限定の生クリームあんぱんも!駒沢の住宅街にある昭和レトロなパン屋さん「パオン昭月」

駒沢パオン昭月 メロンパン コッペパン

地域で愛される昭和レトロなパン屋さん。創業は1946年。菓子パン、惣菜パン、ケーキなど100種以上が揃い、手軽な価格も魅力。10〜5月初旬限定の生クリームあんぱんは製造工程上の理由で1日480個限定。朝に完売する日も多いので前日までの予約がおすすめ!

更新日:2021/03/25

駒沢パオン昭月
店を担う執行家の男たち。右から達成さん、健昭さん、勉さん、健昭さんの息子・健竜さん

兄弟が守ってきた戦後生まれのベーカリー

駒沢の住宅街の交差点角にある「パオン昭月」。ウィンドーからパンを眺めてはしゃぐ幼稚園児たち、犬のさんぽ中に立ち寄る老夫婦・・・少し外で眺めているだけでも地域に愛される店ということがわかる。レトロな店内には惣菜パンやメロンパン、コッペパンなど数々のパンが並ぶが、ひっきりなしにお客さんが訪れ、またたく間に売れていく。「ここのはどれを食べてもおいしいよ」と、会計を待つお客さんが教えてくれた。
 
この店を営むのは執行(しぎょう)さん一家。「和菓子職人だった祖父が、戦後に砂糖が手に入らず、配給の小麦粉でパンを焼いたのが始まりです」と3代目店主の健昭さん。2代目と店を営んできた叔父の勉さん、横浜のベーカリーで修業後店に入った弟の達成さんと日々パンを作っている。
「父も叔父とパン屋をやっていましたが、僕たち兄弟も3人ともパン屋なんです」と健昭さん。
迷いがなかったわけではない。10代の頃はファッションや車に熱中し、その道に憧れたこともあった。でもやはり家業を継ごうとパン職人の道へ。フランスパンの名店・兵庫県芦屋市の「ビゴの店」で修業を積み、阪神・淡路大震災を機に帰郷。町田でベーカリーを営んだのち、数年前に駒沢の店を継いだ。今、町田の店は三男の博之さんが「つばめパン」として営業している。

駒沢パオン昭月
グリーンのテント屋根は2020年新調

「パン屋になってよかったと思うのは、子供たちが親しんでくれること。学校帰りにわざわざ店の中を通ったり、通りすがりに挨拶してくれたりするんです」と健昭さん。そんなふうに子供たちにも愛されるのは、確かに街のパン屋さんの特権かもしれない。

駒沢パオン昭月
サクサクメロンパンやコッペパンなど懐かしいパンがずらり。惣菜パンも充実。

材料ではなく製法で“今”の味にアップデート

3人のパン職人がいる「パオン昭月」。健昭さんはフランスパンとアップルパイ。達成さんはあんぱんやロール系。勉さんは生地の仕込みやペストリー系と、役割が分担されているという。健昭さんが入ってからは「ビゴの店」仕込みのバゲットなどハード系も充実し評判に。でも健昭さんは、それまでと材料を変えたわけではない。
「高い粉を使っておいしくすることもできるけど、それはうちのパンじゃないから。うちが使ってきた材料で、工程だけを変えておいしいパンを作ろうと工夫しました」。

それは健昭さんのパン職人としての矜恃だったのだろう。発酵時間や水分量を変えたり、手成形にしたり、焼き具合を試行錯誤したり。そうして皮は香ばしく、中はふわっと軽やかなパンを作りあげた。“昭和レトロなパン屋さんだけど、どれを食べてもおいしい”。昭和に生まれたパン屋さんが、令和の今もそう言われる秘訣を、健昭さんの姿勢に垣間見た気がした。

駒沢パオン昭月
左から、こしあんとクリームのバランスが絶妙な生クリームあんぱん(164円)、ほくほく食感のコロッケパン(203円)、ボリューム満点のカツサンド(339円)。

家族で長い年月 “いつものパン”を作る尊さ

パンと並ぶこの店の人気商品が、アップルパイやシュークリームなどの洋菓子。シュークリームはカリカリの皮にカスタードと生クリームたっぷりで充実の味わい。「クリームは勉叔父さんのこだわりだから」と健昭さん。

そのこだわりは、この店でいちばん人気の「生クリームあんぱん」にも。小ぶりのこしあんぱんに、ミルキーな生クリームを注入したパンだ。誕生は15年以上前。勉さんは「ホイップクリーム入りあんぱんは他店にもあったけど、クリームがボソボソなのが多くて。うちは生クリームのケーキも作っていたから、せっかくなら生クリームを使おうと。最初は売れなかったけど、作り続けているうちにだんだん人気が出てね」と教えてくれた。数々の芸能人がテレビで紹介したこともあり、行列を呼ぶ商品に。創業から74年も店が続いてきただけでも貴重なうえ、ロングセラーもあるなんてさぞ心強いだろうと思うが、彼らはあくまで謙虚だ。

「店をしていると、兄弟や家族でも大変なことは多いですよ。商売はいいときばかりじゃないからね。でもやっぱり、選んだ道。みんなで試行錯誤しながらがんばってきました」と勉さん。明日も3時に起きて作業だと帰っていった。健昭さんも「今、息子の健竜がときどき手伝ってくれて。嬉しいけれど、彼の年頃には僕もほかにやりたいことがあったし、好きなことをさせてあげたい。当面は新商品にも挑戦しつつ、続けていきます」と語る。

気が付けば夕方。パンはほぼなくなっていた。明日になればまた、家族が作るパンが店を埋め尽くし、多くの人がいつものパンを求めてこの店を訪れるのだろう。いつものパンが、いつもあること。それは作り続ける人がいる証しだ。その尊さを、空っぽの店を眺めながらかみ締めた。

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※オズマガジン2021年1月号「しあわせのパン」の記事を一部転載 
※掲載店舗などの情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください。

スポット名
パオン昭月 パオンショウゲツ
電話番号
0334214831 0334214831
住所
東京都世田谷区駒沢2-18-11
営業時間
7:00〜19:00
定休日
日曜
交通アクセス
駒沢大学駅より徒歩7分

オズマガジン2021年1月号は「しあわせのパン」特集

オズマガジン2021年1月号は「しあわせのパン」特集

お腹も心もあたたかく満たす、身近な小さな幸せの最たるものであるパンが盛り上がっています。素材やシェフのクオリティも高まり、専門化・多様化した新店も続々。アレンジレシピやバターやジャムとの相性で、可能性は無限大に。今行きたいパン屋さんガイドと、パンのおともや道具、グッズまで、広がるパンの楽しみ方をまとめてお届けします。

発売日/2020年12月11日(金) 価格/700円

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PHOTO/MIHO KAKUTA、WRITING/MIYO YOSHINAGA

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