の姿がありました。素敵な空間や丁寧なおもてなしだけではなく、ホテルで働く人もとても魅力的、そんなホテルにぜひ行ってみてください。

スポット名
帝国ホテル 東京
電話番号
0335041111 0335041111 (代表番号)
住所
東京都千代田区内幸町1-1-1
交通アクセス
東京メトロ日比谷線ほか「日比谷駅」A13出口より徒歩3分
ホームページ
公式HP

ホテル特集

泊まるだけじゃない!心ときめくホテルの楽しみ方

ふかふかのじゅうたんに、キラキラ輝くシャンデリア、大きなベッド。幼い頃、パパとママに連れていってもらったホテルは、まるで絵本に出てくるお城のようだった。
大人になった今、ホテルは手に届く場所になったけれど、やっぱりちょっと特別な場所。
ラウンジでアフタヌーンティーを楽しんだり、バーで大人な時間を過ごしたり、朝食用にホテルメイドのパンを買ったり・・・。
泊まるだけじゃない、心ときめくホテルの楽しみ方をOZmallが紹介します。

WRITING/MIE NAKAMURA PHOTO/AYA MORIMOTO
※記事は2019年7月29日現在の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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