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町中華を“新解釈する”継承者たち

更新日:2025/08/20

家業を継ぐわけでも、暖簾分けでもなく、新たに町中華を開店させる店主がいます。この時代にあえてなぜ? 町中華という食文化の継承者の挑戦と想いを追いました。

極上のカジュアルさでいて元気を
与えられる店でありたい

店主の澁谷悠さん(34歳)。渋谷区や世田谷区での間借り営業で好評を博して独立へ。「住んでいる人が多いのにのんびりとした曳舟の町の雰囲気が気に入って、物件を決めました」

完食後に満足感が押し寄せる
優しい塩気とうまみを目指す

店主の澁谷悠さんは、音響技術職に就いていた頃、激務に心身が疲弊する日々を送っていました。

心を支えてくれたのは、なじみの居酒屋。行くたびにがんばる活力をもらい、そこで飲食業への転身を決意します。

スパイスカレー店で修業の第一歩を踏み出し、薬膳料理への興味から、中華料理店で働くように。同時期に間借り営業でも経験を積み、2022年9月、満を持して独立しました。

豚の角煮(2枚)1,045円は崩れる寸前までやわらかく煮る。蒸しパン220円を追加可能。カレーチャーハン1,045円

メニューには、ほろりとほどける角煮や爽やかなマーガオのシュウマイ、パラリと軽いチャーハンなど、どこにでもありそうでいて澁谷飯店ならではの技が光る料理が並びます。

澁谷飯店の味をよく知る酒販店が選ぶナチュラルワインが揃う。グラス880円~、ボトル4,840円~

「ひと口目は薄いと思われるかもしれませんが、1皿食べ終わったときにちょうどいいのが一回の食事のベストアンサー、と心がけています」

理想とする味の決め手は、油と塩。町中華と言えばガツンとインパクトのあるラードを使う店が多い中で、澁谷さんは国産の白絞(しらしめ)油を採用。

好きなものを詰め込んだという店は、レトロな喫茶店のような和み感。カルチャーの匂いも漂う

塩は、ミネラル分が多くまろやかなベトナムの天日海塩を選んでいます。そのためか、還暦越えのファン層も厚く、「こんなに優しい中華は初めて」と感激されることもあります。

「食べて、飲んで、話をして。僕が救われたように、1人でも多くのお客様に元気を与えたいと思っています」

澁谷飯店

TEL.070-8583-0851 
住所/東京都墨田区東向島2-6-7 
営業時間/12:00~14:30(14:00LO)、17:00~21:00(20:00 頃LO)※ 予約がなければ18:00~ 
定休日/月・火(ランチは平日のみ)

生まれ育った町に根ざし
みんなに愛される店になりたい

店主の渡邉瑶平さん(30歳)。開店当初は、ラーメンとチャーハンのみで始動。「自分のペースでメニュー数を増やしてきました。さらに今後は、迷うほど料理を揃えていきたいですね」

渾身の中華そばで
町へ恩返しすることを決意

小学校3年生から高校3年生まで、柔道一筋に歩んできた渡邉瑶平(ようへい)さん。部活を引退すると、柔道への情熱をラーメンへ切り替えました。

塩ラーメンが人気の新宿「麵屋翔」の店主・大橋望さんの人柄に憧れ、修業に入ること10年。調理のイロハから始め、店長となるまで成長を遂げます。

30歳で独立することを心に決め、自家製麵の醤油ラーメンで知られる秋葉原「麺処 ほん田」でも経験を積み、今年3月に独立を果たしました。

渾身のスープをたたえる中華そばは500円という驚きの価格。半チャーハン+500円

渡邉さんがめざすのは、自身が生まれ育った中板橋の町に根ざし、地元の人たちに愛される店になること。

「この界隈は、僕も含めて地元愛の強い人が多いんです。老若男女に喜ばれる店を作って町に恩返しをしよう、と決意しました」

肉野菜炒め750円は「他店の2人前ぐらいかも」と笑う盛のよさで、うまみと塩気が効いている。ハーフサイズも可。瓶ビール中瓶700円

看板料理は、ラーメン専門店での11年に及ぶ修業の集大成とも言える中華そば。

試行錯誤を重ね、豚骨をメインに、数種類の煮干し、カツオ節、宗田節、さば節、干し椎茸といった多彩な出汁を合わせた深いうまみのスープにたどり着きました。

カウンタ―、小上がり、テーブルと席があり、子供連れや1人客など多様な客層に対応できる

舌触りのいい麺は、一人前150gと食べ応え十分。それでいて、破格の500円なのには理由があります。

「小学生でも500円玉を握りしめて食べに来られるくらい気軽で、門戸の広い店になりたいと夢見ています」

町中華 然~いつかは僕の夢~

TEL.03-6912-4671
住所/東京都板橋区栄町21-12 
営業時間/11:00~15:00(14:30LO)、17:00~22:00(21:00LO)
定休日/月(祝の場合は翌火休)

PHOTO/AHLUM KIM WRITING/YUMIKO NUMA
※メトロミニッツ2025年9月号より転載 

※記事は2025年8月20日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります