足利市で豊かな自然や歴史ある街並みと同じように大切にされているのが、古くから続く憩いの場。そのひとつ、全国でも珍しい屋台形式のコーヒー店「カフェ・アラジン」は、1971年から足利女子高校の角で営業を続けている。メニューは創業時と同じコーヒー1種類のみ。手動のミルで挽いた豆をネルドリップで落とした1杯は透明感のある味わいで、体にじんわり染み渡る。一方、41年前の創業以来、昔ながらの直火焙煎にこだわっているのが「モカコーヒー」。手間と時間をかけて豆本来の香りやコクを引き出したコーヒーは格別。飲み終える頃には、ほっこり幸せな気分に包まれるはず。
開店準備をする「カフェ・アラジン」の阿部次郎さん。屋台そのものはもちろん、年代物の手動ミルも初代から受け継いだものだとか
焙煎後の豆を丹念にハンドピックするのは、「モカコーヒー」堀越俊匡さんの日課。このひと手間のおかげで最高の1杯が生まれる
「モカコーヒー」の名物のひとつがふんわりと焼き上げられたホットケーキ450円。自家製シロップをたっぷりかけて召し上がれ
続いて鑁阿寺へ続く参道を歩いていると、石畳に溶け込む美しい町家が。ここ「うさぎや」は、戦前の足利銘仙を中心としたアンティーク着物を扱うお店。12年前のオープン以来、モダンな柄と斬新な色使いで、おしゃれ着として一世を風靡した足利銘仙の魅力を発信し続けている。2階のカフェでは、地元の老舗和菓子店とのコラボから生まれた銘仙柄のお菓子と抹茶をいただくことも。「下校途中の地元の女子高生がふらりと抹茶を飲んで帰っていく、そんな日がくるのが夢」と目を細める店長の大竹麻実恵さん。着付けやレンタルのサービスも行っているので、歴史ある街並みを着物姿で歩いてみてはいかが?
街歩きの途中に立ち寄りたい、大正ロマン漂うの喫茶室。窓からこぼれる暖かい陽射しを浴びながら、抹茶や和菓子を楽しんで
着物を解いた銘仙の端切れはどれもお手頃価格。ハンドメイド雑貨の材料として購入するお客さんも多いとか
室町幕府を興した足利氏の氏寺で、国宝でもある鑁阿寺。足利市民からは「大日さま」と呼ばれて親しまれているそう
足利学校からほど近い場所に佇む「mother tool」は、優れた技術を持つ工場とデザイナーをつないで作り上げたオリジナルの生活雑貨や家具が揃うお店。店内には、アルミと天然木を組み合わせたステーショナリーをはじめ、足利市内で作られたものがいくつも並んでいる。「足利は戦前に戦闘機を作っていた中島飛行機が近くにあったことから、今も金属加工に長けた職人さんがたくさんいるんです。その技術を活かしながら、本当に長く使えるものを作れたら」と話す、代表の中村実穂さん。地域への深い愛情が感じられる生活雑貨を、ぜひ旅の思い出にして。
かつて織物の街として一世を風靡した足利。肌触りが心地いい超長綿のガーゼてぬぐい2160円も、もちろんこの街で作られたもの
中村さんがお気に入りのショップや飲食店を地図にまとめた『足利テクシー』。イラスト入りの地図に、街の魅力が凝縮されている
日本の最古の学校として知られる足利学校。「mother tool」からは歩いてすぐなので、散策の途中にぜひ立ち寄って
取材が終わって数日後、「モカコーヒー」の堀越さんからお手紙をいただきました。そこには丁寧な文字で、『街の人たちが個人商店を大事にしてくれているおかげで、足利では長く続いているお店が多いのです』と綴られていました。日常のスピードを少しゆるめて、手間と時間をかけたコーヒーをゆったりと味わう。足利の人たちはきっと、こうした小さな幸せの積み重ねをなにより大切にしているのでしょう。心に染みる1杯のコーヒーが、それを教えてくれる気がしました(ライターO)
カフェ アラジンCAFE ARAGIN
全国的にも珍しい屋台スタイルのコーヒー店。夕焼け雲や星空の下、通りを眺めながら味わう香り高いコーヒーにファンが多い。
- TEL.090-7009-0188 栃木県足利市有楽町836
- 営業時間/17:00~24:00(土・日15:00~) 冬季~23:00 不定休(雨天、強風の場合休)
- アクセス/JR足利駅より徒歩15分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩25分
モカコーヒー
昔ながらの直火焙煎にこだわる老舗カフェ。8種のオリジナルブレンドはもちろん、注文を受けてから1枚ずつ焼き上げるホットケーキも美味。
- TEL.0284-42-9608 栃木県足利市伊勢町3-9-9
- 営業時間/9:00~21:00 木定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩5分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩15分
マザーツールmother tool
日本各地の素材や技術をつないで作られたオリジナルに加え、作り手の顔の見える雑貨や家具を全国からセレクト。毎月第1土曜日には「ハレノヒカフェ」も開催している。
- TEL.0284-43-3354 栃木県足利市昌平町2352-1
- 営業時間/12:00~18:00 水定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩5分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩15分
- 詳細はこちら
うさぎや
昭和初期の町家を改装したアンティーク着物の店。月に1度開催される「う・サロン」では、地元の和菓子店特製のマカロンや上生菓子が楽しめる。
- TEL.0284-41-1000 栃木県足利市大門通2380-1
- 営業時間/10:00~18:30 月定休
- アクセス/JR足利駅より徒歩8分、東武伊勢崎線足利市駅より徒歩13分
- 詳細はこちら
栃木県足利市に行こう!
- 電車でACCESS
- 東武伊勢崎線北千住駅より特急りょうもう号で足利市駅まで約1時間、またはJR上野駅よりJR東北本線小山駅経由、JR両毛線足利駅まで約2時間
- 車でACCESS
- 東北自動車道川口JCTより、岩舟JCT経由で北関東自動車道足利ICまで約1時間
東京から1時間!さぁ、春の足利へでかけよう
今回旅時間でご紹介したスポットだけでなく、足利にはまだまだ見逃せないスポットがたくさん!
温かい日も増えるこれからの季節。春風に誘われて、出かけてみては?
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花の楽園で世界一の藤に感動!約92000m2の広大な敷地には、四季折々の花が咲き誇る。3月から4月にかけては、2万球の色鮮やかなチューリップが咲き並び、4月中旬から5月中旬にかけては世界的にも有名な大藤をはじめ、350本以上の藤の花に感動! 藤の香り漂う、甘さ控えめの藤ソフトもおすすめ。
あしかがフラワーパーク
TEL.0284-91-4939 足利市迫間町607
営業時間/9:00~18:00(ライトアップ時は21:00まで)
料金/500~1700円
※花の状況により入園料、営業時間は変動
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緑の生える朱塗りの神社1300年の歴史と伝統を誇り、「産業振興の守り神とさまざまな縁を結ぶご利益があると言われる縁結び神社」として親しまれている足利織姫神社は、「恋人の聖地」や「日本夜景遺産」でもある人気スポット。
足利織姫神社
TEL.0284-22-0313(足利織姫神社奉賛会事務局)
足利市西宮町3889
地図はカーソルを乗せると自由に動きます。