パンラボ池田先生に学ぶ!食べておいしい現代パン用語

パンの製法や味わいにまつわるパン用語、聞いたことはあっても詳しくはわからないという方も多いのでは? そこで、近頃よく耳にするパン用語を、名店の味わいを例にパンラボ池田先生が解説。読んで食べて、学びを深めよう!

更新日:2021/03/23

【い】石臼

石と石の間に小麦を入れてすり潰す、昔ながらの製粉法。摩擦熱が発生する機械製粉に比べて熱を持ちにくいので、小麦粉の風味が飛びにくく、ふすまの部分も入るので、食物繊維やミネラルもたっぷり。玄米のような香ばしさとフレッシュな甘さを兼ね備えた味で、自家培養発酵種を使う自然派ベーカリーを中心に広がっています。最近は、「TENERA BREAD&MEALS」のように、生産者から直接取り寄せた小麦を店内の石臼で挽いてパンを作るお店も増えています。

TENERA BREAD & MEALS/白山駅
東京都文京区白山4-37-37
営業時間/10:00~18:00 ※売り切れしだい終了
定休日/水・金・第3木曜

【お】おうちパン

自宅で過ごすことを余儀なくされた2020年は、世界的におうちでパンを作ることが大流行。一時的に小麦粉が品薄になることもありました。製菓・製パンの食材・道具の通販サイト「cotta」は、計量済みのミックス粉とイーストが自宅に届き、ホームベーカリーに入れるだけで食パンが作れる定期便「コッタベーカリー」を始め話題に。ほか、町のパン屋さんでもキット販売が爆増しました。

■cotta/通販サイト:https://www.cotta.jp/
【パンラボ池田さん】僕は、横浜「ブラフベーカリー」の看板商品、奇跡の小麦・キタノカオリ100%の「ブラフブレッド」をホームベーカリーで作れるミックス粉をネットで購入。おうちで、焼きたてのブラフブレッドが本当にできて感動してしまいました。もちもちしっとりで、キタノカオリならではのコーンのような甘い香りもしっかりとありました!

【こ】高加水

パンの中の水分量(加水)は、小麦粉に対して70%程度が平均値ですが、高加水のパンの場合は水分量が80~90%、多いときには100%以上にも増やします。これによって食感はぷるぷる、もっちりに、口溶けはスムーズで食べやすくなります。唾液の量が少なめな日本人向けの最先端のパンの作り方です。「なんすかぱんすか」の水バゲットは、ういろうのようにぷりぷりでお粥のようにじゅわーっと溶ける、高加水パンの代表格です。

■なんすかぱんすか/明治神宮前駅
東京都渋谷区神宮前3-27-3
営業時間/11:00~16:00 ※売り切れしだい終了
定休日/月~水曜 ※年末年始休あり

【こ】高級食パン

バターや生クリーム、マーガリンなど店ごと特色ある副材料を入れ、もっちり感と甘さを持った高級食パンは、関西から火がつき今や日本中で大ブーム。関西代表の「乃が美」は、もっちりミルキーな生食パンを、関東代表の「CENTRE THE BAKERY」は北海道産小麦のゆめちからとバターを使った上品な甘さの角食を発売。流行の起点となりました。

CENTRE THE BAKERY(セントル ザ ベーカリー)/銀座駅
中央区銀座1-2-1 東京高速道路紺屋ビル1F
営業時間/10:00~19:00 ※売り切れしだい終了
定休日/不定 ※年末年始休あり

【さ】サワードゥ

小麦やレーズン、空気中にいる酵母を使ってパンを膨らませたり風味を加えたりする、いわゆる天然酵母のパン(発酵種)の中でも、注目を集めているのが、西海岸発のサワードゥ(カントリーブレッド)。高加水の生地を高温で焼きあげたサワードゥはサンフランシスコの「タルティーンベーカリー」を起点に、焼きあがり写真や作り方のポイントがSNS経由で世界中で共有され続けており、現在はプロアマ問わず世界中の人たちがレベルの高いサワードゥを焼きあげています。日本では、店舗を持たないパン工房「フミグラフィコ」が秀逸。小麦の香りと洗練された発酵の風味が、まるで外国のパンのようです。販売日程やメニューはインスタグラムで公開。

■fumigrafico(フミグラフィコ)/予約販売・代々木上原駅
https://fumigrafico-tokyo.stores.jp/
Instagram/@fumigrafico

【し】自然派

工場培養の酵母(イースト)ではなく、自分たちで培養する発酵種(天然酵母)を使ったパン作りを行う人やお店のこと。国産小麦などの顔の見える生産者の素材を使ってヘルシーなパンを作ります。インテリアにも木材など自然素材を使用し、ほっこり感があることも特徴。「パーラー江古田」は、高温で黒光りするまで焼き込んだハード系が代名詞。超濃厚な小麦と発酵種の風味が味わえます。

