敬語は3種類を使い分ける必要がある。目上の人の動作や状態、持ち物などを直接敬い、尊敬の意を表す言葉が「尊敬語」。そして、自分の動作や状況をへりくだって表現し、間接的に相手を高める「謙譲語」、言葉を整えて失礼のないよう敬う気持ちを込めて使う「丁寧語」だ。「よく間違えて使うのが二重敬語。目上の人や取引先の担当者に敬語を過剰に使い、尊敬語が二重にも三重にもなり、かえってわかりにくい表現に。また、尊敬語と謙譲語を誤って使うと大変失礼になるので注意を」(浦野先生)。今話している動作や状況の主語は誰・なになのかを頭の中でしっかり組み立てて話せば間違いも防げる。また「お」や「ご」を付けると丁寧な表現になるが、付け方にルールがあるのでしっかりおさえておこう。「お話」「お力添え」「お知らせ」など訓読みの単語に付ける「お」。「ご意見」「ご報告」など音読みの単語に付ける「ご」の使い分けを混同しないように。ただし、「お時間」など例外もある。
どちらが正解が考えてみよう
「とんでもない」は謙遜するのに使う形容詞なので、正しくは「とんでもないことです」。
「全然」は「〜ない」と否定の言葉を伴う言葉。「きっと〜だろう」「決して〜ない」はセットで覚えよう。
役不足とは、本来その人の力量や才能に対して役割が軽すぎることの意味だ。ここは「力不足なので」が正解。
過去形と疑問系を一緒に使うのは違和感がある。「これでよろしいでしょうか」と現在形にする。
的は「得る」ものではなく「射る」もの。「的を射る」もしくは「当を得る」で「的確な」という意味に。
「部長」自体が敬称であり、二重敬称になってしまうので間違い。「部長の●●様」、「●●部長」が正しい。
退社は会社を辞めること。帰宅した場合は「失礼しました」「帰宅しました」という。
様という敬称は個人名のみに使う。会社や部署宛に書類や郵便物を送る場合は、「御中」を。
「各位」にはすでに「皆様」という意味があるので敬称を付ける必要はない。
相手を敬う気持ちが裏目に!? 二重敬語パターン | よく使いがちな表現の数々 謙譲語・尊敬語の混在パターン
監修 浦野啓子 先生
コミュニケーションインストラクター。東芝商事を経て、対話総合センターに入所し企業や団体の社員研修を行う。その後現職として独立。
管理職や新入社員、営業マンの研修を手がける。著書に『信頼されるキメのひと言』(幻冬舎)など。