東京・多摩エリアにある“酒飲みのテーマパーク”へ_MEETS SAKEBITO Vol.10

更新日:2021/10/20

日本の酒が生まれる地を訪ねる連載「MEETS SAKEBITO」。“酒飲みのテーマパーク” を自称する老舗酒蔵に、昨今コアファンが急増中。都心から電車で数十分の東京・多摩エリアへ、噂の杜氏を訪ねます。

Vol.10 東京・福生市 「石川酒造」前迫晃一さん

1984年、東京都生まれ。東京農業大学卒業後、2008年「石川酒造」入社。2014年より副杜氏、2015年より杜氏を務める。10代で発酵の魅力に目覚めアルバイトを始めて以来、約20年間「石川酒造」一筋。「今も一番の原動力は発酵への興味」と語る

1863年創業、古い白壁の建物が並ぶ「石川酒造」。そのクラシックなイメージに大変革を起こしたのが、6年前、弱冠31歳で杜氏に就任した前迫さんです。

当時、代表銘柄「多満自慢」はオールマイティなザ・地酒タイプで、売り上げは毎年前年割れ。他方、人気なのはフルーティで香り高い日本酒でした。

前迫さんが目指したのは、そのどちらとも違う、曰く「甘口ベタベタの売れない酒」! 

10人中、1人か2人にめっちゃ好かれればいい。問題は『これが多満自慢だ』と言えるものがなかったこと」。

左上/地下150mから汲みあげる中硬水が味わいの核になっている 右上/日本酒のほか、「多摩の恵」「TOKYO BLUES」などのクラフトビールも有名 左下/今年7月に完成した体験型ゲストハウス「酒坊“SHUBOU”-多満自慢-」。週末のプチ旅行にもおすすめ 右下/敷地内には直営レストランが2軒。蔵元限定酒も提供

新生「多満自慢」誕生から数年、気付けば売り上げは上がり、今や多くの熱狂的ファンを抱える注目蔵となったのです。

そんな“甘口ベタベタ”酒ですが、実際に飲んでみると甘みと酸味が調和し、飲み口は意外や爽快。

ちなみに“酒飲みのテーマパーク”を自称する蔵にはレストランやビール工房を併設し、月一度の「感謝デー」は各種グルメの出店あり、抽選会ありのお祭り状態に。

さらには今年、日本酒体験プラン付きのゲストハウスまで誕生。これはもう、現地に行かない手はなし!

「石川酒造」で生まれた日本酒

多満自慢 純米無濾過
990円(720ml)

「月曜から木曜担当の日常酒です」と前迫さん。ほどよいボディ感が和食にも洋食にもなじむ。米麹の配合量が多い贅沢な造りなのに、1000円以下!

石川酒造

TEL/042-530-5792
住所/東京都福生市熊川1

敷地内の無料見学は予約なしで可。ガイド付き有料見学は要予約(現在は休止中。再開時期等は要問い合わせ)

PHOTO/SAORI KOJIMA TEXT/RIE KARASAWA
※メトロミニッツ2021年11月号「MEETS SAKEBITO」より転載

※記事は2021年10月20日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります