千葉県木更津市での雑誌作り
今年も一緒に雑誌を作る仲間の
募集を始めます
無口で物知りな友達のように
知るほどに好きになる街のこと
埼玉県の東松山という街に住んでいた大学生の頃、僕はよく授業をさぼって東武東上線で池袋まで行き、そこでなにをするでもなく昼間の時間を過ごすのが好きでした。たいていはジュンク堂で買った文庫本を喫茶店に入って読み、レコード屋をのぞきつつ街をふらふらと散歩して、夜が来る前には自分の街に帰りました。電車で自分の住んでいる高坂という駅に戻ると、いつもちょうど授業が終わって家に帰る大学生で駅がにぎわっている時間なのでした。そんな喧騒を隠れるようにすり抜けて、スーパーに寄って晩ごはんのおかずを買い、部屋に帰って夕飯を作りながら本の続きを読む。僕はそんな1日が本当に好きでした。大学は大学で楽しかったし、友達と遊ぶのもサークルで野球をするのも嫌いではありませんでしたが、ときどきそうやって1人で誰も知り合いのいない東京に紛れ込む感じが、僕には本当に自由に思えました。どうしてかはわかりませんが、それが今でも大事にしている僕の旅の感覚の始まりでした。遠くに行くことだけが旅じゃないということを教えてくれたのも、その日々だったような気がします。
そしてその「街に紛れ込む」心地よい感覚はそれ以来ずっと僕の心の中にあって、僕は今でもときどき知らない街をあてもなく歩くという日々を過ごしています。
街は「暮らし」でできています。そこに住む人、店を出す人、働く人。そこで営まれる毎日が積み重なり、街には輪郭が作られていきます。そして日々というものはたいていそんなに変わりばえのしないものですから、どの街もぼんやりとした輪郭はだいたい同じように見えるものです。
でもそこになにか違うものが必要なのかと考えると、別に違わなくてもいい気がするし、同じ人間が2人いないように、それは同じに見えても違っているものです。禅問答のようですが、街を歩くときそこに「違い」や「独自性」を求めずに、ただただそこにある「暮らし」に紛れ込むことを考えると、違いがよく見えてくることはけっこうあるものです。京都や沖縄のように違いがはっきりとわかる場所は観光地と呼ばれます。でもこの「暮らし」を観光に置き換えられると、日本のすべての街に訪れるべき理由が生まれます。なぜならよく見ると街はひとつひとつ違っているからです。
僕にとって木更津という街はそういう街でした。縁あって僕はこの街で市民ライターのみなさんと一緒に雑誌制作を行うようになり、月に2回ほど、この海辺の街に通うようになりました。最初は駅前にも「なにもないんだなぁ」と思っていた街のことを、僕は知るほどに好きになっていきました。無口でクラスでは目立たないけど、物知りで思慮深い友達のように、知るほどにそこが好きになっていった。そこにはさまざまな「暮らし」がありました。
1合くらいあるごはんがお皿にのったピラフに、さらに焼いた豚肉とレモンがのった町中華のメニューはときどき無性に食べたくなるし、コック帽でビシッと決めたシェフが作ってくれる昔ながらの洋食屋さんのランチは今でも680円。駅前のドーナツ屋さんのドーナツを食べながら仕事をするのも大好きだし、駅から歩いて10分の港でぼんやりしてから、路地の居酒屋で瓶ビールとあさり蕎麦を食べるのもすっかり好きになったコースです。
「暮らし」を観光する。メトロミニッツがみなさんに伝えたいのは、その「暮らし」こそコンテンツであり、これからの観光のカタチのひとつだということです。そしてそれはなんの準備もいらなくて、必要なのはただただ街に紛れ込むということだけ。遠くに行かなくたっていいし、隣の駅でだってそれはできるのです。そうしてじっくりと見つけながら作るこの木更津という街のコンテンツを、1冊のガイドブックに仕上げるプロジェクトが今年も始まります。もしよろしければ、応募してみてください。制作のイロハやノウハウのことは考えなくても大丈夫。教えます。一緒に木更津の街を歩いてみませんか。
雑誌制作のノウハウをプロの講師陣から学べる
木更津マガジン制作プロジェクトのライター募集
メトロミニッツ編集長の古川が月に1回授業を行い、半年かけてライターのみなさんに雑誌作りのノウハウを伝授。編集者のスキルが学べます。ほかにも各回のテーマに合わせて、豪華なクリエイターもゲスト講師として参加。この街のガイドブックを一緒に作りませんか?
■募集要項
・編集の仕事に興味があり、スキルを学んでみたい方
(木更津市出身・千葉県出身者の方はぜひ)
・自身のSNSアカウントを持ち、積極的に投稿できる方
・月に1 回、週末に木更津駅まで来られる方
・参加料金/無料
・学歴/不問
・応募/下記リンクより
・応募締め切り/2025年7月31日(木)23:59
※応募者が多数の場合は抽選とさせていただきます
※メトロミニッツ2025年8月号より転載