■パーラー江古田(パーラーエコダ)/江古田駅
東京都練馬区栄町41-7
営業時間/8:30~18:00
定休日/火曜 ※年末年始休あり

【て】低糖質

厳密にはパン100gに対し糖質成分が5g以下のパン。でも近頃では糖質をおさえたパンが、広く低糖質パンと呼ばれる場合が多いです。糖質をおさえるため、白い小麦粉の代わりに大麦や小麦のふすまを使用することが一般的。「シニフィアンシニフィエ」の糖質をおさえたパン、コンプレシャルムは、生地に高野豆腐やゴマも使用。ほわっとほどけるようなやわらかさ、香ばしい風味でサラダと相性◎。健康にいいだけでなく、ちゃんとおいしいパンなのが嬉しい

■シニフィアン シニフィエ 世田谷本店/三軒茶屋駅
東京都世田谷区太子堂1-1-11
営業時間/11:00~17:00、土・日・祝~18:00
定休日/なし ※年末年始休あり

【て】手ごね

機械ではなく手で生地をこねること。生地にダメージを与えず、グルテンの発生も抑えられ、風味豊かでやわらかなパンになります。手ごね、常温発酵、オーブン以外電気を使わない「レスペクチュパニス製法」もSDGsの広がりとともに世界的流行に。「ComméN」のバゲット・ア・ラ・マンは、超甘くて、かんでいるうちにダシっぽい風味がちょちょぎれます。

■Comme'N(コム・ン)/九品仏駅
東京都世田谷区奥沢7-18-5-1F
営業時間/7:00~18:00
定休日/火・水曜

【ほ】北欧パン

北欧にもいろんなパンがありますが、最近日本で注目されているのは北欧流シナモンロール。北欧はシナモンに加えカルダモンを多く使うのが特徴。スパイスに体を温める効果があるためか、寒い北欧の人気朝食メニューです。特にサワードゥで作ったカルダモンロールは、硬いけれど味わい深く世界的に大人気。日本では、ノルウェーで修行した「VANER」宮脇シェフがこのカルダモンロールを得意としています。

■ VANER(ヴァーネル)/日暮里駅
東京都台東区上野桜木2-15-6
営業時間/9:00~18:00、土・日8:00~17:00
定休日/月・火曜 ※年末年始休あり

【ゆ】湯種パン

熱湯で小麦粉をこね、1晩寝かせて餅状にした湯種を本ごねの際に加えて作るパンのこと。熱湯の力で水分とでんぷんが結びつく「α化」が進み、もちもち感や甘みが増加します。さらにはパンが日持ちするようになったりも。珍しく湯種を使った「パン・デ・フィロゾフ」の、αバゲットはもちもちを超えたふにゃふにゃで、お米のような甘さ!

■パン・デ・フィロゾフ/神楽坂駅
東京都新宿区東五軒町1-8 
営業時間/10:00~19:00 ※売り切れしだい終了
定休日/月・たまに火曜

【ろ】ローカル小麦

地元の土と水を使って育てられた小麦のこと。近年、このローカル小麦や地元の食材を使用する地産地消型のパン屋さんが増えています。埼玉県川越市の「Boulanger Lunettes」は、地元・川越産の小麦ハナマンテンを100%使用するハード系ベーカリー。ごはんのような甘みと、なんとなーく田舎っぽい風味が広
がる味です。

■Boulanger Lunettes(ブーランジェ リュネット)/新河岸駅
埼玉県川越市砂新田2-8-11
営業時間/9:00~18:00
定休日/月・火曜

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パンのグルメ化

グルメ番組やInstagramの盛り上がりがパンのグルメ化を加速。一例に、パンに注力する高級レストランの増加や、パン屋×グルメ界のクロスオーバー
があるでしょう。世界的に高評価のレストラン「レフェルヴェソンス」と、大阪のブーランジェリー「ル・シュクレ・クール」が組んで生まれた「ブリコラージュブレッド」もブームの立役者。新鮮なお刺身を自家製サワークリームなどで味付けし、サワードゥにのせたタルティーヌが名物。

■ブリコラージュブレッド&カンパニー/六本木駅
東京都港区六本木6-15-1 けやき坂テラス1F
営業時間/8:00~19:00、金~日・祝・祝前日~21:00
定休日/月 ※祝の場合営業

パンのSDGs

「捨てない」ことをはじめ、SDGsに取り組むパン屋さんが増えてきています。そのままでは廃棄されてしまうパンを救い出し、別の販売ルートにのせる仕組みもスタートしました。例えば「夜のパン屋さん」は都内のベーカリーから集めたパンを回収して夜に販売していますし、通販サイト「rebake」は全国各地の廃棄されそうなパンを買うこともできます。また、木更津の「KURKKUFIELDS」は、太陽光発電装置を備えた農場で小麦を作り、その小麦でパンを作っています。持続可能な社会作りは、パンの世界でも確実にはじまっています。

■rebake(リベイク)/WEBショップ https://rebake.me
■夜のパン屋さん(ヨルノパンヤサン)/神楽坂駅
東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル1F(かもめブックス軒先)
営業時間/木~土曜19:30~22:00 ※売り切れしだい終了
定休日/日~水曜 ※年末年始休あり

教えてくれた人/パンラボ池田浩明先生

佐賀県出身のブレッドギーク(パンオタク)。パンを食べまくり、パンを書きまくるライターであり、パンの研究所「パンラボ」所長。『食パンをもっとおいしくする99の魔法』ほか著書多数。「hotel koé bakery」で、生食パンの進化系のフィナンシェ食パンを開発。

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