プロジェクトの原点 バンダイ「コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー」

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子どものころに憧れた仮面ライダーの変身ベルト。だが、今やそれを大人が身に着けて楽しむ時代になっている。『仮面ライダーW』の大人向け変身ベルト「コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー」が大人気なのだ。

大人向けの3つのポイントとは?

浦上周一朗(株式会社バンダイ)
「個人的に好きだったバンダイ製品は、『チェンジマン』の「チェンジロボ」と、『聖闘士星矢』の「セイントクロス体系」でした」と語る浦上。
 2009年9月から2010年8月までテレビ放映された『仮面ライダーW』は、2人の主人公が1人の仮面ライダーになって敵と戦う内容で、視聴率や関連商品の売り上げも好調なヒット作であった。
 仮面ライダーWが劇中で装着していたのが変身ベルト「ダブルドライバー」であり、ガイアメモリと呼ばれるデバイスを左右に2本差し込むことで主人公たちは仮面ライダーに変身する。そのダブルドライバーは、すでに「DXダブルドライバー」(2009年9月発売/6,825円)、SUPER BESTで変身ベルト ダブルドライバー(2012年4月/6,825円)として商品化されている。だが、バンダイは大人向けシリーズとして新たに「コンプリート セレクション モディフィケーション」を起ち上げ、その第1弾としてダブルドライバーを改めて商品化した。それはなぜなのか。
 若き開発者である浦上周一朗に聞いた。

「おかげ様で近年の変身ベルトは、お子様から大人まで大変ご好評いただいております。そんな中、アンケート等から大人の方の購入も増加している傾向にあるということが分かりました。そこで、最初から大人に向けた変身ベルトを出したらどうだろう、ということで今回の『コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー』の企画が始まったんです」

 子ども向け玩具のフィギュアやミニチュアなどを大人も買うのが当たり前になりつつあるが、仮面ライダーの変身ベルトでも同じ現象が起こっているのだ。

「コンプリート セレクション モディフィケーションを立ち上げるにあたり、僕らは3つのポイントを決めました。(1)大人が納得するクオリティ、(2)大人が装着できるサイズ、 (3)価格、です。まず、サイズについてですが、弊社の公式ショッピングサイト『プレミアムバンダイ』で販売している『DX変身ベルト』用補助パーツの延長ベルトがコンスタントにご注文をいただいていることや、開発者としての勘から、『大人のユーザーも変身ベルトを着けて遊びたいのではないか』と考えました。そこで、『DXダブルドライバー』は装着できるウエストサイズが約48~68センチまでだったのを、約70~100センチまで調整可能なアタッチメントパーツをつけることにしました。また、価格については、過去に販売している『コンプリート セレクション』シリーズの約3万円から大幅に引き下げ以前よりは買いやすい1万円にすることに決めました」

造形集団とのコラボによる質感アップ

(上)浦上周一朗(株式会社バンダイ)(下)大人向け変身ベルト「コンプリートセレクション モディフィケーション モディフィケーション ダブルドライバー」
ベルト内側には牛の本革を使用。「柔らかくて色もいい、牛革の一番いい部分を使っています。お金もけっこうかかっています(笑)」
 では、商品化への3つのポイントのうち、残る「大人が納得するクオリティ」に関してはどうだったのだろう。

「『コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー』が既存の商品と違うのは、東映さんをはじめ、プロップ(劇中で使われている本物)を製作してくださっているブレンドマスターさんにスーパーバイザー(監修者)として協力していただいているというところです」

 ブレンドマスターとはプロフェッショナルな造形集団で、『仮面ライダーディケイド』以降のスーツの製作を担当している会社。浦上によれば、社内はまさに「工房」といったおもむきで、若手から熟練まで多くの職人的な造形師たちが働いているのだそうだ。

「バンダイとブレンドマスターさんとの話し合いの上でまずは試作品を作りました。非常にクオリティの高い試作品ができたので、それをいかに量産品へ仕上げていくかというところがポイントでした」

