町家は本来、住まいと商いを融合させた、京都古来の伝統建築。今、京都では町家を使ったカフェやお店に注目が集まっている。ここ「庵」は、人の住むことのなくなった町家をリノベーションした宿。しかし、それは古いものを補修するだけではなく、快適に暮らすために数々の手を加えている。例えば冷暖房、例えばインターネットの無線LAN。それらは目立たないように取り入れられ、単なる懐古主義にならない、快適な生活空間を提供してくれている。暮らすような京都の旅、京都人の美意識に触れる、町家を体験してみませんか?
チェックインすると、ここでは誰も夕食の時間を聞きに来ないし、門限もない。まだ秋の陽の高い午後3時、この明日の昼まで何もすることがない感覚は、想像以上に心地がいい。いつもは時間が取れず、あと回しにしていた本を開く。部屋に入って時が過ぎれば過ぎるほど、家が自分を受け入れてくれるのを感じる。夜が来ると家の中は、ここだけ時の流れが周りとは違うように思える。それは、古い木がすべての音を吸い込んでしまったような、とても不思議な静寂。知らないうちに、心が鎮められている。古い家と、自分が一緒に息をしている。それを感じる、いつもと違う夜だ。
2日目。朝の日差しとともに目覚める。昨日いつもより早く眠ったから、なんだか目覚めがいい。階下に降りると、昨日よりもさらに自分が家に馴染んでいるのを感じられる。コーヒーを飲みながら、過ぎゆく時間に任せる。今日はどんな1日になるだろう? 天気がいい日は、近所を散歩するのもいい。チェックアウトの時間まで、のんびり過ごそう。
東洋文化研究家であり、骨董商、そして京都において画期的な、町家ステイという新たな可能性を提示したのは、この「庵」のオーナーでもあるアレックス・カー氏。
「日本は急激に姿を変え、私が子供の頃好きだったものが、今となっては大変貴重なものになっている。だからそれを守りたいと思いました。日本の家には独特の間がある。その間によって、心が鎮められていくようにできています。何気なく座った畳の部屋の向こうに、坪庭の緑が見える。そのような何気なさに、ロマンがあるんです。この繊細さが、日本人の美しい精神性なんです。そういった美意識を、ここで感じてもらえたら、と思います。」
荷物をまとめて部屋を出る頃は、チェックイン前とは少し違う自分がいることに気づく。あなたも本当の京都を体験してみませんか?
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