開湯1300年越えの歴史ある温泉街が広がる兵庫県・城崎温泉。この春、東京から移住した「中華可菜飯店」のオーナー五十嵐可菜さんに地元民御用達のスポットを聞きました
偶然か必然か。
由緒ある温泉街との
二拠点生活が導く次の一歩
兵庫県北部、日本海側に位置する豊岡市にある城崎温泉。開湯1300年を越え、さまざまな伝説や志賀直哉をはじめ数々の文人に愛されてきた歴史ある温泉街が広がっています。そんな町との二拠点生活をこの春からスタートさせた「中華可菜飯店」オーナーの五十嵐さん。
関西には縁もゆかりもないと思いきや、実はそうでもないんだとか。「学生時代を京都で過ごしていて。食の仕事の修業をするなら東京にしようと思い卒業を機に上京しましたが、漠然といつかは関西に戻りたいなという気持ちはありました。まさか結婚で、それもまったく初めての城崎温泉になるとは想像していませんでしたけど(笑)」
食はもちろん、都内では見られないスケールの洞窟や地元民に愛される温泉までおすすめの場所を聞きました。
まずは、その壮大なスケールに圧倒されるという「玄武洞公園」。「初めて訪れたときは、本当に圧巻でした。アーティストのライブも開催されていて、人と自然が織りなす空間が魅力的です。結婚式の前撮りも玄武洞で撮りました」
続いては、夫・谷垣さんがオーナーのレストラン「OFF」。同じく飲食店を手がける五十嵐さんの目にはどのように映ったのか聞いてみると…。
「お店に入ってすぐキッチンがある空間がかっこよくて、初めて訪れたときに衝撃的でした。亮太朗さんをはじめ、スタッフの皆さんが農業など1次産業に興味を持っていて。多彩な食材が身近にある城崎らしい意識の高さも刺激的でしたね」
3軒目の「をり鶴」は、家族や友人が訪ねてきた際に訪れる場所。
「大将の谷山さんは大っぴらになんでも話してくれて、笑顔も素敵で、握るお寿司もおいしい。谷山さんに任せれば間違いないので、特別な時間を過ごしたい人と一緒に行きます。大きい茶碗蒸しも大好きで、ぜひ食べてみてほしいです」
最後は、城崎温泉街の外湯のひとつ「鴻の湯」。「屋根のある露天風呂がとても気に入っていて。ほかの外湯よりも狭すぎず、広すぎない大きさもちょうどいいんです。仕事終わりに入りに行くことが多くて、風呂上がりは、休憩所でセブンティーンアイスで締めるのが定番です」
二拠点生活も半年以上が過ぎ、東京との往復にも慣れてきたという五十嵐さん。実は次の動きも少しずつ進んでいるそうで。
「やっぱり表現する場所がほしくなってきて(笑)。来年くらいに、私も城崎でお店をオープンできたらと思っています。屋号もスタイルもまだ準備段階ですが…」
東京にはない新鮮で珍しい食材とローカルなつながりの中で、どのような味を表現してくれるのか。城崎温泉を訪れたい理由がまたひとつ増えそうです。
\今回教えてもらった4つの“推しスポット”はこちら/
玄武洞公園
温泉街のすぐそばを流れる円山川。その右岸にあり、国の天然記念物に指定されている、洞窟を鑑賞できる公園です。柱のような特徴的な構造は、火山活動で流れ出たマグマが冷えた際にできた自然の産物。さらに採石場としての歴史もあり、まさには自然と人が生み出した芸術作品です。
OFF
「いつものスイッチをオフにして、城崎での時間を満喫してもらいたくて」。そんな思いを込めてオーナーの谷垣亮太朗さんが名付け、お店を構えて8年目。豊岡や丹後の食材や国内外からセレクトするワイン、コーヒーなど、食を通してローカルを発信するセンスの光るお店です。
をり鶴
創業80年を越える老舗寿司店。現在カウンターに立つ3代目の谷山正利さんは、銀座の名店などで修業を積み、故郷である城崎に戻りお店を継ぎました。「海外の方も増えて、日本を代表して寿司を握っている気分で楽しいですよ」。近海で獲れる稀少なネタを目がけてぜひ。
鴻の湯
城崎温泉に7つある外湯のうちのひとつで、小さな庭園露天風呂が魅力的な温泉です。怪我をしたコウノトリが傷を癒していた場所に温泉が湧き出していたことが名前の由来。外湯の中でも温泉街のいちばん奥、にぎわうエリアから離れた場所にあるので、静かに浸かりたい人はこちらへ。
こうのゆ
電話/0796-32-2195
住所/兵庫県豊岡市城崎町湯島610
“推し町”案内人
中華可菜飯店 オーナー 五十嵐可菜さん
PROFILE
永福町の人気中華「中華可菜飯店」のオーナー。京都での学生時代に、精進料理に触れたことがきっかけで料理の道へ。誌面で登場する「OFF」のオーナー谷垣亮太朗さんとの結婚を機に、この春から東京と城崎の二拠点生活をしている
五十嵐可菜さんのInstagram
PHOTO/SHUNGO TAKEDA WRITING/HIROTO OKAZAKI
※メトロミニッツ2025年11月号より転載