 浦上をはじめとするバンダイ開発陣は、持てる技術とメーカーとしてのプライドを注ぎ込み、商品化を実現した。その結果、今回のダブルドライバーは、重厚感を増す塗装が施されたり、ガイアメモリにホログラムステッカーが採用されたり、と玩具版を大きく上回るリアルな仕上がりになった。

「最終的には東映さん、ブレンドマスターさんからOKをいただき量産に向けて開発がスタートしました。メインとなるバックル部分だけでなく、ベルト部分のディテールや、装着感をアップする本革など、大人の方でもご納得いただけるものになったと思っています。個人的には、そのまま左翔太郎やフィリップ(『仮面ライダーW』の主人公)が着けても違和感のないほどのクオリティまで持っていけた自信があります」

 サイズ・クオリティ・価格、という浦上が掲げた3つのポイントは見事に大人の購買層の心にヒット。『プレミアムバンダイ』で2012年11月に受注が始まると予想を上回る注文が殺到し、人気を集めている。また、現在仮面ライダーWが放映され、同時発売された香港・台湾・韓国でも受注は好調だという。

“モディフィケーション”の狙い

浦上周一朗(株式会社バンダイ)
「ある程度予想はしていましたが、たくさんの注文に『変身ベルトを着けたかった人がこんなにいたんだ』と嬉しく思いました」
 一つ気になったのは、シリーズ名の中にある「モディフィケーション」という単語だ。この言葉はどういう意味を持つのだろうか。

「僕らは、改造という意味で“モディファイ(modify)"という言葉をよく使っているので、過去に販売している『コンプリート セレクション』から派生した新シリーズという意味で『モディフィケーション』とつけました。その際、この言葉は一般の方にはピンと来ないんじゃないかという議論もありました。ただ、僕にはずっと忘れられないエピソードがあって――

 浦上には、社内に尊敬すべき先輩がいる。ある日、その先輩が「浦上、『インファナル・アフェア』を観たことがあるか?」と聞いてきた。浦上の大好きな映画だった。すると、先輩は「観た人は全員タイトルの意味を知っているかな?」と聞いた。先輩は言った。「でも、『インファナル・アフェア』って、言葉としてカッコいいだろう?」と。

「個人的に、その先輩の言葉がすごく心に刺さったんですよね。論理的に作るタイトルもいいけど、直感で作る印象的なタイトルもあるんだな、と。『モディフィケーション』という言葉もそうなってくれるんじゃないかと考えたんです」

 浦上の狙いが当たったのか、「コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー」は新たなシリーズの第1弾としては、好調なスタートを切った。
 実は、浦上は開発者として若手ゆえのプレッシャーも感じていたという。

「長く続いてきた『仮面ライダー』シリーズには歴代の変身ベルトがあり、それぞれのベルトに歴代の開発者たちの魂が詰まっているんです。それを受け継ぎ、新たなものを作ることにはすごく緊張感がありました。でも、だからこそ、やりがいを感じた面もあります」

 仮面ライダーは国民的ヒーローでもある。あらゆる世代から注目される存在だけに、開発者が感じる精神的な重さも大きなものだったのだろう。

「物理的には、もっとハイスペックなダブルドライバーができるとは思います。しかし、僕らは玩具のプロ。魂を込めつつ、お客様の手の届く価格で、納得できるクオリティをキープしながら量産できる商品を最終目標にしなければなりません。今回の『コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー』ではそれが実現できたかな、と思っています」

 大人の中にも、変わることのない“子ども心"がある。見て、触って、装着して――高いクオリティで「大人子ども=子ども大人」のワクワク感を満たしてくれる「コンプリート セレクション モディフィケーション ダブルドライバー」の誕生に拍手を送りたい。

※敬称略
  • 浦上周一朗(株式会社バンダイ)
  • 浦上周一朗
    株式会社バンダイ ボーイズトイ事業部 ライダーチーム サブリーダー。29歳。東京都立大学(現・首都大学東京)経済学部卒。2006年に新卒で入社し、開発設計部、バンダイ香港などを経て2011年より現職。これまで「DXウィザードライバー」などを手がける。


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