農家さん直伝! 野菜の本当においしい食べ方~埼玉・花ズッキーニ~【連載エッセイ】

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その野菜の本当においしい食べ方を、人気フードライターの白央篤司さんが、農家さんのキッチンを訪ねて教えてもらう連載エッセイ。今回はおなじみの夏野菜・ズッキーニの、実ではなく「花」が主役! 初夏のワインタイムにも、ちょっとしたおもてなしにもぴったりのメニューです。

更新日:2021/05/20

簡単なのに、うなるほど美味!
花ズッキーニが身近になる1皿

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花ズッキーニのオーブン焼き。耐熱皿にしいてチーズ、アンチョビを散らし、パン粉とオリーブオイルを適宜かけてオーブンへ。スパークリングや白ワインのおつまみとしても最高!

まだ通貨がリラだった頃のイタリアで、花ズッキーニを食べたことがある。あれはフィレンツェのレストランだった。フリットのおすすめ具材をあれこれ盛って見せてくれるんだが、その中に花があり「飾りじゃないよ。これ自体を食べるのさ!」と言われて驚いた。

「向こうでは花の中にチーズを詰めて揚げますよね。おいしいんだけど手間もかかるから、うちはチーズとアンチョビをのせて、パン粉とオリーブオイルをかけてオーブン焼きにするんです」と教えてくれたのは、埼玉で花ズッキーニを育てて7年目の森田剛史(もりたたけし)さん。
畑に囲まれた、花いっぱいの庭で出来たてをいただいた。ズッキーニの花は大きく、タテの長さは10センチ前後にもなる。焼き上がった花弁は汁気をたっぷりと吸って、噛むと口の中にアンチョビやチーズのうま味がパッと広がる。これがなんとも楽しい。いつもは無口なカメラのKさんが思わず「うまいな…」と声を漏らした。

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食感のいい花ズッキーニは生のままサラダにも。彩りとしてもあざやかだ。森田さんが育てたカリフローレやケールも実に濃い味わい。素揚げのゴボウが絶妙

森田さんは「さいたまヨーロッパ野菜研究会」(通称・ヨロ研)のメンバーのひとり。さいたま市内のイタリアンやフレンチのシェフたちが、「本場の野菜を使いたいのになかなか入手できない。育ててくれないか」と地元の農家さんに相談したことが、ヨロ研発足のきっかけになった。
森田さんの家はもともと農家、小松菜などを作っていたが、「新しいことをやりたい」と考えていたときに「参加しませんか」と声がかかる。ズッキーニを育ててみたところ「質がいいね」とほめられて、どんどん思い入れが強くなっていったそう。

もうひと皿出してくれたのは、ズッキーニの花入りサラダ。花びら、生でも食べられるのか! うん、シャクシャクとした歯ざわりがいいなあ。あざやかな山吹色が、彩りの意味も含めて絶妙なアクセントになる。ちなみに「焼くときもそうですけど、中にあるめしべは食感が悪いので取りのぞく」とのこと。

ヨロ研は地元の若手農家、シェフ、そして種苗会社と卸業者から成っている。現在は13軒の農家さんが参加し、年間約70種のヨーロッパ野菜を生産。「自分が育てた野菜を、みんなで話し合い、納得のいく値段で売れるのがとてもうれしい」と森田さん。イタリアのそら豆「ファーべ」をおみやげに持たせてくれた。もちろん森田さんが育てたもの。塩ゆでにしてみたら、日本のとはまた違う軽快なコクがあって、手が止まらない。
ああ、知らないものがまだまだいっぱいある。

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【取材風景より】摘みたての花ズッキーニ。気温が上がると花が傷むため、収穫は早朝に行う。雌花には小さな実がついている

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【取材風景より】花ズッキーニを栽培しているビニルハウスにて。生のままでも安心して食べてもらえるようにと収穫期間中は一切農薬を使わないそう

さいたまヨーロッパ野菜研究会

花ズッキーニの旬は5月~ 7月頃。森田さんの花ズッキーニはBASE(https://fennel.base.shop/)で購入可能。森田さんが所属する「さいたまヨーロッパ野菜研究会」の野菜はレストランへの卸が中心だが、さいたま市内の「ヨロ研カフェ」、オイシックスや「食べチョク」でも取り扱いあり。詳細はHPへ

文・白央篤司

はくおうあつし フードライター、料理家。「暮らしと食」、郷土料理をテーマに執筆。CREA WEB、ハフポストなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)、『自炊力』(光文社新書)など。企業へのレシピ提供も定期的に行っている

Photo:KEI KATAGIRI
※メトロミニッツ2021年6月号「行ってきました、農家さんの台所。」より転載

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